高速道路の新しい料金制度が9日発表された。距離や時間帯などによって値上げと値下げに分かれる内容で、東北の関係業界や一般ドライバーの受け止め方も評価と不満が交錯した。公共交通機関は平日の割引拡大に反発する一方、運送業界や観光地はコスト低減や集客増に期待を寄せる。ドライバーには新制度を歓迎する向きが多いが、ころころ変わる制度への恨み節も漏れた。

◎業界/「打撃」→平日客流れる/「歓迎」→経費軽減

 自動料金収受システム(ETC)搭載車を対象にした「休日上限1000円」の割引で高速バス事業が打撃を受けたバス業界。「新料金制度でますます逆風が強まる」と宮城交通(仙台市)の幹部は頭を抱える。
 最も警戒するのが「普通車2000円」など平日を含めた上限料金の導入。幹部は「企業は費用削減に必死。平日のビジネス客が自動車に流れる可能性が高い」とみる。
 休日は1000円の値上がりとなるが、仙台―苫小牧、名古屋を運航する太平洋フェリー(名古屋市)の東北支店は「フェリーに客が戻る可能性はほとんどない」と厳しい見方。JR東日本仙台支社も「交通事業者の意見を十分聞かないまま方針が示され、極めて残念だ」と不満を隠さない。
 「中型・大型車5000円」「特大車1万円」の上限設定は、長距離トラックを走らせる運送会社などが影響を受ける。
 「八戸から東京まで直行する場合などは現状より得になりそう」と三八五交通(八戸市)。ただ、実際は荷物の積み降ろしのため高速道を下りることもあり、「下りる回数や時間帯によってコスト増になる可能性も」と冷静に分析する。
 商業、観光などの集客施設の期待は大きい。週末は県外客が4割を超える仙台市の「仙台泉・プレミアムアウトレット」は「週末中心だった集客では今後、平日の増加が期待できる」と見通す。
 「遠方からの集客にはプラスだが、近隣の観光客にはメリットが薄く、評価は難しい」と言うのは十和田八幡平観光物産協会(鹿角市)。「新制度に対応した新しい観光戦略を検討したい」と前向きにとらえた。

◎一般/「期待」→エコカー購入/「提言」→雇用が先

 平日の割引拡大などで一般ドライバーは新料金制度の恩恵を受けるとみられるが、ETC利用のメリットが薄れるなどマイナス面もある。
 東京都の自営業後藤猛さん(72)は9日、結婚式出席のため高速道で仙台市を訪れた。「1年前、売り切れが続出したETCを数カ月待って取り付けたのに」と新制度に納得がいかない様子だ。
 一方で平日の長距離利用は割安になり、「エコカー割引」も導入され、宮城県亘理町の会社員菊地明博さん(61)は「6月に定年を迎えるので、軽自動車かエコカーを購入して平日に遠出したい」と声を弾ませた。
 山形県では新制度の下、東北中央道などで無料化実験も行われる。山形市の主婦(35)は、週末は値上がりになることもあり得る制度変更に苦言を呈しながらも「実験で通行量は増えそう。山形の活性化につながればいい」と期待も抱く。
 昨年の衆院選で民主党はマニフェスト(政権公約)に「高速道無料化」を盛り込んでいた。新制度に否定的なドライバーからは、有権者としての怒りものぞく。
 「裏切られた気分」と一関市で飲食店を経営する千葉寿さん(49)。「利用者の負担増で見込まれる増収分は道路整備などに充てる方針のようだが、これでは『人からコンクリートへ』だ」と憤る。
 「高速道の整備には金がかかる。利用者負担の面からも上限制でなく、ある程度は走行距離に見合った料金体系にした方がいい」と問題提起するのは福島市の無職飯田公雄さん(63)。山形市の会社員大沼広義さん(60)は「高速料金より中小企業への支援や雇用対策が先だ」と政策の優先順位に注文を付けた。


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