がぶっ!と地球まるかぶり -5ページ目

アラスカ!アラスカ!アラスカ!

テントで話しながらいつの間にかウトウトしていた。


シュラフに包まっていなかった僕はあまりの寒さに身震いし目を覚ました。

目の前には、シュラフに包まっていなかったことを感謝せずにはいられない

光景が静かに広がっていた。


がぶっ!と地球まるかぶり


満月の薄明かりの中に、静かに浮かび上がる真っ白なマッキンリー。

その雄姿に、間違いなく僕は寒さ以外の何かに身震いさせられた。

込み上げてくる感動に、寒さを忘れ、その神秘的な美しさを独り占めする時間。


本当は、すぐにでもたかちゃんを起こしてこの光景を見せてあげたいけど

ほんの一瞬だけ、静かに自分だけのマッキンリーを楽しんだ。


たかちゃんを起こした後、寒さと感動で震えながら二人で見た

マッキンリーの雄姿はきっと一生忘れないだろう。


そして翌朝、目を覚ますと今度は朝陽に照らされた完全なマッキンリーの姿が。

がぶっ!と地球まるかぶり


この場所で、これ以上、何を望むものがあるのか。

エベレストを凌ぎ、世界一と言われるその山容は、紛れもなく「偉大なるもの」

として、僕らの前に堂々と佇む。

がぶっ!と地球まるかぶり

刻々と変化していく空の表情が、また違う雰囲気を楽しませてくれる。

がぶっ!と地球まるかぶり


目の前にハッキリと映るあのマッキンリーのどこかに眠る植村直己。

自然の驚異、死への恐怖、生命の宇宙観・・・色々な想いが交錯する。


がぶっ!と地球まるかぶり


そんな僕のハッキリしない胸のうちを晴らすかのように、気持ちのいい空が

僕らの上空を覆ってくれる。

がぶっ!と地球まるかぶり

神か仏かアラーか何か知らないし、そんなことはどうでもいいけど

目に見えない何かに僕らは生かされているのかもしれない。


がぶっ!と地球まるかぶり


ヒマラヤと言う神の領域では、低酸素でそれどころではなかった僕も

ようやくここデナリで何か大事なことを感じることが出来た気がする。


まぁ、いつもの僕の口癖から言わせれば


「気のせいだよ」


と、一蹴されるかもしれないけど・・・。でも


「気のせいで何が悪い!」


と、今の僕なら昔の自分にこう応えることができる気がする。



見えない何かを探しに想えば遠くへきたもんだ。


こんなに遠くへ来たけれど、大事なことはいつも近くて遠い

自分の内側にあることに気付かされる。


さぁ、僕らの旅もあと僅か・・・。

どの面下げて、日本に帰ろう。


くに