カサンドラ・クロス | 桜さんの映画鑑賞日記

カサンドラ・クロス

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カサンドラ・クロス


カサンドラ・クロス  1976

THE CASSANDRA CROSSING

生と死の分岐点 カサンドラ大鉄橋へ驀進する 大陸縦断超特急-

- そこで何が起こったのか!

細菌を浴びた過激派がヨーロッパ大陸縦断列車へ逃れた。

車内には伝染病が広まり、機密の漏洩を恐れた軍は秘密裏に列車をポーランドへ運び

隔離しようとするが、その路線には老朽化したカサンドラ大鉄橋が横たわっていた……。

イタリアの製作者カルロ・ポンティ作品だけあって、アメリカ製パニック映画とは一味違う仕上がりになっている。

骨太な社会派サスペンスではなく、通俗的なアクションにまとめあげたのが最大の勝因。



監督: ジョルジ・パン・コスマトス George Pan Cosmatos


出演: リチャード・ハリス Richard Harris ジョナサン・チェンバレン博士
バート・ランカスター Burt Lancaster マッケンジー
ソフィア・ローレン Sophia Loren ジェニファー・チェンバレン
エヴァ・ガードナー Ava Gardner ニコール・ドレスラー
マーティン・シーン Martin Sheen ロビー・ナヴァロ
イングリッド・チューリン Ingrid Thulin ドクター・エレナ・ストラドナー
ジョン・フィリップ・ロー John Phillip Law スターク少佐
アン・ターケル Ann Turkel スーザン
レイモンド・ラヴロック Raymond Lovelock トム
アリダ・ヴァリ Alida Valli チャドウィック夫人
O・J・シンプソン O.J. Simpson ヘイリー
ライオネル・スタンダー Lionel Stander 車掌
リー・ストラスバーグ Lee Strasberg ハーマン・カプラン
ルー・カステル Lou Castel 運転手
ファウスタ・アヴェリ Fausta Avelli キャサリン



★★★★★★★☆☆☆

パニック映画としても面白く後半のスペクタクルシーンは迫力アリ、

サスペンスドラマとしてもSFのようでもありしかもリアル。

難を言えば後半のアクションシーンがちょっと飽きてきて、

社会派サスペンスと見ていたのでちょっと・・

博士のリチャード・ハリスが大活躍しちゃう、年代のわりには最近の映画のようなノリで、

冒頭からテロ映画で娯楽作か?と思わせるようなテンポのよさ。

ただし本当の内容はかなりシリアスではあります。

細菌感染者をとにかく邪魔だから関係のないようにポーランドへ送っちゃえと、

細菌を極秘開発していた某国の身勝手さから大事件に・・

カサンドラクロスという国境に架かる鉄橋は戦後から閉鎖され安全性は絶対不安。

ポーランドの収容所へ細菌感染した列車の乗客全員!を送り込み隔離するという計画は、

あくまでも極秘に行われなければもともとこの細菌研究というものは非常に危険な兵器にもなる。

バート・ランカスターが命令を受けていた相手は最後までわからないようにはなっているものの、

あきらかに大統領クラスのものでフィクションとはいえ合衆国の身勝手さ、

お国の役人の融通のなさがパニック時にどういう二次災害を起こすかという恐怖。

このシリアスである社会風刺ドラマにアクションシーンやコメディをふんだんに入れ、

娯楽半分シリアス半分となかなか観やすく面白い作品ではある。

配役も私があまり見たことのない人も多く、

名優ぞろいなのだが作品の年代からして変わらない ソフィア・ローレンしかわからなかった。

バート・ランカスターは大空港を見たあとだったので老けてたし(笑)

リチャード・ハリス(最後の作品はハリポタです)も役柄からわからなかった。

マーティン・シーン(チャーリー・シーンの父)は初めて見たような気がする。

全然わからなかった・・

こういう俳優の出演作を調べていると、

まだまだ私は映画を全然見ていないんだと思いました。

特によかったのが、老人役のリー・ストラスバーグ

ほっとさせる手品を見せるなんのことない役なんですが作品にいっそう社会性を持たせている。

ポーランドの収容所に連れてゆかれると聞いたとたん、

死んだ妻の話をし行きたくないと言いますが・・

あの鉄橋を越えた先には何があるのか想像がつきました。

現代のパニックになったときに過去のエピソードもわかるという、

行き着かない場所への恐怖がこの老人によってよくわかります。

脱走しようとする感染者(乗客)は銃殺してもよいと命令を受ける軍隊。

まるでSWのストームトゥールーパーのごとく武装した兵士たち。

細菌は「アンドロメダ」のようにあるきっかけで自己消滅・・

しかし軍隊には融通はきかない・・

細菌よりも怖いのが国という傲慢な兵器。


壊れるであろうポーランドに架かる橋は近づいてくる・・

特撮も今のアクションに比べると申し訳ないものですが、

テンポもよいし二転三転するので面白いです。

トンネルに向かうヘリと列車のアクションなんて今ではよくある、

「MIP」みたいなのですがこの映画を見てください。

音楽が大袈裟でなんか好きだなぁ~と調べてみたら、

ジェリー・ゴールドスミスなんですね。

「オーメン」「エイリアン」・・なるほど。