バルバラ・フリットリが「ドン・カルロ」のエリザベッタを歌うというのでチューリッヒに飛んだのは一昨年のこと。
ところがフライト直前にエリザベッタはダニエラ・デッシーに変更になり、でもキャンセルはできないのでそのまま飛んだのでした。
結果的には他にも・・・
フィリッポ二世:カルロ・コロンバーラ
エボリ公女:ルチアーナ・ディンティーノ
ロドリーゴ:レオ・ヌッチ
ドン・カルロ:ファビオ・アルミリアート
指揮:フランツ・ヴェルザー=メスト
・・・という豪華な布陣で大満足でした
1100人しか入らない小さな劇場なのにすごい元気のある劇場なのです。
今回のスカラ座引っ越し公演「ドン・カルロ」は・・・
フィリッポ二世:ルネ・パーペ
ドン・カルロ:ラモン・ヴァルガス
ロドリーゴ:ダリボール・イェニス
宗教裁判長:アナトーリ・コチェルガ
エリザベッタ:バルバラ・フリットリ
エボリ公女:ドローラ・ザージック
まず素晴らしかったのはエリザベッタのバルバラ・フリットリ
声も姿も美しく凛とした王女役はぴったりでした。
悩める王を演じたルネ・パーペにも拍手。
初めて声を聴くけれど役柄にぴったりだったのはロドリーゴ役のダリボール・イェニスこのオペラ、「ドン・ロドリーゴ」と名前を変更してもいいほどロドリーゴが活躍します。
これに対してドン・カルロのラモン・ヴァルガスは・・・声がリリック過ぎて役柄に合っていませんねぇ~マントヴァ侯爵ならまだしもカルロはもっと重い声のテノールが歌うべきでしょう。
エボリ公女のドローラ・ザージックは昔からうたっているけれど彼女、いくつなんでしょう???
アメリカではすごい人気でMETで「アメリカの悲劇」を観た時は大喝采を浴びていましたよ。
ザージックは声量がありすぎて、カルロ、ロドリーゴとの3重唱ではバランスが超悪かった・・・これは指揮のダニエレ・ガッティの責任もございましょう。
アリア「むごい運命よ」は凄い迫力だったけれど・・・。
演出はかなりシンプルなもの。
カルロ&ロドリーゴの少年時代を投影したり、わかりやすい演出ではありました。
ガッティの音楽は「???」な部分もあり、「ドン・カルロおたく」としては多少不満足。
だけれどつくづくチューリッヒ歌劇場の「ドン・カルロ」は凄かったのだと再確認した公演でありました。