MACDUFF

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カクシンハン『マクベス』怒涛の稽古・本番の日々が無事終わり久々に自宅にて静けさを感じています。本番は4日間と短かったですが、乱気流に揉まれながら突き進むんじゃい!というような作品でとても楽しくスリリングで、もう何事にも替え難い濃さの4日間で、同時にたくさんのお客様に観ていただけてとても幸せでした。ご来場のみなさま、ほんとにありがとうございました。
そしてやはり東京芸術劇場は好きな空間だった、素敵な劇場です、すぐまたあそこに立ちたいな。
 
ご覧になった方はご存知でしょうが、私はマクダフをやらせて頂きました。とても光栄なことです。まさか初シェイクスピアで自分がマクダフをやれるとは思ってもみなかった。『マクベス』におけるマクダフという男は、今更語るに落ちるかしら、まあこいつがきちんと生きないとこの物語は終われないし、そういう意味ではもうやり甲斐のありまくる人間で、チャレンジャーとしてなりふり構わずダイブさせてもらいました。すごく楽しかった。稽古で一回大失敗してからは、自分のテリトリーの範囲でやることを禁じて(シェイクスピアはそれだと仮に成立しても面白くない、少なくともカクシンハンの追求する演劇では)、とにかく強大で膨大なうごめく何かをぎゅっと体内に暴れさせておいて、その上でシェイクスピアの言葉にどんどん乗っかりながら舞台上で他者と生きる、出てからどうなるかはわかりません、しかしやる!どうにかこうにか生きる!というトライを毎回させてもらえたのはこれまた何にも替え難い体験でした。偽の部分、曖昧な部分、あるいは確実な部分全てがいままさに舞台上で暴かれているというのはものすごい経験でした。
ただああなりたいこうなりたい、のにああできなかった負けたと痛感したことも多々あって辛酸を舐めまくったのも事実。ひとえにぼくの実力不足とはっきり言えるし、この悔しさを次のシェイクスピア作品にぶつけたい。や、まだなにも決まってないですが。「シェイクスピアに挑む」ということに積極的に臨戦態勢で向かっていきたいと思っています。なぜならやはりそれは俳優としての自分を育てることにかなり密接に絡んでいるからです。今回は今回で、今までの自分の経験、可能性、知恵も発想も勇気も全てぶつけての敗北だった。だからこそ後悔ではなく反省として次にきちんと向かえる、ある意味気持ちのよい敗北であり、こりゃあもう、ほんとに悔しいからまたすぐシェイクスピアに挑戦したいです。マクダフにも、絶対また挑みたい。待ってろよ、おまえ!
 
力をつけねばなりません。
身体も心も。
闘っていくために。
 
本物っていうのは絶対にある。いる。
それだけを目指したい。
 
カクシンハンの現場は毎日エキサイティングでした。
演出の木村龍之介さんが言う、今のその芝居は信じられる/信じられないのジャッジが、まだそれがなんなのかぼくは自分の言葉で言い表せないのだけど、肌感覚としてすごくわかって信頼できたし、
河内大和や白倉裕二、鈴木智久を筆頭に、まだ出会ってなかっただけで、こんなにセンスや個性、強さ、哲学、志、幹を持った猛者たちと共演できて、やはり知らない場所に飛び込んでよかったと心から思います。共演というか共闘というか。
もちろん敬称略ですよ。
カクシンハンの挑戦的で攻め攻めなマクベスを創作するに値するいい座組だったんだと思う。
僕らの世代でおもしろいシェイクスピア劇をやるんだという意識が大前提の空気としてすでにあって、この『マクベス』は紛れもなく全てのシーンが、稽古場で僕らが集まって産まれたものです。いつの間にか自分も世代代表のひとりじゃボケみたいな気持ちで稽古場に通ってたかもしれません。
 
限りある時間の中で、しかしすべての瞬間を全力で創作に費やした感じで、終わったら精根尽き果てると絶対思ってたけど、実際終わっちゃうと次への意欲がもうフツフツ煮立ってきちゃってる。
今回の座組、スタッフ、お世話になったみなさま、どうもありがとうございました。また一緒に、真剣に遊びましょう。
この挑戦を目撃してくださったお客様、この『マクベス』を観たことがいつか誇りになるような、そんな俳優になるべくまだまだあちこちにぶつかっていきますのでよろしくおねがいしますそしてありがとうございました!
 
 
DULL-COLORED POP
東谷英人
 
 
 
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