放射能汚染瓦礫処理法~これで日本は放射能まみれになる!~ | ブロッギン敗北【ご愛読ありがとうございました】

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アウシュヴィッツが陸の上のジェノサイド、ヒロシマ・ナガサキが空からのジェノサイドだったとすれば、水俣病は海からのジェノサイドである。(栗原彬)
そして21世紀のいま、史上最悪のジェノサイドがパレスチナの地で、殺人国家イスラエルによって遂行されている…


放射能汚染瓦礫処理法,どさくさ紛れの成立
 島田紳助芸能界引退や民主党代表選などのニュースが踊る陰で,「放射能汚染瓦礫処理法」なる法律が,どさくさに紛れて国会を通過・成立した。このことはどれだけ一般に周知されているだろうか。この法案は自民党議員による議員立法で,民・自・公による審議なしで強行採決された。しかも,なぜか国会の閉会間際まで法律全文は未公開のまま。やっと公開されたものを見れば,罰則付き7章63条からなるが,肝心な部分は環境省令に委ねられるとある。なお,法律全文はココに紹介されている。

環境省による,環境省のための法律
 すなわち環境省が基本方針を決め,その出先機関を各地方に作り,その出先の長と協議しながら廃棄物処理や除染などの作業を実行に移していく。要は,閣議決定のみで,国会審議なしに環境省令で何でもかんでも決定して進めていけるようにした法律である。環境省の,環境省による,環境省のための法律だ。そこに,環境省を頂点とした新たな利権構造が形成されるであろうことは容易に想像できる。法案をひた隠しにしてきた理由も納得がいった。それにしても,原発大事故というかつてない国難をも,利権獲得のチャンスに転化しようという発想や行政のあり方には恐れ入るというか,呆れかえる。なお,処理法は3年間は見直しはないという。

原子力安全委員会が省令基準を作成
 しかも環境省令の基準を作るのは原子力安全委員会である。そこには,原子炉の専門家(班目氏,久木田氏,小山田氏など)はいても,除染や放射線測定の専門家はおらず,いわゆる原子力ムラの御用学者が名を連ねる。こんな面子でどうやって除染の基準や作業手順を決められるのか。専門知識・技術力を持った民間企業や専門家は排除され,被害住民には何の決定権もなく,従わないと重い罰則が付く。当然のことながら(?)国や電気事業者,関係機関には罰則がない。


8000ベクレル/kgを超えるセシウムを含む焼却灰も埋め立て
 このように処理法は環境省にすべてお任せしますよ,と丸投げした法だが,さて問題は,環境省が策定する基本方針である。その方針は一部報道によれば次のようなものである。―――福島原発事故により放射性物質が付着した瓦礫や一般ごみを燃やした灰について,放射性セシウムが1キログラム当たり8000ベクレルを超えて含まれるものも,灰をセメントで固めたりコンクリートの容器に入れたりして地下水への流出を防ぐ対策をした上で,埋め立てができるとする方針を,環境省がまとめたという。

処理法成立による強気の方針転換
 処理法ができるまでは環境省は,放射性物質が付着した瓦礫の処理について,燃やした灰に含まれる放射性セシウムが1キログラム当たり8000ベクレル以下であれば,埋め立てを認める方針を示していたが,より濃度が高い灰については一時保管するよう求め,処理方法の検討を続けてきた。それが,処理法成立と同時に,8000ベクレルを超え10万ベクレル以下の場合は埋め立てOKという方針に一気に旋回したのである。さらに,10万ベクレルを超える灰については,屋根やコンクリート囲いがある処分場であれば埋め立てできるとした。

重要なのは放射能汚染ごみや瓦礫を燃やさないこと
 この環境省方針の問題は,放射性物質の付着したごみや瓦礫が燃やされた後の灰だけを扱っている点である。灰に1キログラム当たり8000ベクレルもの放射性セシウムが含まれているならば,焼却されている過程でかなりの量のセシウムが空気中に放出されているはずである。大切なのは,焼却灰の処理方法ではなく,それら汚染ごみがどこから来たのか,その汚染源を突き止め,除染なり隔離なりを考えることである。環境省の方針は何でもかんでも燃やしてしまえ,というものであり,それは日本中に放射性物質を撒き散らすことにほかならない。放射能汚染されたごみや瓦礫を燃やさないことこそ今,必要なのだ。が,すでに東北や関東甲信越地方にある42の焼却施設で,一般ごみを燃やした灰に含まれる放射性セシウムの濃度が1キログラム当たり8000ベクレルを超えた,と環境省は発表した。すでに大量のセシウムが降り注いだと見ていいだろう。

日本中の焼却炉から放射性物質がばらまかれる
 今回の瓦礫処理法は,原子力ムラに牛耳られている環境省にすべての決定権を委ねることにより,日本各地の焼却炉から放射性物質を拡散させるためのものといってよい。さらに付け加えるならば,環境省は,放射能汚染された瓦礫を,他の汚染されていない瓦礫と混ぜることも許可しようとしているらしい。これによりセシウム濃度は薄まって(上限は10万ベクレルだ!),何でも燃やせることになり,いよいよ日本中が放射能まみれになる。日本全体が福島化する。そうならないためにも,瓦礫の焼却許可を与える前に,汚染源の追跡をはじめとして日本各地の汚染の実態を把握し,国民に随時公表することが先だろう。環境保全に責任を持つ官庁であれば当然の責務だ。それを怠り,何でも燃やしてええよ,というのはあまりに乱暴で無責任ではあるまいか。瓦礫を早く処理したいという気持ちはわかるが,環境問題を効率を基準にして処理しようというのは間違っている。国民の安全・健康を第一に考えるべきだ。

マスコミの怠慢と菅首相の裏切り行為
 こんなとんでもない法律が成立したことを,大きく取り上げて問題視しないマスコミも怠慢である。というよりも情報統制であろうか。一方で,細野環境大臣が汚染された瓦礫等の中間処理施設を福島原発内に造るという発言は取り上げて,処理法の問題の本質をすり替え隠蔽する。菅首相は最後の会見で汚染された瓦礫や土壌の拡散について詫び,処理法の案件についてちゃんと国民に説明する責任があったと思う。中間処理施設についての福島県への協力要請はあったが,国民全体に関わる処理法について国家の最高責任者が全くの見て見ぬふりをしていたことは許し難い。国民に対する裏切り行為としか言いようがない。

最終処分場はどこに?
 瓦礫処理施設について言えば,最終処分場も福島県内に造ると言うべきだろう。福島県の人たち,特に原発周辺に住んでいる方たちには本当に心苦しいばかりであるが,もはや原発周辺地域は,チェルノブイリをはるかに超える汚染状況が判明しており,とても人が住める土地ではない。汚染瓦礫はもうここで処分するしかないのではないか。細野大臣は最終処分場は福島にしないと言っているが,中間処理施設だけ造って,あとは一体どうするのか。結局は,汚染瓦礫はなるべく全国各地で燃やして処理してくれ,ということか。つまり最終処分場は日本全国?!福島的汚染状況を日本に拡大することと,汚染を福島に閉じ込めること。どちらが賢明な選択だろうか。

代案
 それとも,汚染瓦礫の中間貯蔵施設は東京電力の本社内に,最終処分場は自民党本部に造るのがよいかもしれない。そして,汚染瓦礫の焼却施設は,処理法に賛成した民主党をはじめとした各政党(共産党も含む)の本部と各地方支部に造ろう。

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