20. 白い花、白いシャツ
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さて、この物語、どう締めくくったものか。
あの日をさかいに、わたしたちはもう一度友達になったのだと思う。
引越し直前に彼が会いに来た。荷物が箱に詰められがらんとした部屋に座り、Xも一緒に少し話した。
そのあと、庭に二人でた。庭にはわたしの植えたユークリフィアという木がいっぱいに花をつけていた。真っ白な花。薄く透き通りそうな繊細な花びら。月明かりにゆれている花を二人で見ていた。
わたしの大好きな花だ。
一枝折って、彼に上げた。
その後、用事があって、彼の住む町に出かけたことがある。元同僚達が食事をしようとレストランのテーブルを予約してくれた。みんなが集まったけど彼はおくれてくるとのことだった。テーブルに座って笑いながら話していると彼が歩いてくるのが見えた。
話せなかったことばかりだった。何も起きなかったし、何もしなかった。でも、それでよかったと、心から思った。こうして穏やかに優しい気持ちで、歩いてくる彼を見ることができる。
彼は白いシャツを着ている。
わたしの好きなユークリフィアの花びらのような色だった。
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あれから、もう一年以上たちました。
もう一度でいいから、ユークリフィアの花が月明かりに揺れるのを見たいものです。わたしの植えたあの木は、今年も花をたくさんつけたのでしょうか。お別れのとき、枝が折れるほとに花をつけていました。
ここ3日間、予約投稿をしていました。実は、今、日本にいるんです(笑)。うまくいっていれば、昨日の朝に成田についている、はず。いとこの結婚式に出席することを急遽決めて、仕事のついでもあったので、思い切って、飛行機で飛んでまいりました。今回はすぐに帰るんだけどね・・・。