作戦No.008【フツーのペイルウイング?】 | 地球防衛軍第7支部(凍結中)

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―2025年6月30日 9:25―

―アメリカ ニューヨーク―

「……じゃあ、フィッシュバーガーと―――」

 突然ではあるが、彼…イヅキ隊員はアメリカへと来ていた。

 理由は単純。イヅキ小隊配属予定である四人目の仲間と合流するためである。なお、グレイ隊員とエリス隊員は諸事情から、後からアメリカにやってくることになっている。

 ちなみに合流するとは言っても基地で。そして、その予定時刻はお昼過ぎ。

 しかしなぜかEDF輸送機でなく、民間機でやってきたイヅキ隊員は、朝一番にはニューヨークに到着していたりする。

 そんなわけで、今……彼は某世界的に有名なファーストフード店で朝食を取ろうとしていたりする。

 注文の品を受け取り、空いているテーブルへ。そして、窓際の席に腰掛けて、黙々と朝○ックを堪能する。

 聞いた話によると、四人目の仲間はペイルウイング隊員とのことだった。たしかに、あの機動性などは今のイヅキ小隊にとっては助かるものだ。けども不安もある。――――それがどんな人物か……である。

 しかし、なやんでもしょーがないので、気にしないことにした。今から悩んでもしょうがない。どーせ、後で悩むのだから。

「……アメリカのフライドポテトって、Mサイズでも量が違うんだな…」

 などと、実にどーでも良いことを考えつつ、食事を続ける。

 ……と、そこで突然警報が鳴り始めた。

「――――っ?!」

 インベーダーの襲来を知らせる警報。それに気がついた周りの市民は、すぐさま避難を始める。

 当然、イヅキ隊員もすぐに食べかけのものを口に詰め込み、あわや窒息寸前になりつつも、ジュースで強引に危機を回避。すぐさま、某有名ファーストフード点から、外へと飛び出した。

「あ……あれはっ?!」

 外に飛び出したイヅキ隊員の目に飛び込んできたもの。それは誰もが良く知っている存在だった。

 UFOファイターをそのまま使いまわしたようなボティ。その上に生えた4本の触角みたいなアンテナ(ビーム砲)。地面をしっかりと踏みしめる4本の脚。そしてその間にある…よくシモネタにされている陸戦兵泣かせの回転機銃。

 それは、いつの間にか擬人化までされており、そのマスコットキャラは近々アニメ映画化される予定の、一部の人間に熱狂的な人気のあるインベーダーの陸戦兵器…ダロガだった。

 その人気の程は、こんな危険な状況にも関わらず、足元でフラッシュをたいている市民を見ても明らか。

 やばくないか、その位置?

 心の中で密かに突っ込むイヅキ隊員。

 直後、ダロガの触覚(ビーム砲)から打ち出された青いビームによって、市民が吹っ飛ぶ。普通なら負傷もしくは即死だろう。しかし、さすがは無敵のアーマースーツ標準装備の市民である。すぐに何事もなかったかのように起き上がり、一目散に駆け出す。

「………」

 何かが大きく間違っている気もするが、気にしない事にした。

 とりあえず、毎度の事ながら放っておくわけにもいかないだろう。恐らくアメリカのニューヨーク方面部隊の後続が到着するだろうが、それまでは自分がなんとかしなければいけない。

 久々の一人。けれども物怖じはしない。

「……やれるところまでやろう」

 そう頷いて、さっそく戦闘を開始――――しようとして気がついた。

「………(滝汗)」

 本日の自分は、どっちかというと休暇に近い状況である。なぜかアーマースーツは服の下に着込んでいるが、武器の類は何も持っていないのである。

「……ど、どうしようか…(汗)」

 これがエリス隊員であれば、恐らくダロガはすでに戦闘不能になっていたことだろう。いや、実際に潰している所を見たことはないが、なんとなく―――いや、たぶん間違いなくやってのけるだろう。

 ……が、言うまでもないが自分はエリス隊員ではない。殴りかかった所で、自滅するのがオチである。

 さて、どうしたものか。

 こうして悩んでいる間にも、ダロガは律儀に道に沿って歩いていくる。

 何かないか。何か―――そう思ってあたりを見回すと……。


 

 そこにはおもちゃ屋さんがあった。



「……………」

 ふと、ある考えが浮かぶ。いや、もちろんそんなことはないだろう…と言う考えの割合の方が大きいのだが、とりあえず入ってみる。

 店の中を見回し、イヅキ隊員は「それ」を見つけてしまった。

 かんしゃく玉である。

 なぜ、アメリカのおもちゃ屋さんにあるんだ!?と言う突っ込みはしてはいけない。現にこうしてあるのだから。

 とりあえず、持っていく。ただ律儀に代金は置いていくあたり、以下にイヅキ隊員が正直者かがよくわかるだろう。

 再び店の外に出ると、ちょうど目の前をダロガが歩いていく所だった。心の中でまさかなぁ…と思いつつも、おもちゃ屋さんにあったかんしゃく玉を投げつけた。

 装甲で幾つもの小さな爆発が起こり、そのダメージで痛そうに身をよじるダロガ。

「……効いてる? 嘘だろう…?」

 かんしゃく玉には違いない。だからと言って本当に効くとは思わなかった。もちろん、同じ「かんしゃく玉」と言うだけで試す方も試す方なのだが。

 それでもおもちゃ屋さんのかんしゃく玉とEDFのかんしゃく玉は別物のはずである。

 そう思いつつ、手にした袋を見ると…。EDF印がついていた。

「…………」

 値段は一袋――日本円にして500円。説明書きには、「建物や人には絶対に投げないようにしましょう」と書いてある。人に投げないのはわかるが、建物にも投げるなとの事。これはもう間違いなくEDFのかんしゃく玉だろう。

 なんとなく、おもちゃ屋さんに絶対置いてて良い物ではないと思うが…。まぁ、それについては後で考えるとしよう。

 触覚に青い光が灯ったのを見て、すぐさまその場から横へと飛びのいて、ビームをかわす。そしてすぐさま、かんしゃく玉を投げる。

 ダメージ。しかし、なかなか倒れない。やはり所詮は「かんしゃく玉」。HARD基準のこの世界では、パンチ力不足らしい。

 それでも投げて投げて投げまくり、挙句の果てにタクティカルチェンジFまで駆使して、なんとか一機のダロガを沈めた。

「……これじゃキツイな…」

 弱い武器で高難易度のステージを行くのは至難の業である。HP10000近くあったとは言え、HARD灼熱をレイピアでクリアするのは至難の業だったのは作者も記憶に新しい。やるもんじゃない。

 ふと顔をあげると、前方からさらに数機のダロガが迫っていた。

「…はぁ…。やるしかないか…」

 今回は大変そうだなぁ…。そう思いつつ、そっちに向かおうとすると――――

「……EDFの隊員?」

 後ろから静かな声が聞こえた。振り返ってみると、そこにはいつの間にか一人のペイルウイングが。

「い、いつの間にそこに…?」

「……今さっきかな」

 声をかけられるまで、全く気がつかなかった…。

「……とりあえず、後は私が―――」

 実に落ち着いた声でそう告げると、そのペイルウイング隊員は、すぐに飛行ユニットを展開して空へと飛び上がった。

 距離を詰めつつ、イズナ-Dカスタムでダメージを与え、止めにレーザーランスCのコンボで次々とダロガを破壊していく。その動きは実に慣れたものだ。

 同時にイヅキ隊員は思う。久しぶりにまともな戦い方を見た!!と。

 ……やがて、そのペイルウイング隊員によってダロガは全て撃破。他の区域に出現したものも、全てEDFの活躍によって破壊されたのだった…。



―2025年6月30日 11:33―

―ニューヨーク郊外 EDFアメリカ支部ニューヨーク方面基地-

 その後、基地に一緒に戻ったイヅキ隊員に紹介されたのは、まさに今であったペイルウイングの隊員だった。

「彼女が君の部隊に配属される予定のハルナ・F・ユウキ隊員だ」

「……よろしく」

「なんか嬉しそうだな…」

「だって、普通そうだし…」

 とりあえず小声で、基地司令に答える。すると基地司令はポンと肩に手を置いて答えた。

「そう見えるだけだよイヅキ隊長」

「……え?」





☆予告

 ついに四人目の仲間が加わったイヅキ小隊。その後、グレイ隊員とエリス隊員も合流したイヅキ小隊に、初の特殊作戦命令が下った。

 前代未聞の作戦内容に戸惑うイヅキ小隊の面々だったが、創意工夫を働かせて、その作戦に挑む。


次回――作戦No.009【ダロガ捕獲作戦】

 四足歩行型陸戦兵器「ダロガ」、再度登場!!


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□えむ’sコメント□

 と言う訳で、アメリカ編突入。そして四人目のハルナ隊員登場。

 現状では、イヅキ隊員同様の普通のペイルウイングです。が、彼女も実はただ者ではない…。

 さて、ここら辺から防衛物語Ⅱも本番突入です。原作ぶち壊し率急上昇……かも。