やがて秋の訪れ | 青パパの無限増殖ver.187

やがて秋の訪れ

丸山 健二, 萩原 正美
夕庭
亜熱帯を思わせる空気を追い払う、心地よい冷たさを含んだ風が頬を撫でる。季節の切れ目のないサイゴンでは触れられなかった。日本に戻って長くなると必然的に「季節」を感じて、それがベトナムへ行く前の感じ方と微妙に異なっている、のもわかる。
遠く離れた今も、年に一回は東南アジアを訪れ。無慈悲に照り付ける灼熱の陽射し、或いは永遠に降り続きそうなスコールを浴びる。かつては「日常」であったものが今や「非日常」になりつつあることを自覚しつつ。
あと数日でサイゴンへ向かう故に感傷的になっているのでしょうか?
旅人として「非日常」のサイゴンを再訪する。そこで「日常」を暮らす友人と再会し、同時にかつての「日常」の面影を探す…
サイゴンとメールの往復を始めるとその距離が徐々に曖昧になっていき。「日常」と「非日常」の境界も茫漠と。相変わらず私は「」付けの概念主体で考えてばかりいるから、会えばサイゴンの友人はそれを指摘するでしょう。
「日常」と「非日常」がつかの間、逆転して秋の気配だけ日本に置き忘れて。