すばらしい日々

監督:ジョン・ウー
脚本:ジョン・ウー、チャン・カン、コー・ジェン、シン・ハーユ
出演:トニー・レオン、金城武、チャン・フォンイー、チャン・チェン、ヴィッキー・チャオ、フー・ジュン、中村獅童、リン・チーリン、ユウ・ヨン他
2009年/アメリカ、中国、日本、台湾、韓国
原題:RED CLIFF:PART II/赤壁


【ストーリー】西暦208年、魏呉蜀が争う中国・三国時代。
孔明の奇策で曹操軍を撤退させた孫権・劉備連合軍だったが、食料不足と疫病のために戦意も尽きようとしていた。
そこに曹操軍の2000隻の戦艦と80万の兵士が逆襲。
司令官の周瑜と孔明が作戦を仕掛けようとする中、周瑜の妻・小喬がある行動に出る。


-『未来に勇気を。』-


三国志前半のクライマックスとなる「赤壁の戦い」を映画化した『レッドクリフ』の続編です。
監督・キャストはもちろんPartⅠと同じです。


三国志やら赤壁の戦いやらについては、前回散々述べましたので、自重します(笑)


前作は戦いに至るまでの経緯や人物紹介的な人間ドラマが中心でした。
本作ではいよいよ赤壁の戦いへと展開していきます。


2部構成としたことで、冗長な印象を持つ方もいるかもしれませんが、こうでなければ個々の武将を丁寧に描くことは難しかったと思います。

また、PART IIでは曹操の人間性にも触れており、魏には魏の正義があったのだと感じられます。


さて実は、正史の『三国志』には、赤壁における戦いの具体像は描かれていません。


建安13(208)年の12月に長江中流の赤壁という場所で戦いが行われ、曹操が周瑜配下の黄蓋の火攻めによって艦隊を失い、疫病の蔓延もあって兵を引いた、という事実を淡々と伝えるだけです。


基づく史実が乏しかったために、小説の『三国志演義』では、この赤壁の戦いがドラマチックに描かれたのでしょうね。


その中でも孔明が風を呼ぶシーンは有名です。

作品中では孔明は風を読んだとなっていますよね。
最近の流れではそうなっているようで、季節で風が変わるというのは一般知識として描かれています。

しかし、金城さん演じる孔明が発爐のポーズをとっているように見えるシーンもあり、なかなか興味深いです。


クライマックスとなる孫権&劉備連合軍による曹操軍の大船団への火計は圧巻です。
さらにそんな中での猛将たちの豪腕ぶりもすごいです。


前作に比べ、女性のキャラクターが活躍するのもPART IIの特徴です。
特に孫権の妹である尚香の真っ直ぐさには胸を打たれます。

か弱さばかりが感じられた周瑜の妻・小喬も、決戦前夜、単身敵陣へと乗り込んで行きます。


どちらも、自らの意思で動く決断力、剣を持たずとも男たちと共に戦う姿は、女性の芯の強さを描き出しています。


アクションシーンはとにかくすごいと感じました。

人は、何のために戦うのか、そして何のために死に向かうのかがよく描かれています。
戦いで人が死んでいるのだと思い知らされます。


『三国志』に持つイメージは人それぞれだと思います。

『レッドクリフ』では、愛と友情の物語として『三国志』を描いています。


登場人物の中に、監督の“愛・平和・義”へのメッセージはしっかりと込められている。

そう感じました。