風俗嬢の彼。 | 泡姫日記~風俗嬢の戯言~in Ameblo

風俗嬢の彼。

大好きなの。

見知らぬ男に抱かれながら、心の中で祐介って叫んでる。

太ももをなぞる手を、祐介の手だと思い込ませて、

胸元に這う唇も、祐介の唇だと思い込ませて、

あたしは自分を騙し騙し、お仕事してるの。


祐介のおちんちんから膿が出て、その話を聞いたとき、あたしはぞっとした。

吐き気をもよおしてトイレに駆け込んだ。

罪悪感とも嫌悪感とも違う、あたしはただただ自分を呪った。


「いつまで続けるの?」

なんて聞かない祐介は優しい。

「あと三ヶ月でやめる」

ってあたしは自分で祐介に約束した。

あと三ヶ月だと言い聞かせて、あたしは働き続けた。

祐介に会う度に、仕事が苦しくなってくる。

祐介を好きになるほど、仕事に向かう足が重くなる。

祐介があたしを好きなほど、客に触れられるのが嫌になる。

無断欠勤した。

その分、長く続けなきゃいけなくなっちゃった。

「約束、守ってくれなかったね」

祐介は悲しそうにつぶやいた。

あたしは言い訳なんてしない。

悲しそうな祐介を見て、ほんのちょっと嫌われたら、その分あたしは仕事が楽になる。


「嘘をつかれるのは一番嫌だ」

祐介は正直な人だ。

だけど、あたしは祐介に嘘をつかなければならない。


「明日、会える?」

「仕事なの」

一日に稼ぐ倍の金額をもらって、客とホテルにいるのに。


「このバッグどうしたの?」

「客が持ってきてくれたの」

店の外で寝て、その対価に買ってもらったのに。


「どうして僕とセックスしないの?」

「お仕事で疲れてるから」

祐介に抱かれたら、他の男に抱かれたくなくなるからなのに。


祐介とあたしとの間に隙間が出来れば出来るほど、

あたしは張り切って店に向かう。


「祐介、あたし他に好きな人が出来たの」

あたしはまた嘘をついた。

ごまかしのきかない、大きな嘘を。

【この物語はフィクションです】