バスマ ｖｓ スーダンの豆

対戦相手　：　スーダンの豆

場所　　　　：　長距離移動バス車内

以前にも書きましたけど、エジプト人ってただ前を通っただけでお菓子とかわけてくれたりするんですよね。

まぁ、みんなで食べたほうが美味しいし良い習慣だと思います。日本みたいに毒を盛ったりしてないので素直におもてなしを受けましょう。きっとエジプト旅行がもっと楽しくなるはずです

それとは別に、砂漠の中で出来たルールなのか「水」は誰にでも分けて与えなくてはいけないんです

例えば、道に迷った人がやっとの思いで見つけた家があなたの家で、どんなに我が家が苦しかろうと水は分け与えなきゃいけないんですよ。断れないの。まぁ、そんな状況で断れる人なんてなかなかいないと思いますが・・・。

ある日ビービとカイロからちょっと離れた水辺にデートへ行ったんです。ちょっと遠足みたいな感じだからとりあえず少しのお菓子と1リットルの水を持ってたんですよね。で、ベンチで語らっていたんです

そりゃあうちらもカップルですから「二人の世界」の壁をつくってたんですけど、そんなの空気の読めないエジプト人の前では全く意味無し。うちらの壁はきっと「バカには見えない壁」だったのかもしれない。まぁ、そんなわけで1人の浮浪者みたいなおっちゃんが近づいてきて水をくれ、といわれたわけです。まだフタを開けていない１リットルのミネラルウォーター。ビービが空のペットボトルに水道水を入れていこう、と言ったのを必死で拒否しお金を出して買った水

もちろん断ることなんてできませんから「どうぞ」とおっちゃんにボトルを渡しました。うまそうに水を飲むおっちゃん。「ありがとよ」とボトルを返されたものの正直、見ず知らずのおっちゃんが口をつけたボトルで水飲むのもちょっと・・・だったのでおっちゃんにそれごとあげました。そしたらおっちゃん、小銭までねだり始める始末。ビービが物腰柔らかく追っ払ってくれましたけど。こーゆー時にビービは偉いな、と思います。私だったら絶対ケンカしちゃうところをビービは誰とでも穏便に笑顔で駆け引きできる。血の気が多いエジプト人ですが、ビービがケンカをしているところは一度も見たことがありません。だから私と一緒にいられるのかも・・・。

さてさて、今日の対決。

私が始めてエジプトを訪れたときのことでした。９月のエジプトは灼熱地獄それでも予定は１週間、バテながらも旅を続け南のルクソールから紅海沿いのハルガダへとバスで移動していたときのことです。

エアコンが効いていたものの私の席は窓側、太陽がぎらぎらと容赦なく私の体力を奪っていきます

一緒に旅行していた子がめっちゃ頼りない子でしたから私がしっかりしなきゃ～と思いながらも弱っていたためか凡ミス。水を買ってくるのを忘れた～～～～！ルクソールからバルガダまで、５時間くらいはかかりますから今までの旅の疲れと窓から差し込む太陽の熱でぐったり。喉はカラカラ。体中が水分をほしがっていました。さすがにちょっとやばいかも、と感じ始めていた。

そんな時、前に座っていたおっちゃんがこっちを見ました。おっちゃんはいかにもローカルって感じで英語が出来ないのかにっこり笑ってまた前を向きました。あぁ、よかった。弱っているときのエジプト人ほどウザいものはない、とほっと一息。

あぁ。のど渇いた・・・。口乾く。唇も乾く。なんで今日に限って飴もガムもカバンに入ってないんだぁ…。

と、その時。さっきのおっちゃんが振り向き何かアラビア語で話しかけてきた。でも、アラビア語なんかわかんないよ、おっちゃん。するとおっちゃん、手を出せ、とジェスチャー。言われたまま手を出す私。もしかして飴とかもらえちゃう？？なんてナイスタイミング！！！ありがとう、おっちゃん！！！！

と、手に受け取ったものは・・・落花生。

おっちゃんの話を聞いてみると

「俺はスーダン人なんだ、これ食えよ！この豆（ピーナッツ）はアラビア語で『スーダンの豆』って言うんだぜ」

といってる模様。・・・あ、そうか。ありがとうよ、おっちゃん。

のどの渇きは癒されず。おっちゃんは食え、食えとジェスチャー。しょうがなくもらった落花生を口に入れる。・・・・・・余計水ほしくなるわ！！！！！！！

「グッドか？うまいだろ、スーダンの豆？」

「・・・あぁ、うん。美味しいよ。ありがとう」

「スーダンの豆だぞ。言ってみろ、スーダンの豆！」

「あ、えっと、スーダンの豆」

「そうだ、ぐーっど！」

グッドじゃねーよ！！！！と思いながらもバスはまだまだハルガダには着かず砂漠の中を突っ走る。

旅行中は是非水を常備しましょう。忘れたら例え知らないおっちゃんの飲みかけでも恵んでもらいましょう。

脱水症状　―　スーダンの豆

これまでの勝敗　８勝８敗１引き分け