ここ最近、この本の解説を書いている松藤民輔氏のBlogを見続けている事もあって発売前から期待していた本。リアルな書店でもう少し盛り上がるかと思えば大型書店を除いて盛り上がりはイマイチ(あるいは在庫切れ)。著者の意図としては経済書扱いなんだろうけど、やはり投資・金融系カテゴリで平積がされている事が多いような気はいたします。
この本を読んでいると著名な投資家でさえ、市場の動きは読み切れない事を改めて教えてくれる。9月14日現在で存続が危ぶまれるリーマンに対して著者は3月20日時点では買いに入っているのはわかりやすいところだ。価値判断に加えて更に時間軸方向のベクトル、距離感みたいなものを捉えるのは「神業」か「魔法」なのだろう。
書評としては単に投資指南本として捉えるなら読む必要など無いと断言してしまうが過去を振り返ってみるという点では興味深い内容も幾つかある。著者が指摘する通りならば同じ事は起こるとは言い切れないが、1つのシナリオではある。
・戦後の経済成長は実体ではなく信用により創造されている(バブルでしかない)つまり貸し手が存在しない限り成長はしないという事だろう。という事は政策的には成長を望むから何らかの信用創造を今後も許容する事になる。
・過去に起きた事は度々繰り返される事を覚えておくべき。この本で1960年代のコングロマリット・ブーム、REITバブルが語られているが少し前に日本で起きた事象に近いモノを感じる。
・社会現象は自然現象とは違い、操作できるものである。
・住宅バブル崩壊への警鐘は早いものでは2002年からあるとされている。そしてバブル崩壊を前提に賭けに出たヘッジファンドも多くあったが撤退に追い込まれた事も。著者のいうところの正のフィードバックが何処で終わりになるか?という事を知る事はやはり難しいという事だろう。
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