どちらの店にも岡田あーみんの作品が平積みしてあるんだな。そしてあーみん作品のポップには「少女漫画界に咲くドクダミの花」のフレーズが!……懐かしい。
今回は、最近読んだエッセイや小説についてポップを描いてみた。
ポップに見えないかもしれないけど、あえてポップだと思って読んでいただきたいデス。
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■ ウェブ進化論 / 梅田望夫
ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる誰もがパソコンを自由に使えるようになり、ブログなど情報発信を容易にする手段が普及、Googleの検索エンジンなど情報を取捨選択する方法が広まったことで、Webの世界が変わりつつある。いわゆる「Web2.0」だ。 (中略) 実際、Googleのサービスを利用して、従来なら開発に数億円かかったシステムを、数十万円で作った企業も出てきた。この流れは企業のIT環境に大きなインパクトを与えるものだ。ITにかかわる人なら必読の一冊と言える。 (Amazon/レビューより) |
検索サイトとして名を馳せてるGoogleは、どうやら世の中のありとあらゆる情報に接触し、分類したがってるらしい。そして最終目標は「世界政府に必要なものを全てプログラムで構築する」というバーチャルリアリティの実現らしい。
数年前に、浜崎あゆみが黒い犬に命令して情報を持ってこさせるというLYCOS(検索サイト・日本では楽天と合併してなくなっちゃった)のテレビCMがあった。当時の私には、あのCMが検索サイトのイメージだった。(でもLYCOSって犬じゃなくて、クモの一種らしい)
犬だと思ってたものが政府の樹立を目指してたっていうことに、ちょっとビックリ。足元にじゃれついていた飼い犬が、目を離したすきに「ケッ」って、花壇の花につばを吐いてるような裏切りを感じた。
そういえば、Googleで検索したときに上位表示されるようにすることをSEO対策を講じるって言うけど、それをやりすぎてしまった企業のWebコンテンツがGoogleの検索結果に一切表示されないというおしおきを受けてたことが、昔(ドイツの自動車会社)も今(アメブロを運営しているIT企業)もあった。Googleは最初からかわいらしい犬などではなく、キッパリと跳ね除ける力さえ備えた政府ったんだね。
しかも、すごい外交力(?)。しびれる憧れるぅ~。
と、読みながら思った。
ところで、この本を書いているのがGoogleの内部の人ではなく、(株)はてなの取締役さんがというところにも注目。
先週の金曜日にWBS(テレビ東京系のTV番組『ワールド・ビジネス・サテライト』)にこの著者の人が出演してたけど、恐竜(この話も本書に書いてある)とGoogle政府の話しか耳に残らなかった。……はてなの紹介に来たんだよね、確か?
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■ 理由 / 宮部みゆき
事件はなぜ起こったか。殺されたのは「誰」で、いったい「誰」が殺人者であったのか―。東京荒川区の超高層マンションで凄惨な殺人事件が起きた。室内には中年男女と老女の惨殺体。そして、ベランダから転落した若い男。ところが、四人の死者は、そこに住んでいるはずの家族ではなかった…。ドキュメンタリー的手法で現代社会ならではの悲劇を浮き彫りにする、直木賞受賞作。 (Amazon/レビューより) |
宮部みゆき作品(ミステリー中心)にはまっている父が、昨年の秋頃に貸してくれた作品の一つ。
返しそびれたので、もう一度流し読みしてみた。
漫画にしたら映えそうだなと思った作品は、これから紹介するものよりも『龍は眠る』という作品のだと思った。田島昭宇のようなシャープで、ちょっとエキセントリックで、神経質で猟奇的な絵柄が似合うと思うと勝手に決め付けてみる。
さて、『理由』だ。
事件に関係する人物にインタビューしていくという設定で、話が進んでいく。
既に事件は解決しているという設定でのインタビューなので、「今思えばアレは……」と思わせぶりな発言がたくさん出てくる。そうかと思えば現在進行形の話も織り交ざり、読み手としてはインタビューでの「アレ」に直結するものを、同時進行の話から探るという感じだ。
と言っても、ときどきインタビューを受けた人が余計だと思われることまで延々と語ることがあるので、勘ぐりすぎたときや話を早く進めたいときは脱力する。
事件を起こした人についての証言は、なかなか登場しない。それだけこの事件の加害者が”薄い”存在だったのだと思う。
都内の超高層マンションで、一家の全員が死亡する事件が起きた。亡くなったのは、室内に惨殺された3人(中年の男女と老女)、そして庭に転落死した1人(若い男)の4人。そしてマンションの住人からは、事故後にも生きている人の影があったり、カメラを避けるようにエレベータで降りる男性がいたり、と様々な目撃情報が寄せられる。しかし、亡くなったのは部屋の本来の住人であった家族ではないことが判明する。さらに、亡くなった4人の身元を知っている人は誰もいない。……。
事件は、世間の常識の軸が大きく外れてしまった加害者が引き起こしたものだが、隣人への無関心が話を大きくしてしまったのかもしれない。
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■ かわいい子には旅をさせるな / 鷺沢 萠
急逝した作家・鷺沢萠が考えたこと、願ったこと。死の直前まで書き続けた、軽妙で微かにせつない珠玉のエッセイ34篇。 (Amazon/レビューより) |
好きな鷺沢作品に、『葉桜の日』という自分探しの物語がある。
それを読んで、鷺沢さんはこの季節が好きなんだろうな、となんとなく思った。
本作品の一番最後に収録されている『七年後、そして十年後』というエッセイの書き出しがこうだ。
「新緑の季節が好きだ。一年の仲で一番好きなシーズンかもしれない」
この文章は、大和書房のホームページに2004年5月に掲載されたものだった。
鷺沢さんは『七年後、そして十年後』が発表される前の月の、4月11日に急逝した。
報道では「自殺」と出ていた。
彼女の自殺説を信じられなかった私は、『野生時代』の2004年6月号に群ようこさんの追悼文が掲載されるというので、すぐに飛びついた。
群さんは、鷺沢さんがおねえちゃんと呼んで慕っているほど仲が良い人だ。追悼文の中では、最後の日の数日前に会ったことや、彼女がとても体調を悪そうにしていたことを、彼女のしぐさの細かなことまで思い出して淡々と書いていた。そして、彼女の死を「信じられない」と書いて締めていた。
鷺沢本人の公式Webサイトの日記でも、体調不良(風邪が治らない)については書かれてた。いつも笑わせてもらってた、隠し日記(公式Webサイト上での裏日記)で、管理人の小田原ユキさん(Webサイトでは、「へび」とか「わたべ」とかと呼ばれる)が、最後まで鷺沢さんにつっこんでいるのがおかしく、そして悲しい。
【関連ページ】
4月11日の命日にも更新されてる。
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