すばらしい日々

監督:デヴィッド・フィンチャー
脚本:ジム・ウールス
原作:チャック・パラニューク
出演:エドワード・ノートン、ブラッド・ピット、ヘレナ・ボナム=カーター、ミート・ローフ・アディ、ジャレッド・レトー、ザック・グルニエ、ピーター・イアカンジェロ、デヴィッド・アンドリュース、リッチモンド・アークエット、アイオン・ベイリー、デヴィッド・リー・スミス
原題:FIGHT CLUB
1999年/アメリカ


【ストーリー】不眠症に悩む若きエリートのジャック。
彼の空虚な生活は謎の男、タイラーと出会ってから一変する。
自宅が火事になり、焼け出されたジャックはタイラーの家へ居候することに。
「お互いに殴り合う」というファイトにはまっていく二人のもとに、ファイト目当ての男たちが集いあうようになる。


-『誰と戦いたい?』-


チャック・パラニュークの同名小説を映画化したものです。

監督は、『セブン』『ゲーム』『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』 などのデビッド・フィンチャー。
最新作『ソーシャル・ネットワーク』 も公開されていますね。


それもあって久しぶりに観返したのですが、やっぱり面白いです。

初めて観たときはちょっとびっくりしたとうかなんというか。
自分がこの作品を好きかどうか自分でもよくわからない、といった感じでした。


それが今観るとその時よりももっとすごい作品として、ストレートに感じることができます。


実に巧妙で、素晴らしい演技の詰まったすごく知的な映画だと思います。


その暴力的描写が話題になりますが、それももしかすると、21世紀の幕が開ける前夜のエネルギー発散法のひとつにすぎなかったのかもしれません。

ただこの作品は決して、暴力行為を肯定するような作品ではありません。


途中のファイトのシーンでよく描かれていると思います。

彼らは決して、他人が傷つき、痛がるのを見て満足しているのではないということが。


物語は主人公の一人称視点で進行していきます。

名前は終盤まで明らかにされません。
(映画では、便宜上、主人公が朗読する古本に書かれている人物の名を取って「ジャック」となっています)


保険会社に勤務する若手エリートのジャック。


心身ともに疲れ切った彼は、セラピーに通いはじめ、そこでひとりの女性マーラと出逢います。


また別のきっかけで、ジャックは石鹸作りを生業とする謎の男タイラーと知り合い、彼によって互いを本気で殴り合って心を解放する秘密組織「ファイトクラブ」へと導かれていきますが・・・


自分を取り巻く環境、ひいては自分自身を変えたいという衝動は現代人であれば誰しもが持つものだろうし、それが時に破壊的方向に作用することもあるかもしれません。


誰もが持つ心の闇。

その深層心理を鋭く描き出しています。


そして点と点が結ばれる時。

自分が世界の一部しか見ていなかったと気づく瞬間。


「これからはすべてうまくいく」


その言葉とともに、崩れ去るビルを眺めるラストシーンがとても印象的です。


映像にいろいろと仕掛けがあるので、観るたびに新たな発見がある作品でもあります。