Michael Werba | ファゴッティスト♪ 蛯澤 亮 アメブロオフィシャルブログ│RyoEBISAWA♭Fagottist & Bassoonist Official Blog by AmebaBlog Version!
僕には三人のファゴットの師がいます。




一人目は東京での師、馬込勇氏。僕をファゴットの世界に引きずり込んでくださいましたw


二人目はウィーンでの師、ミヒャエル・ヴェルバ氏(現ウィーンフィル首席)。


三人目はバーゼルでの師、今も昔も一番の憧れの存在、セルジオ・アッツォリーニ氏。




今回はヴェルバ先生の紹介をしようかと思います。



ヴェルバ先生はこれからこのブログのカテゴリー「留学」の中でたくさん出てくると思いますが、

ウィーンでの師であり父であった人です。



「ウィーンでは、俺はお前の師であり父親だ」


彼本人に言われた言葉です。



実際、彼は僕の両親と同世代で、彼の子供たちも僕と同世代なので

厳しく、たまに優しくw、ファゴットからプライベートなことまで気にかけてくださいました。




また馬込先生とはウィーン国立音大時代に共に学んだ間柄です。





はじめて馬込先生がウィーンでレッスンに行った時、

トルノフスキー氏(現ウィーンフィル首席)が初見でOzziのエチュードを一冊演奏し、

レッスンの最後にヴェルバ先生が来て、当時ウィーン交響楽団にいたので本番衣装のまま、

わけのわからない難しいエチュードを完璧に吹いたので

「とんでもない世界に来た」

と圧倒されたというお話をよく聞きました。




ヴェルバ先生の特徴はなんといってもウィーンフィルの伝統を現代に伝えている奏者ということです。

ウィーンは独特の運指法があり、それがウィーンの響きを作っているとも言えますが

同時に不器用さも存在します。

彼はすべて、いかなるときもウィーンの運指で演奏します。


アーティキュレーションやフレージングも基本に忠実です。

ある時僕に

「20年前のウィーンフィルより今のウィーンフィルの方が断然上手だ。テクニックではね。

 しかしアーティキュレーションやフレージング、ハーモニーは昔の方が合っていた。

 だから自分は新しい団員に伝えなければいけないことがあると思って口うるさく言ってるんだ」

と語ってくれました。




ウィーンに留学したての頃はウィーン国立歌劇場に毎日のように立ち見席に通いましたが、

オケピットの見える席でオケを観察していると

たしかにヴェルバ先生が若い団員に対していろいろと話しかけているのが見えました。


あまりに言うのでうざがられているくらいですw


でもそれが、世界一のオケと言われ続け、

移り変わる時代の中で伝統を守っているウィーンフィルの姿なんだなと思いました。




それは新しい団員に対してだけでなく、ベテランでも誰でも、

問題を感じたときはとことん話します。



オペラの一幕が終わって休憩に入った途端に

コンサートマスターのヴェルナー・ヒンク氏に向かって

「ヴェルナー!!!」

と恐い顔で詰め寄って行き、二人でしばらく言い合ってたこともありました。




日本人はよく和を大事にすると言いますが

ぶつかり合うことを避ける傾向もあるのかもしれません。




喧嘩することが良いと言う人もいますが、

別に喧嘩することがいいのではなく、

お互いの意見を言い合ってお互いを理解し一つのものを作る道筋を見つけて行く、

そんな作業が大事なのかなと思います。




自分もいつまでも

妥協的でなあなあにならずありたいと

戒めながら

音楽をしていこうと思います。






♪笠間出没情報♪

8/30(土)
森のカフェ さりょう
18:30~
ミュージックチャージ 500円
共演 小玉安奈(バイオリン) 
ベートーベン 二重奏、コレッリ ソナタ、日本の歌など

8/31(日)
フレンチレストラン トルテュ
ランチタイムコンサート
開場11:30  開演12:00
お一人様 2000円(食事、飲み物付き)
学生推奨、要予約
共演 齋藤歩(フルート)
ベートーベン 二重奏、ギャベ 二重奏、日本の歌など