羊たちの沈黙 | 桜さんの映画鑑賞日記

羊たちの沈黙

羊たちの沈黙


20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
羊たちの沈黙〈特別編〉

監督: ジョナサン・デミ Jonathan Demme

出演: ジョディ・フォスター Jodie Foster クラリス・スターリング
アンソニー・ホプキンス Anthony Hopkins ハンニバル・レクター
スコット・グレン Scott Glenn クロフォード主任捜査官
テッド・レヴィン Ted Levine バッファロー・ビル
アンソニー・ヒールド Anthony Heald チルトン医師
ケイシー・レモンズ Kasi Lemmons マップ
ダイアン・ベイカー Diane Baker マーティン上院議員
ブルック・スミス Brooke Smith キャサリン・マーティン
フランキー・R・フェイソン Frankie R. Faison バーニー
ロジャー・コーマン Roger Corman FBI長官
チャールズ・ネイピア Charles Napier ボイル警部補
ジョージ・A・ロメロ George A. Romero FBI捜査官
ポール・レイザー Paul Lazar
ダン・バトラー Dan Butler



女性を殺害しその皮を剥ぐという猟奇事件が続発。捜査に行きづまったFBIは、元精神科医の殺人鬼ハンニバル・レクターに示唆を受けようとする。

訓練生ながらその任に選ばれたクラリスは獄中のレクターに接触するが……。

前作『レッド・ドラゴン』(映画化名「刑事グラハム/凍りついた欲望」)に初登場し鮮烈な印象を残した狂気の天才レクターを再度フィーチャーした、トマス・ハリスの同名ベストセラーを完全映画化したミステリー。

卓越した原作に気押される事なく、そのサスペンスやムードを見事にフィルムに転化したJ・デミの演出も評価されるべきだが、やはり若き女性FBIに扮したJ・フォスターとレクター役A・ホプキンスの、他を圧する存在感なしに本作の成功は考えられない。

本筋の皮剥ぎ事件がかすんでしまうほどの、二人の会話シーンのテンションの高さには目を見張るものがある。

この種のスリラーとしては珍しくアカデミー賞の作品・監督・主演女優・主演男優賞といった主要部門を独占した。



アカデミー賞
作品賞
主演男優賞 アンソニー・ホプキンス
主演女優賞 ジョディ・フォスター
監督賞
脚色賞 テッド・タリー
ベルリン国際映画祭
監督賞
NY批評家協会賞
作品賞
男優賞
女優賞
監督賞
ゴールデン・グローブ
女優賞(ドラマ) ジョディ・フォスター
英国アカデミー賞
主演男優賞
主演女優賞
ブルーリボン賞
外国作品賞



★★★★★★★★★☆☆

ずっーっと前に1度観てたのに評価をしなかったのは、

もうかなり前の記憶でしたのとオチもわかっていたから・・

ハンニバル」をまだ未見でしたのでこの機会に両方観ることに。

まずこちらから2度目の観賞ですが・・

前に観たときはよくできた映画だとは認めてはいたものの、

正直ソツがなくて今ひとつだったと記憶していました。

が・・この作品がなぜアカデミー賞を総ナメしたのか(この特殊なジャンルであるのに!)

ようやくわかったような気がします

心理描写が深いこととやはり哲学性を感じたから。

そして何よりも主演二人の演技が素晴らしい。

ホラーにも属されるかもしれない危ういサスペンス娯楽でありながら、

こんなに深い描写をしていたんだなぁ・・

前に観たときには犯人である連続殺人犯がやけにマヌケに見え、

悪魔のいけにえ」と同じじゃあないかと思っていたのですが、

これはああいう系ではなかったんですよね。

主題はまさにクラリスのトラウマ救済とレクターの好奇心です。

ジョディは体格も小柄でいて中性的な魅力を感じるし、

表情もあどけなくもあり色気もあります。

その賢明さ聡明さは観ていて力強くもあり、

怪奇殺人の犯人のほうが似合うホプキンズと正面から演技合戦をしても、

全く互角以上の真剣さです。

彼女の演技は客観的には観れないくらい入り込んでいます。

幼い頃の羊をかかえ逃げる彼女は救えなかったことが自分のトラウマになっています。

そしてそのトラウマと向き合うことをアドバイスするホプキンズ。

そのまんま犯人の井戸に隠した誘拐された女の悲鳴となるのです。

この単純なのに深層心理をついている脚本は見事です。

猟奇殺人をもとにした刑事ドラマでは「セブン」のほうが好きですが、

この作品も二重の舞台のトラウマと演出で上手に作られています。

なにしろホラー要素もあるサスペンスなのに品さえ感じられるのも、

やはりジョディ・フォスターだからでしょうか。

意思の強さと気弱さとあっけらかんとした陽気さ・・

見事な演技でしたね。