かかりつけ薬剤師制度を利用すると、薬を服用するうえで心配なことを相談したり、薬局の営業時間外でも、適切なアドバイスを受けることができます。このサービスは、薬局において信頼できる薬剤師を1人選び、同意書にサインをすることで利用することができます。患者には、次のようなメリットが発生します。
1、担当の薬剤師が、ほかの医療機関や薬局で受け取った薬はもちろん、市販薬やサプリメントも含めてまとめて把握し、重複した薬がないか、また薬同士や薬と食品の相互作用に関することなど、薬の服用に際しての注意点などをアドバイスしてくれます。
2、薬局へ出向いた際に、過去の服用記録と服用後の経過を継続してチェックし、体調の変化をみて、必要に応じて医療機関への連絡を行ってくれます。また、余っている薬がある場合、薬局に持参すると次回の処方調整を提案してくれたり、自宅まで来て薬の確認や整理をしてもらうことができます。
3、担当薬剤師の勤務予定について教えてもらえます。また、薬局が閉まっている時間帯、休業日でも、24時間体制で相談を受け付けてもらえます。ただし、やむを得ない理由で担当薬剤師が対応できない場合は、ほかの薬剤師が相談をうけることもあります。
かかりつけ薬剤師を指名し、サービスを利用するとした場合、次回の処方箋分から「かかりつけ薬剤師指導料」として、70点=700円の診療報酬が加わることになります。
ただし、かかりつけ薬剤師のサービスを利用しないとしても、薬の効果や副作用を説明した文書の提供や服用歴の作成などによる「薬剤服用歴管理指導料」として、38点=380円または、50点=500円(お薬手帳を持参するかしないかなどの条件によりどちらかの点数・金額に決まる)の費用負担がかかります。そのため、かかりつけ薬剤師サービスを受ける場合の実際の負担増額分は、3割負担の人であれば1回につきおよそ60~100円となります。
かかりつけ薬剤師は、薬剤師の誰もがなれるわけではありません。一定以上の経験や知識を有し、また地域に根差し、いつでも相談に乗れることが求められるため、次の要件を満たすことが必要です。
1、薬剤師として3年以上、薬局での実務経験があり、その薬局に週32時間以上勤務しているとともに、その薬局に半年以上在籍している。
2、薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度の研修認定を取得している。(2017年4月から)
3、医療にまつわる地域活動の取り組みに参画している(地域の行政機関や関係団体などが主催する講演会、研修会等への参加、講演会等の実績)