【いってみた】ドイツが誇る総合音響機器メーカー『beyerdynamic』本社にいってみた! | イヤホン・ヘッドホン専門店 旧e☆イヤホンのBlog

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たっくん
どもっ!!e☆イヤホン アンバサダーのたっくんです!

国内・海外メーカー含めて、これまで多くのブランドのモノづくりに触れてきました。
これまで海外で視察したのは、UltimateEars、JHaudio、beats、ULTRASONE、GermanMaestro、beyerdynamicです。

今回ご紹介するブランドは…

beyerdynamic
beyerdynamic

beyerdynamicは、オイゲン・ベイヤーによって、1924年にドイツ ベルリンに設立されました。
1937年には、世界初のステレオヘッドホンを発売し、ヘッドホンの歴史を語る上では外せないメーカーとなっています。

その後、1948年、ドイツは第二次世界大戦の最中にあり、ベルリンにあった本社は営業を中止せざるを得ませんでした。


ハイルブロン
ハイルブロン キリアン教会。

ハイルブロンの町のシンボルともいえる教会です。

第二次世界大戦が終わり、beyerdynamicは操業を再開するべく、本社をベルリンからハイルブロンに移しました。
首都ベルリンと比較すると、人口は約12万人の小さな町です。

ハイルブロンでは、この地方で採れる葡萄を使用したワインが有名です。
市庁舎を取り囲んで行われるワイン祭りなども開催され、賑わいを見せています。

そんなハイルブロンの市街地から数分のところに、beyerdynamic本社があります。

beyerdynamic
beyerdynamic本社!

建物はこれだけではなく、広大な敷地に複数のセクションを構え、この建物で開発から製造まで全てを取り行っています。

今回案内してくれたのがコンシューマプロダクトマネジャーのグンターさんです。
写真中央に写っているのがグンターさんです。

日本からハイルブロンまで約15時間かかります(^^;

beyerdynamic
エントランス。

大文字でBEYERと書かれると、いまいちしっくりきません(^^;

beyerdynamicは数あるドイツメーカーの中でも、有数の総合音響機材メーカーです。
イヤホン・ヘッドホンはもちろん、音に関連する製品を多くラインナップに抱えています。

電話会議用の端末などもラインナップに持っていました(^^;


beyaerdynamic
本社に潜入!

代理店の方以外では、日本人は殆ど来た事がないそうで、とても珍しいとの事です。
珍しい来客がさらにアフロなので、各セクションを回るだけで注目の的でした。

壁のパネルを見ると、日本では取扱いの無いカラーのアームやバンド、リング、ハウジングなどが展示されていました。
これは、ドイツ本国で受注しているオーダーメイドで使用できるパーツだそうです。

日本でもサービスが始まれば良いですね!


beyaerdynamic
最初に見せてもらったのが基板のセクション。

ここでは、アンプなどに搭載される基板はもちろん、マイクの内蔵基板などの実装が行われているセクションです。
細かいコンデンサチップなどが、自動で基板にはんだ付けされていました。

また、機械にパーツをセットすると、機械がパーツを選んで取り付けを行っているのにも感心しました。

beyaerdynamic
マイクの内装基板。

マイクの中にもこんな基板が入ってるんですね(^^;

機械にセットされた基板は、そのまま中に入っていき半田付けされます。
機械の内部は温度が高く設定されており、半田付けに最適な環境を機械の内部に作り出しているとのことでした。


beyaerdynamic
大きいパーツは手作業で組み込まれます。

大きなチップなどは手作業で組み立てられます。
この基板は、ヘッドホン関連製品のモノではないとの事でした。

そこから隣の建物へいどうします。


beyaerdynamic
無響音室!

大手メーカーやドライバーなどの製造を行う向上には殆ど完備されています。
beyerdynamicにある無響音室は、ドイツ国内で最大のサイズだそうです。

反響音が一切ないので、距離感が全くつかめなくなり、平衡感覚がおかしくなります(^^;

この無響音室では、マイクの集音テストなどが行われるそうです。


beyaerdynamic
次はお待ちかねのヘッドホン製造セクション。

写真に写りきらない程の広大なセクションです。
ドライバー取り付けセクションは撮影OKとの事ですが、ドライバー自体の製造は写真NGでした(^^;

ドライバーは、振動板をパンチして丸くくり抜き、それをプレスしてコルゲーションなどの形を付けます。
ボイスコイルをあらかじめ機械で巻いておき、振動板の指定の場所に接着剤を付け、巻いてあるボイスコイルを振動板と接合します。

その後、ドライバーユニットに不可欠な、ドライバーケースを作り出し、磁石をいれ、振動板で蓋をすると言う感じです。

言葉だけで伝わりにくいですね(^^;


beyaerdynamic
次の工程。

ここでは、イヤーパッドの内側の部分、ドライバーをハウジングに固定するパーツに、紙素材のアコースティックフィルターを取り付ける作業をしています。
アコースティックフィルターで細かな音のチューニングがされています。

一定の厚み、素材を適切な箇所に貼り付けないと、個体差で音が大きく変わってしまいます。
一見地味な作業ですが、この辺も職人業ですね。


beyaerdynamic
機械を使います。

アコースティックフィルターの貼り付けにも、専用の機械が用意されていました。

製造品質の均一化を機械と人間の手で行っている様子が印象的でした。


beyaerdynamic
DT770シリーズドライバー。

こうしてドライバーとドライバーケースを併せて、ハウジング内部のユニットは完成です。

DT770のドライバーはこんな構造をしています↓


振動板には特殊なコーティングを施しています。

ボイスコイルがフロートしている様子もわかりますね!
いわいる一般的なヘッドホンのドライバー構造といえるでしょう。

このドライバーを全て自動で検査する機械にかけ、一つ一つのユニットの性能を厳しく管理しています。


beyaerdynamic
beyerdynamicのテクノロジーと言えば…

テスラテクノロジー!

一番左にあるのがDT770シリーズで使用されるドライバーです。
真ん中にある青いのがT90で使用されているテスラドライバー、右上がT1、T5pで使用されているテスラドライバー、右下がT51pで使用されているテスラドライバーです。

DT770のドライバーや一般のドライバーと大きく違うのが、マグネットのサイズと磁力です。

マグネットが通常の約2倍以上の磁力を持っています。
また、中央が空いているリング状のマグネットと、メタルハウジングを使用しているのも特徴です。

さらに、エアギャップを設け、ボイスコイルと磁力を伝えるメタルハウジングの隙間を小さくすることで、メタルハウジングから電磁波が漏れる事はないそうです。


差が歴然ですね(^^;

普段は見えない部分ですが、とても美しい造形ですね。
ちなみに、DT770ドライバーで使用されているアコースティックフィルターは、T1,T5pでは特殊素材のメッシュに変更されています。

また、テスラドライバーとテスラドライバーをくっつけると、強力な磁石によってとても離しにくいです(^^;


ここ数年でテスラテクノロジー搭載ヘッドホンのラインナップが増えましたね。

僕のイチオシはコレ↓

T90
▼beyerdynamic T90 e☆特価¥58,320-

DT 990 シリーズの伝統とテスラドライバーが生み出すオープン型ヘッドホンのニュースタンダード。

beyerdynamic 『T90』は、高い評価を得ている『T1』 などのハイエンドヘッドホンで採用されている独自技術、テスラテクノロジーを採用したモデルで、ロングセラーDT 770/990シリーズの関係と同様に、『T70』のオープン型に位置づけられるヘッドホンです。

テスラテクノロジーは、ヘッドホンのドライバーユニットにおいて、1テスラ(1万ガウス)を超える磁束密度を生み出す構造により高効率再生を実現するbeyerdynamicの独自技術で、音楽のボトムを支える重低音から透き通るような高音域まで優れた再生能力を発揮します。
これによりオーディオパフォーマンスも優れたスペックを誇り、周波数特性は5Hz ~ 40,000Hzのワイドレンジ、THD 0.05%以下というスペックを実現しています。

『T90』はオープン型ならではの抜けの良い自然なサウンドとなっており、加えてマイクロベロアとマイクロファイバーで作られたヘッドバンドとイヤーパッドは柔らかい装着感となっています。

T70を外出時に使用している方の自宅用として、ロングセラーモデル DT990シリーズと同等のグレードでテスラドライバーを求める方にも最適なヘッドホンと言えるでしょう。


同じ様に見えるイヤーパッドも…

beyerdynamicのヘッドホンは、ほとんどでイヤーパッドが流用できます。
よく、イヤーパッドをこれにしたら音が良くなった!というbeyerあるあるを耳にします。

実は同じ様に見える、開放型と密閉型で仕様が違います。
イヤーパッドで音が漏れたり、狙った音が出なくなるので、密閉、開放のヘッドホンに合わせて選びましょう!

話しは戻って…
beyaerdynamic
T1製造ライン。

お馴染みのハードケースがずらり。
最終工程でしょうか?

その奥にあったのが…
beyaerdynamic
ヘッドホン製造セクション。

ここで、beyerdynamicのヘッドホンは製造されていきます。
パーツは機械を多く使っていましたが、組み立てに関しては、熟練のスタッフによる組み立てでした。

視察のタイミングでは、T1の製造を終えて、日本未発売のヘッドセットMMX300を製造していました。


beyaerdynamic
一台一台テストをします。

左右のバランス、周波数特性などなど、基準値に当てはまっているかテストをします。

テストをパスした製品は梱包作業を待ちます。


beyaerdynamic
T1×40台

ここだけで40台ほどのT1が(^^;
約400万円分がこの日は製造されていました!

値段は絶対値ではもちろん高価です。

先日ご紹介したULTRASONEと比較すると、beyerdynamicの方が規模の大きい会社です。
この規模であれば、製造パーツを全て内製することで、クオリティコントロールを高い水準に保つのと同時に、製造のキャパを多くとる事が出来ます。

メーカーそれぞれの考え方に大きな方向性の違いがあり、自身の理念に沿ってモノづくりをするという点に感心するばかりでした。

T1,T5pはドライバー位置がオフセットされています。

偶然にもULTRASONEの技術と同じ技術です。
しかし、各メーカーで目的が違い、ULTRASONEはよりスピーカーで聴いた時の音に近づけるためにS-LOGICを採用しています。
beyerdynamicは、普段聴いている音の様に聴こえる技術として採用しています。


T1
▼beyerdynamic T1 e☆特価¥115,200-

beyerdynamicの持てる技術を全て搭載したbeyerdybnamicフラッグシップヘッドホンがこの『T1』です。

1テスラ(1万ガウス)を超える強力な磁束密度を生み出すテスラテクノロジーが、新開発の小型トランスデューサーに秘められており、従来のヘッドホンの倍以上の能率を実現。広いダイナミックレンジと大幅な歪の低減、限りなくロスレスな再現性を約束します。
それを可能にしているのが、一つ一つ手作業により厳選されたコンポーネントと技術力に寄るものです。

ソフトなリアルレザーのヘッドバンド部、ベロア生地のイヤーパッド、収縮自在のアーム部は容易に快適なセッティングを実現しています。

セミオープンタイプならではの高域と低域のバランスのよさに加え、耳と平行になるようにオフセットに配置されたドライバー部は音質を高めるのに一役買っています。
クリアーな高音、迫力ある低音、緻密なディテールの再現性など『T1』はとても優れたヘッドホンです。


さらに…

beyaerdynamic
大量のヘッドホンバンド

どこかで見たことがある形ですね…

そうこの製品は…


T51p
▼beyerdynamic T51p e☆特価¥31,320-

T51pはbeyerdynamicの中でも、特に評判の高いテスラテクノロジーを踏査しているオンイヤータイプのヘッドホンです。

ポータブル用のヘッドホンとして、適切なサイズにテスラテクノロジーを搭載しています。
テスラテクノロジーを搭載することで、振動板を正確に制動させる事ができます。
再生周波数帯域は10Hz~23kHzまでとワイドレンジとなっています。

前モデルのT50pと比較しても、解像度、クリアさ、低域の再現能力などすべての面で進化しています。
ポータブルヘッドホンの中では、抜群に澄んだ音の出せるヘッドホンだと思います。

beyerdynamicヘッドホンを買ったことないんだけど…という方にお勧めできるヘッドホンです!

最後に…
beyaerdynamic
カスタムオーダーなども見学。

日本でもカスタムオーダーが始まると良いですね!

と言う事で、beyerdynamic本社視察はいかがでしたでしょうか?
ドイツのメーカーは理念と技術がどちらも高い次元にあり、イヤホン・ヘッドホンだけでなく製造業で高い評価をされる国である事を再認識しました。

個人的にはドイツ2回目でしたが、今回は通訳なし、全て自分で手配したので、前回よりもさらに過酷な環境に身を置いた事で、成長できたのではないかなと思います。

今後もまだまだメーカー視察は続けていきますので、ご期待ください!

PS.キリアン教会を見ながらワイン飲んでフラフラに(^^;
教会