フィリピンで勝ち抜くオークション会場とは。2 | WEBマーケティングで事業の成功と世界中の貧困を無くすまでの物語!

フィリピンで勝ち抜くオークション会場とは。2

これからの時代のフィリピンで勝ち抜くオークション会場の要件を述べる前に、過去のフィリピンにおけるオークション会場が衰退、倒産、分裂をしていった過去の実例に基づいて原因を分析してみたい。



1. サプライヤー(コンテナ供給業者)集めの難しさ

簡単に40 feetコンテナといっても、隙間という隙間、例えば家具や冷蔵庫の中にまでも無駄なスペースを極限にまでぎっしり詰めたコンテナを作るのは並大抵でないし、そのコンテナを作る体制が整えられる力のあるサプライヤー自体が少ない。

例え、既存サプライヤーがコンテナを送ることを何らかの理由でやめたとしても、常に新たなサプライヤーを補充してコンテナの本数を維持できるオークション会場でなければ長く維持することは難しい。
オークションはコンテナの確保が売上の源泉であり、最も重要な前提条件でもある。


2. 不良債権の増大

元々、フィリピンのオークションは日本の古物市場同様にリサイクルショップを中心としたバイヤーが競りに参加している。

最近はエンドユーザー(一般消費者)も参加可能なオークションも登場しているが、やはりそれを生業としているバイヤーの参加がなければオークションは成り立ちにくい。

多くのオークション会場は競り落とされた商品をチェックと呼ばれる約束手形により、二週間から一ヶ月ほど支払いに猶予を与えてバイヤーが参加しやすいというより、バイヤーに都合が良いオークションスキームを目指してきた。

バイヤーたちは、その猶予までに落札した商品の支払いをするのだが、ほとんどのこの業界のバイヤーは、企業というよりも資本力に乏しい自営業者のような人間が圧倒的に多く、
落札した商品をチェックの期限までに店で売りさばいて、その売り上げから支払いをしようという発想の人間が多い。

つまりは自転車操業で成り立っているのがフィリピンのジャパンサープラスのバイヤー達ということになる。
ジャパンサープラスのリサイクルショップがトレンディで誰がやっても飛ぶように商品が売れた時代はそれでも成り立っていた。

しかし、マニラ周辺におけるジャパンサープラスのマーケットは「フィリピンで勝ち抜くオークションとは1」にも書いた通り、既に成熟期にあり、昔のような勢いはない。
なので、リサイクルショップを何件も経営しているリサイクルショップ経営者が、自転車操業スタイルが通用しなくなり、支払いを遅延したり、支払いを踏み倒したりするバイヤーが増え始めている。

ビッグバイヤーと呼ばれるバイヤーは、一回のオークションで20万ペソから40万ペソ(約50万円から100万円)ほどの買い物をする。


大きなオークション会場は月間8回のオークションが開催されるので、反対にいうとチェックに一ヶ月の支払い期限を与えているオークション会場は1バイヤーに大凡160万ペソから320マンペソの売り掛けをも許すことができるということになる。


実際にかつては、有名なビッグバイヤーとして君臨していた複数店舗のリサイクルショップのオーナーは、自分が知るだけでもマニラ周辺の2箇所のオークションに230万ペソの売り掛けを払えずに逃げ回っているという。

これは、大きなオークション会場の数ヶ月分の利益に匹敵する。
一人のバイヤーの不良債権で手数料で成り立つオークションの運転資金が回らなくなる。
そこからは地獄のような悪循環の始まりである。

お金が回らないので商品を急いで売るために売上が下がったり、サプライヤーへの支払いが遅れたりしてサプライヤーが離れて行く。サプライヤーが離れるとさらにお金が回らなくなる。
そうやって潰れたり、苦戦するオークション会場も少なくない。



3. 過度なネゴでの卸販売の罠

オークションで厄介なのが、ネゴ(交渉による)販売である。

何故なら一見それはオークション運営において良い手段であるという錯覚を引き起こすからだ。

オークションを運営すると分かるが、時期や客層によって、オークション開始価格で誰も手を上げず、売れずに流れてしまう商品が必ず出てくる。
そこでオークション会社は、次回のオークションで競りに掛け直すか、常連のバイヤーにネゴで販売するかの選択に迫られる。

そこで多くのオークション会社は、ネゴで販売するという選択を選ぶところが多い。何故ならネゴは、手間もかからず、資金回収も早い上、相場に近い価格で販売できるからである。
しかし、そこに落とし穴が潜んでいる。

一旦ネゴでの販売をやりはじめると、売り手も買い手も便利なネゴの味をしめて、それがエスカレートし、コンテナが到着した瞬間に、良い商品は優良バイヤーを呼びネゴをして、余り物をオークションに出品しているというオークション会場もあるくらいである。
そうなると、ビッグバイヤー達はネゴするだけで、良い商品が手に入るので面倒なオークションには参加しなくなる。

また、そのオークションには良い商品が出品されなくなり、ビッダー達からは、あのオークションはゴミだけだと囁かれ始めてゆっくりと衰退が始まる。



4. オークションオーナーの金銭に対する麻痺

オークションは、一般的には手数料のみで運営され、売り上げのほとんどはサプライヤーの売り上げとして返金される。

売り上げは言わばサプライヤーの預かり金というイメージである。
サプライヤーへの売上の送金時期は、オークション会場にもよるが、平均的にはコンテナが到着してから60日、長いところだと90日というオークションも存在する。

一ヶ月に50万ペソ/コンテナを10 本を売るオークション会場であれば、500万peso(約1250万円)の売上になる。

オークション会場によっても手数料や締め方の仕組みは違えど、ほとんどサプライヤーや現地のブローカー(日本でいう乙仲業者)への支払い、家賃や人件費など諸々のコストで売上のほとんどは消えてしまう。

しかし、人間は大きな現金を前に分別が付けられる人ばかりではない。
その預り金であるサプライヤーの売り上げに手を付けてしまう人間もいる。

その心理はこうだ。
目の前に支払い期限が少し先のコンテナの売上があるとする。
しかも、次々とコンテナ入庫の予定もギッシリと入っている。
10 万円くらいを私的に使ってみても、オークション運営には支障がない。
また次も同じように使ってみる。やはりオークション運営には影響がない。

こうしてこれが癖になり、本来サプライヤーへの預かり金に手を付け始める。

フィリピンにおいて、10万円は大金である。
用途や場面によっても異なるが、一般的に日本とフィリピンのサラリーマンの給与比較から換算すると7~10倍ほどの貨幣価値のギャップがあるという感覚が近い。
フィリピン人にとって10万円は、日本人の70万円から100万円に対する感覚に近いのではないだろうか。
それが月間1250万円というと、フィリピンではどれほど大金なのかが、お分かりいただける思う。

そうやって最後にはサプライヤーへの支払が遅延し始める。
始めは、それらしい言い訳をするが段々とその言い訳が通用しなくなり、サプライヤーも不審になりコンテナ送るのを控え始める。
そこからは誰もが予想できる展開が待っている。



5. 売上の透明性


先程の4と同様に、これもオークションオーナー側の「少しくらいなら大丈夫。」とか、「見えなければ問題ない」という経営者のモラルの問題から生まれるリスクがこれになる。

日本のオークションとは違い、サプライヤーは基本的にオークションの売り上げに関しては、オークション会場からのレポートを信用するしかない。

家具や家電、日用品のオークションは車や重機のオークションとは違い、多額の開発費がかかるIT管理システムにコストを割くのが難しいから、売り上げレポートはエクセルデータでの事後報告となってしまうことが多いからだ。

日本側のサプライヤーと信用で成り立っているフィリピンのオークションだけれども、そのバランスが下記のように崩れてしまうことも考えられる。

オークション経営者は始めに、売り上げの源泉であるコンテナが来ることに関しては、ありがたいと感じるのは、どのオークション会社も同じであると思う。

ただ、フィリピンのオークションを経営すると分かるのだけれど、一見派手に見えるオークションも、日本人経営者にとって、さほど儲かる商売でない反面、運営に対する労力や作業量、責任やリスクは非常に大きい。

こんなに大変なのに、これしかお金が残らないというのがほとんどのフィリピンにおけるオークション経営者の本音なのではないかと思う。

そして、段々と年月が経てば経つほど初心の感謝の気持ちを忘れるのも悲しい人間の性でもある。

そこでオークションの売り上げ金額の偽装が始まる。

例えば、50万ペソの売り上げを調整して、売上を47万ペソとレポートする。
経営努力なしに3万ペソを手にすることができる。

5、6%くらいの金額なら実際にオークションの価格変動で当たり前に起こることなので、サプライヤーはレポートだけでは気づけないと思う。

これにより、1ヶ月10本を受け入れるオークション会場なら30万ペソ(約85万円)が純利に早変わりする。

先程も書いたようにこれはフィリピンでは大金になる。

もちろん、オークション経営者が、こんなことをするモラルがない人間ばかりではないが、私は、現在は潰れてしまったあるオークション会社が実際これをやっていたと、そのオークションの元経理スタッフから聞いたことがある。

サプライヤーは、どのオークションを選ぶのが安心なのか。
それは洞察力と信用でしかない。


6. コンテナの品質維持


フィリピンはここ数年で飛躍的に経済発展をしている。
それに目がけて格安のありとあらゆるジャンルの中国、韓国製品の新品がショッピングモールで並んでいる。
いくらmade in Japan ブランドといえども、消費者の心理として日本製の中古品を買うか、さほど金額が変わらない新品を買うかは常に比較検討されることになる。
一昔前のように所謂ボロは今のフィリピン人は見向きもしない。
そこまでフィリピン消費者のレベルは上がっている。
また、年々と高く売れるコンテナの内容も変わり、日本からフィリピンに輸出して合う商品、合わない商品も変化し続けている。

これらの傾向をいち早く掴み、サプライヤーと共有できるオークションでないと、急激な変化を伴う時代についてこれず、やがて閉鎖においこまれる。


他にも、スタッフの不正、ヒューマンエラー、泥棒、不正にお金を取ろうとするフィリピンの税務署、警察、乙仲業者など様々な日本ではありえないような落とし穴をオークションは勝ち超えていかなくてはならない。


次のブログでこれからのフィリピンで勝っていけるオークションの要件を自分なりの意見を紹介したい。



続く