昨年に続き、今年もまた世界の平均気温が史上最高になる、という研究が発表されています。
この傾向は、各地で深刻な状況を招いているようです。
例えばインドでは、この5月に同国の史上最高となる気温51℃を記録し、数百人の人が亡くなりました。インドでは、毎年4月~6月の気温は45℃前後まで上がるのですが、今年は例年より3~5℃高いと言われます。
融解に拍車がかかる北極海の海氷
この気温上昇は、北極海の海氷融解にも拍車をかけているようです。
アメリカ国立雪氷データセンターの発表(6月7日)によれば、今年5月の海氷面積が、また過去最小を記録したというのです。
実は、北極海の海氷面積が最小値を記録するのは、この5月に限られたことではありません。
下のグラフを見て下さい。
これは、2月以降の北極海の海氷面積の推移を表したもの。
2012年以降の毎年の記録と、1981年~2010年の平均値が示されています。
(上のグラフは「米国立雪氷データセンター」による)
今年は、1月・2月・4月・5月と、3月を除いた全ての月で、最小値を更新しています。
また、5月の融解のペースが速まっていることも、見てとれます。
これまで、5月の最小値は2004年に記録されていました。今年は、その2004年を、58万㎢も下回ったと言われます。
「58万㎢」とは、どれくらいの面積なのでしょう?
「58万㎢」を実感することは難しいのですが、日本の国土面積の約1.5倍に当たる面積です。
それだけの海氷が、過去最小の年よりも融解したのです。
1981年~2010年の平均海氷面積と比べると、なんと日本の面積の約3.7倍の海氷を失ったことになります。
北極海の海氷が減ると、どんな影響が現れるのでしょう?
太陽熱を反射してきた役割がなくなり、北極海の色が濃くなるため、太陽熱を吸収してしまいます。それが地球温暖化を加速し、また長期化させます。
私たちの努力で気温上昇を「2℃」に押さえたとしても、海に蓄えられたエネルギーによって、温暖化が長期化するのです。
グリーンランド氷床の融解
今年の暑さは、グリーンランドの氷床にも深刻な影響を与えそうです。
すでに島の8割をおおっている氷床や雪が、例年より早いペースで溶け始めていることが伝えられています。
グリーンランドでは、昨年夏に「記録的融解」が起きました。
気温上昇の原因は「ブロッキング」です。
ブロッキング現象・・・日本ではあまり耳にしませんが、ヨーロッパの熱波を引き起こした現象です。
それが、昨年夏にグリーンランドをおおいました。
温暖化では、高緯度地方の気温上昇の方が中緯度地方のそれより大きくなります。
そして、高緯度地方と中緯度地方の温度差が縮まります。
その結果、ジェット気流が弱まり、弱まったジェット気流はいつもより大きく北に蛇行します。
この大きく曲って蛇行したところに、中緯度地方から温かい空気が流れ込み、長期にわたって停滞したのです。(このような現象を「ブロッキング」と言います。)
最近では、北極海の海氷融解がブロッキングを多発させている、という研究論文も発表されています。
グリーンランド氷床の融解は、当然海面上昇をもたらします。
海面上昇のテンポは、2013年に発表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告よりも大きいということが、多くの研究者によって叫ばれています。
更に、グリーンランドの氷床融解は、海水の塩分濃度をうすめ、海水の沈み込みを弱めます。
地球規模で循環している海流に影響を与え、地球規模での気候変動にもつながっていきます。
昨年末、全世界の200近い国々が参加したCOP21では、気温上昇を、産業革命以前の2℃
未満に抑え、1.5℃未満に抑える努力をすることが決められました。
最近の自然現象の変化を知ると、一刻も猶予のならない状況だということが分かります。
日本では何より、原発と石炭火力発電に依存したエネルギー政策の転換が強く求められます。
私も、折りに触れ、「地球温暖化の今と21世紀」の連載を書き続けていこうと思います。
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