CUBE
CUBE 1997 カナダ
世界を犯す、騒がしい絶望。
カナダの恐るべき新鋭がおくる、20世紀の言葉では語れない
オーヴァー・ジャンル・ゲーム・ムーヴィー。
- ポニーキャニオン
- CUBE キューブ
監督: ヴィンチェンゾ・ナタリ Vincenzo Natali
出演: モーリス・ディーン・ウィン Maurice Dean Wint
ニコール・デ・ボア Nicole de Boer
デヴィッド・ヒューレット David Hewlett
ニッキー・グァダーニ Nicky Guadagni
アンドリュー・ミラー Andrew Miller
ウェイン・ロブソン Wayne Robson
ジュリアン・リッチングス Julian Richings
奇抜なストーリー、斬新なビジュアル・センスで話題となったカナダ産異色サスペンス。
謎の立方体(=CUBE)に閉じこめられた男女6人の脱出劇を、緊迫感漲る演出で描く。
ゲーム感覚の謎めいた物語やシュールな美術・SFX等を駆使し、人間の闇部を抉った秀作。
ある日突然、密室に閉じこめられた6人の男女。それは正方形の巨大な立方体だった。
いったい何のために作られたものなのか、なぜ自分たちが閉じこめられたのかは誰も知らない。
脱出方法は6つあるハッチのいずれかを選び、同じ立方体でつながっている隣に移動しながら出口を探す以外ないが、いくつかの部屋には殺人トラップが仕掛けられていた。
そんな中、やがて彼らは安全な部屋を示す“暗号”に気づくが・・・。
ジュラルメール・ファンタスティック映画祭
グランプリ
国際批評家賞
観客賞
国際批評家賞
観客賞
★★★★★★☆☆☆☆
かなり前に話題になった作品ですね。
「CUBE」と「ソウ」とどちらが好きかという問題かも・・
それまでが難解なくせに終わったあとのオチに、
爆笑ものの疲労感を感じる「ソウ」は「ユージュアル・サスペクツ」と同系。
こういう系に腹がたつひとは「CUBE」のほうがいいかも。
「CUBE」はどちらかといえば「未来世紀ブラジル」の虚脱感です。
そしてラスト以外はわりと誰でも楽しめる「ポセイドン・アドベンチャー」です。
外はどうなっているのか?
その問いかけは入れられた登場人物より観客の方がさらに大きくなります。
誰が作ったか何の目的で?
そんなこともどうでもいいというならば、
その向こうは何なのか?
核心には触れていないけれど勘のいい人はわかるので注意。
↓
ここを空白にすることで神格化されている作品なので、
「未来世紀ブラジル」的でもありましょう。
私はブラジルの世界観は好きですがラストが気に食わない方なので、
このCUBEもあまり好きではないです。
しかしラストにいたるまでの面白さは「ポセイドン・アドベンチャー」に匹敵する。
だから作品全体が嫌いなわけではない。
難しい評価になってしまいました。
2が出ているということで次回には2を観ます。
そして再度1を確認すればまた評価が変わると思います。
たぶん評価が上がると思いますが・・
このキューブのからくりがキュービック・ルーブと思えば、
かなり易しい謎解きになりますね。
その簡単なナゾナゾを個性ある職業(学生も含め)人格に分けて、
共存させてややこしくしてやろうという娯楽サバイバルです。
数学の得意な学生はやっかいな存在で、
彼女の謎解きから嫌になった人も多いでしょうか。
私は特に数学が嫌いですので(うわぁ)と思ったのですが、
数学の得意な人が観賞すればソレがどうしたと思うかもしれませんが、
あくまでもその状況に置かれたうえでの冷静な能力です。
カリスマ刑事(と思い込んでいる仕切り屋)のわかりやすさ、
聖人君子のような医者であるもうひとりの女性が、
あの船が沈む作品の中での太った中年婦人と同じ役割とか、
サバイバル映画にはありがちな知的障害者の存在・・
人間ドラマがわかりやすいから面白いのです。
特に鍵を握る姉歯建築士(爆)外壁担当の男(ケビン・スペイシー似)
彼は目を開けた最初のシーンから怪しいと思っていたので、
その方向性は興味深く面白かった。
サバイバル映画パニック映画の基本である、
自分だったらこの人物だと思える描写がうまい。
最初の犠牲者(この場合は一番最初ではなくグループで)を見るとよくわかる。
もしこうなればこいつに従うと誰もが思うはずであり(経歴からして)
それが失敗に終わることがどういうことか・・
さてわけがわからないものが原因で最後もわけがわからない。
そういったサスペンスでは「激突!」もありなのですが、
あれは理由なく追われるものが全編に見えるから逆に怖い。
まあ理由はあるんですが不条理であり通りすがりみたいなもので。
見えるものなのに見えない理由で追われる恐怖と最後の後味。
このCUBEは理由は明らかにされていないうえに、
最後の生還者が見たものも明らかにされていない。
ここまで。
私の見解おおいにネタバレ
↓
あの人が生き残ったことに逆に恐怖を感じませんか?
あの人が何を見たかもわからないですが、
絶望感と恍惚感の入り混じった顔を見れば、
それまでの彼の行動からしても一人でいられない。
要するに何も出来ない人を置き去りに生かしたのです。
それを考えると製作者側はかなり意地悪です(爆)
「ショーシャンクの空に」の社会に復帰できず死を選んだ老人。
「未来世紀ブラジル」の裁判にかけられるオチを思い出した・・
あの白い空白の風景がその向こうにもキューブが果てしなく続くようにも思えるし、
それともただ本当に何もない世界かもしれない・・
コメディに出来たらば孫悟空の釈迦の手だということでいいのですが(笑)
そういう風な世界かもしれませんね。
だから神格化された作品なのかもしれません。
「未知との遭遇」の特別版のような神がかりな世界も思い出したし。
私としては中途半端な後味だったので、
あの白い世界よりももっと嫌な世界も見たかった。
彼の足元には上から落ちてきた彼女の死体とかが転がってたり、
その向こうはあの白い世界でもいいので・・
そうすれば(無駄だよ出られない)と何かが言ってるように見えるでしょう。
そうすればかなり絶望感のある救いようのない後味で、
はっきりしないラストよりもすっきりできたかもしれないなぁ・・
2でその向こうが見えることを期待しています。
確認さえできればこちらの1がもっと面白く見えると思います♪