(詳細については、テーマ分類「斉藤和義の10曲」のイチバン初めの記事をご覧ください・・・)
はい!
最後です★
この⑩やわらかな日のインタビューを読んで、
せっちゃんファンとしてちょっと切なくなったり、苦しくなったり、(・・・苦笑)
でも夫婦っていいもんだなーと改めて思ったりもしました^^
さっ、さっ、どうぞお読みくださいませ~!!
bridge vol.47 WINTER 2006より
「斉藤和義の10曲」 その10
⑩やわらかな日
02年11月20日、22枚目のシングル。03年3月26日9thアルバム『NOWHERE LAND』収録。
愛する人との日常生活、いつもの朝食といつもの夕食、それが何よりも大事であり、幸せであり、愛であるのです
――要約してしまうと味気ないですが、それをいかにリアルに歌うかに心血を注いだ、そしてそれが結実した、しみじみとリアルな「大人の」ラブ・ソング。
かつて“幸福な朝食 退屈な夕食”という曲を書いてシングルにしていた(97年4月9日リリース)人だと思うと、やや隔世の感がある。
と思ったが、その2作の間はわずか4年なのであった。
――最後は“やわらかな日”。
何気ない、平凡な日常のひとコマ、その幸福を噛みしめ、大切に思う曲――っていう解釈は、まず合ってますでしょうか。
「いや、そうですね。うん。やっぱなんつうか、怒りがベースになってたりとか、フラストレーションとかね、悶々としてるとか、そういうもののほうが、わりと曲になりやすいし」
――はい。というか、ほぼそういう曲ですよね、斉藤さん。
「(笑)はい。でも、楽しい曲を作りたいっていうのが、やっぱりどっかにずーっとあって。
ハッピーな気分になれる曲を、なるべく作りたいもんだなあとは思うんですけど、なかなか…ただ楽しいだけの曲っていうのは、なかなか作れないし。
やっぱ幸せな感じっていうのは、そういう曲ができたらいいなあというのは常々おもうんですよね。
で、これはなんとなく、まあ普段の会話の中からだったりとか、それができてきて。
これもまた、詞を先に書いてたのがあって。
詞っていうか、単純に…何に使うかわかんないけど、エッセイのつもりじゃないけど、なんか書いてて」
――ああ、文章として書いてあったんだ?
「そうですね。んで、曲ができた時に、それにそのままメロをはめたら、ほとんどそのまんま歌えたんですよね、それが。
「あ、これでいいや」と思って。
それで、いちいち語呂合わせをしていき」
――過去にこういう曲って、強いて挙げれば“Baby, I LOVE YOU”ぐらいですよね。
「まあそうですね」
――で、斉藤さんは結婚しておられるわけで。
「はい」
――立ち入っちゃうと、奥さんの歌ってことになっちゃいますよね、これ。
「ま、そうですね」
――正しく言うと、奥さんとの日常の歌というか。他にもありますよね、そういう曲。“ぼくらのルール”とかね。
「そうっちゃそうですね」
――あれはハッピーとは180度逆の歌ですけど、やっぱり日常生活そのままというか。
「ケンカしてスパゲティ投げつけられたのか」っていう(笑)。
「はっはっはっ」
――結構そういうの、そのまんま歌に書いちゃいますよね。
「書いちゃいますね。で、バレないように書こうとしても、バレたりしますね(笑)」
――ははは。それは結構、作家としての今の自分にとって、わりといいガソリンになってます?
「うん、そうですね。やっぱ今でも恋したどうこうの歌も作るけど、それ、わりとフィクション度高かったりもするし。
だって、恋してウキウキしてらんないじゃないですか(笑)。
だからね、やっぱもうすぐ40だったりすると、それなりに、なんか…やっぱその年齢のというか、その時の感じがどうしても出ちゃうし。
無理にこう…特に恋愛関係の歌に関してはね、あんまりそうそうできちゃまずいわけで(笑)。
だから、“やわらかな日”とかはそういう意味では、非常に実年齢に近いラブ・ソングだと思いますけどね」
――ちなみに、できちゃまずいラブ・ソングがついできちゃって、困ったことはあったんですか、かつて。
「あ、まあそうですね(笑)」
――はははは!かつてはロックンロール・ワイルド・ライフを送っていた?
「いや、そこまでは、そんなにしてないけど。
でもまあちょいちょいね、なんかこれは…「バレてんだろうなあ」みたいのとか(笑)。
『こんなこと、私なかったはずだ』と思ってんだろうなあ、とか。
一応、まあ、なんていうかね…『だから、フィクションだよ!』みたいな、そんな感じですよね(笑)」
――はははは。なんでそこをつっこんでるのかというとですね、そういう、歌が生活そのまんまなところが、ジョン・レノン的だなあというか。
「ああ、ああ」
――今回、アルバムを全部聴き直しながら曲を選んでいて、「斉藤和義って結構ジョン・レノン的スタンスなんだな」と思ったりして。
それは別にジョンを意識してるわけでなく、気が付いたらそうなってるっていうだけだと思うんですけど。
「はいはいはい。やっぱどっかで、日記的でもなんでもいいんですけど、どっか自分にとってリアリティのあるものじゃないと、もたないと思っちゃうんですよね。
だからどっかに日記の延長チックなところが入ってないと、歌っててつまんないっていうか、歌えないっつうか。
だったら別の人に曲書いてもらえばいいじゃん、と思っちゃたりもするし。
人のカバーやってたほうがらくちんでいいじゃん、と思うんですけどね、うん」
――なるほどね。以上駆け足ですが、10曲振り返ってきてですね、まずどんな感想を持ちましたか?
各時代の自分の作品たちを思い返してみて。
「はあ。うーーーーん…どうですかね?
曲作った時のことは結構、憶えてますね。やっぱり、曲ができるとうれしいですからね、なんせ。
レコーディングも楽しいし、ライブも楽しいけど、曲できた瞬間っていのがピークですからね。
そん時のことは結構、記憶がありますね。
だいたいいいパターンっていうのは、バーって一気に書いて、あとになって意味を考える的なというか。
あんま練って練って考えたりして、時間かけてかけて、っていうのは、逆に残んないっつうのがあって。
で、やっぱそういう…だいたいどの曲も、崖っぷちで作ったやつだな、っていう感じはしますね(笑)」
――その崖っぷちとは?
「もういろんな意味で。気持ち的にもなんか『うわーっ!』ってなってる時にできたりとか、そういう状況に、プラス締切とかもうあってこういう曲になっちゃったとか。
そういう、切羽詰まったところで出てくるものが、結局入ってる気がしますね。」
――そういう曲ばっかりここに選ばれてるみたいな?
「うん。まあ他もだいたいそんな感じなんですけどね。
だから、必要に迫られないとやらないっていうのもあるんですけどね(笑)」
――でも、崖っぷちってことはつらいじゃないですか。
「うん」
――つらいんだけど、曲ができた瞬間が一番うれしいんだ。
「そうですね」
――つらさとうれしさがセットになってるってことですか。
「うん!まさに。
だから、なんつうか…“やわらかな日”なんかそうだけど、作るまで結構、どれ持ってってもボツみたいな感じになって、
『うわー…』ってなってて、もうなんか…『もうなんでもいいや!』みたいな感じで、どうにでもなれみたいな、心境としてはそんな感じで、楽しい曲を作るんですよね(笑)。
ある意味、音楽が仕事でいいと思ってるところがすごくあって。
曲を作ったり、詞を書いたり、歌を歌うのは仕事だしって、数年前から結構思ってんですけど。
それはちょっと気分がいいんですよね。
もちろん音楽は趣味の延長なんだけど、これでごはん食べてるし、それには締切とかあったほうがやるし、そういうことでモチベーション上がったりもするし。
歌を作るのは仕事だっていう感覚、ぐらいでいたほうが。
じゃないとやらないって感じなんですけどね(笑)。
や、やらなくはないんけど、それは詞はついてないインストですよ、みたいな感じですよね。
ギターのアルバムになっちゃいますけど、とかですね」