もっとよくなる -5ページ目

宮崎で出会った黄色のポスト

 

 

 

南国宮崎の青い空には、黄色のポストがよく映える。

 

見ているだけで幸せな気分になれる。

 

ところで、これを名古屋に置き換えたらどんな色になるだろうか。

 

私は、旅先ではたと考えた。

 

名古屋カラーってなんだ? 

 

金鯱に代表されるゴールドか。

 

金色は、派手好きな名古屋にいかにもふさわしい気がする。

 

しかし、発想が単純すぎやしないか。

 

それに、金色を売り物にする市町村は多そうだ。

 

名古屋オンリーなら、やっぱり「味噌カラー」じゃないのかな。

 

それも、名古屋人が大好きな赤味噌。

 

どうだ、これなら他の追随を許すことはあるまい。

 

でも、気になることが一つある。

 

赤味噌カラーの印象だ。

 

少なくとも爽やかではないな。

 

幸せな気分になれそうもない。

 

自分が言い出したことに、自分でみそつけるなよ。

若山牧水の生家

 

 

 

 

若山牧水の生家と記念文学館は驚くほど山の中にあった。

 

家の中には入れぬが、牧水がくつろいだ縁側には座ることができる。

 

誰も来ないのをいいことに、私はこの縁側を独占し、

山や川など牧水が愛した故郷の風景を隅々まで見渡しながら、

とても真似のできない歌人としての生き方におもいを巡らした。

 

旅、酒、妻、わが子、そのすべての関係が濃密で圧倒される。

 

国民的歌人と呼ばれるほどだから、文才に秀でていたのは間違いない。

 

しかし、牧水の歌が今も色褪せないのは「才」より「情」の力だと思う。

 

「情」とは、愛する対象物に注ぐ情念の絶対量。

 

その密度と濃度から絞り出される言葉ゆえ、

輝きを失うことなく現代を生きる私たちの心をも揺さぶるのだろう。

 

私はいちばん好きなのは、酒の心得を説くような下記の歌。

 

今春亡くなった友人も好きだと言っていた。

 

こんなしみじみとした酒の飲み方ができるのは、これからだったのに・・・。

 

白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけり

県民性なのだろうか

 

青島神社に向かう途中で遭遇したビーチ沿いの休憩エリア。

 

洒落たショップがいくつか出ていたが、賑わってる感じはしない。

 

そもそも、商売っ気がなく、売り込みの声も聞こえてこない。

 

だからといって、売り子さんたちは焦る様子もなく、楽しそうにしている。

 

これって県民性なのだろうか。

 

海のない県からやって来た私は、海洋性の気質に戸惑いながらも憧れの気持ちを抱いたのである。

 

私も宮崎に生まれ育ったなら、彼らみたいに、大らかであくせくしない性格になれたかもしれないからね。