企画のネタは街にある | えほんや通信

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名作童話の電子出版「えほんや」の編集長・原 真喜夫のブログ。こどもの本と教材、雑誌、実用書の編集を手がける編集プロダクション・スキップの代表取締役。アロマテラピーにも目覚める。村上春樹、マーヴィンゲイ、寿司と焼き鳥、日本酒とワイン。

企画のひねり方
街に広まっている物は、もうすでに
編集者が、そのまま企画として取り上げるには
ちょっと遅いだろう。

「断捨離」とか、「塩麹」とか…。
入力で変換されるようなものは、
もう、みんな知っているし、
類書もたくさん出てるはず。

では、どうやって企画を考えるのか。

こどもの読むページを考えると
「毎年、同じように巡ってくる行事」というものがある。

夏休み、テスト、クリスマス、お正月など…

こうした季節ものの定番を、毎年、
違うアプローチで料理できなければ、
こどもの本の編集者としては、ちょっと困る。

去年の同じテーマより、いい企画を。
つねに、前の自分の企画を、
自分で乗り越える努力をしよう。

表に出なかったものを考える
街に出ているもの、とりわけ広告がらみのものは
競合プレゼンを経て、いくつかの企画案の中から選ばれ、
多額の制作費をかけて作られている場合が多い。

つまり、それだけ、頭が使われている。

そこに表現されていない、
つまりボツになったアイディア
どんなものだったのだろう。

なぜ、クライアントはこの表現を選んだんだろう。

このコピーのほかに、どんなコピーが用意されていたのだろう。

と、舞台裏を逆算するように、
表現されていないものを考える。

そうすると、ここに至っただろう経緯が想像できる。

電車の中吊り広告、書店のポスター、街角のビジョン。
企画を類推するクセをつければ、
たくさんの企画書が、ただで読めることになる。

本物と違っていい。
これはキミの頭の訓練なのだから。

企画は3案
1つのアイディアだけで満足していては、
編集者としては心もとない。

本命のアイディア、
 対抗馬、
  そして穴狙いのもの。

少なくともA案、B案、C案の
3つは出したいよね。

そのために、街で見かけた広告の舞台裏を
考えることが役に立つはずだ。

同じ商品でも、手を変え品を変え、
表現を変えて広告が作られる。
CMのタレントが代わり、BGMが変わる。
ベースのトーンは同じでも、アプローチが変わる。

「自分だったら、こうやるのに」と
アイディアを付け加えるのもいいだろう。
ただし、つねに、最終的にこの表現が選ばれた、
ということを忘れずに。

そうしないと、独りよがりで
狭い表現におちいってしまうから。

インプットなしには、アウトプットはできない。
氷山の水面下の部分を増やす努力を、
毎日、繰り返そう。

<編集者としての10の心構え・その8>

企画のネタは街にある。
 書店に入れ、広告を見よ。
  プロの視点で考えよう。