あたしは女優。 | 泡姫日記~風俗嬢の戯言~in Ameblo

あたしは女優。

そう恵まれてもいないこの体を駆使して、

それぞれの客のそれぞれに持つ理想の時間・理想の女を、

あたしは演じる訳である。


笑っちゃうほど純潔で上品なあたし。

猫なで声で寄りかかるとぼけたあたし。

挑発的な視線で腰を揺らすあたし。

ありもしない母性もどきで客を包み込んじゃうあたし。

ただただ淫乱なだけのおつむの弱いあたし。

聡明そうだ。なんて言われちゃう知ったかぶりのあたし。


その時々の客の欲求を満たすため、様々な女を徹底的に演じる。

どれもがあたしのようで、どれもあたしじゃない。

すべての客の要望を、素のあたしで受け止め受け入れていたら、

あたしの神経はあっという間に散っている。

どれもあたしじゃない。

決して悟られることなく、演じ続けている誰かを、

あたしは知らない。

そうして時に混乱して、あたしは自分を失ってしまう。

逃げ出した飼い犬を探すように、本当の自分を探すあたし。

女優でないあたし。

どこ?