『絶望の国の幸福な若者たち』 古市 憲寿 | 神奈川県フットサルefcuore羽田の雑感ブログ

『絶望の国の幸福な若者たち』 古市 憲寿

絶望の国の幸福な若者たち/古市 憲寿
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気鋭の社会学者による若者論。なんとまだ26歳。2個上やん!

ということで、社会学の本にしては久しぶりに面白いと思いましたのでレビューします。


ただし、現在古市さんと同い年の兄に本を貸していますので、
詳細は分かりません。記憶で話します。


概要としては、戦後日本社会の状況をかいつまんで説明しながら、現在の若者と呼ばれる人たちが社会的にどのような状況にあるのかを同年代の目線から論じている本です。

ただし、筆者は「若者」という定義がそもそも難しいと述べています。
若者という言葉がいつから定着したのかという歴史的な視点から定義付けしていきます。

確かに、若者とはどの年代からどの年代までを指すのかわかりずらいですよね。

若者というのはどの年代を指すのかなんてのは人によって違うだろうし、複雑化・混沌化した社会において、ある年代の層のことをざっくりと定義するのは無理があるとも述べています。


まあ、その辺はいかにもアカデミックというか、若者の「いま」を知りたい人にとってはすっとばしながら読んでいただいてかまわないと思います。


僕が面白いと思ったのは、誰もがうすうす気づいていつつも、「かわいそうかわいそう」「もっと頑張れ頑張れ」「これだから最近の・・・」といったいどっちやねんだれがわるいねん状態になっていて、そんな若者を取り巻く言説とは全く違うベクトルから分析をしているという点です。

紙面でもWebでもなんでも「若者はかわいそう」「最近の若者は」的な言論がありふれているのは若者の誰もがうんざりしていると思います。

ただ、この本で弾き出された結論としては、「他人がどうこう言おうと、今の若者は幸せと感じている」ということ。


うすうす感じていはいるけれども、こうやってはっきりと述べる社会学者や教育学者はいなかったんじゃないでしょうか。


だって、考えてもみてください。


昔の時代に戻りたいですか?


誰もが幸福だと思っていた時代?そんなユートピアありますか?

身分も保証されず一生縦割りの制度で生き続けなければいけない江戸時代に戻りたいですか?
世の中が混乱し富国強兵の名目の元国民全員が徴兵されるわりにインフラの「イ」の字もない明治時代に戻りたいですか?
デモクラシーの大義名分のもと暗殺がありふれていた大正時代に戻りたいですか?
国民全員が国のために人生を懸けなければならない(それはそれで素晴らしいですが)戦争期
高度経済成長の陰で公害や光化学スモッグがあふれていた戦後
バブルでお金の感覚がマヒした後にはじけた後の絶望感を味わうバブル期と崩壊期
に、戻りたいですか?

家に帰ればテレビもエアコンもスマートフォンもパソコンもなんでもある現代が、一番発達し、快適だと思いませんか?


みたいなことが書いてありました。


はっきり言って僕はこの主張に関しては「今生きている以上、昔と比べることはできない」と逃げるしかありませんが、実際に多くの若者が未来への閉塞感や不安感を抱えながらも現状の生活に満足しているということはデータから明らかのようです。


確かになあ。


さて、そこからどうするかということまで教えてくてないのが社会学のいいところでもあり、うさんくさいところでもありますが、現状を知る上で、いま、どんどん日本の中で比率が減っている若者たちがどのような状況に置かれていて、今後どのような状況に置かれるのか、そこで自分がどうしていかなければならないかを知るためには、若者の皆様には是非一読しておいて欲しいと思います。



とにかく、シニカルで読みやすいがくどい文章ですが勉強になる本だと思うというもうよくわかりませんが、
是非読んでおいて損はないと思います。


ってなかんじでレビュー終了です。


やっぱ本が無いと難しいな~。記憶で言っている部分も多いのでご容赦ください。


では~!