失敗学のすすめ
15 point (ドッグイヤー15箇所)
今回紹介するのは、2000年に刊行された「失敗学のすすめ
」の文庫版です。
ビジネス書を読み漁っている人ならば、きっと以前に読まれた事があるのではないでしょうか。
数々の書籍やムック本の中で紹介されることが多いこの1冊。文句なく良書でした。
タイトル「失敗学のすすめ」の通り、「失敗」に関して深く掘り下げて書かれています。
[目次]
第1章 失敗とは何か
第2章 失敗の種類と特徴
第3章 失敗情報の伝わり方・伝え方
第4章 全体を理解する
第5章 失敗こそが創造を生む
第6章 失敗を立体的にとらえる
第7章 致命的な失敗をなくす
第8章 失敗を生かすシステムづくり
簡潔にまとめると、要は「失敗は創造の源である」という内容です。(簡潔すぎですが)
誰でも予想がつきそうな結論ではあります。
しかしながら、それを導き出すまでの過程に重要な事がたくさん書かれています。
特に、第3章で書かれている「失敗情報の知識化」について。
失敗情報の知識化という行為が、いかに重要なリスク管理になるのかが説明されています。
これは、ここ最近の企業や自治体の不祥事に繋がるものがあります。
この本が出版された2000年当時に、まるで現在を予見していたかのようです。
その他、個人的な要点は以下の通りです。
そんな失敗をした瞬間、「痛い」とか「つらい」「悔しい」という気持ちが心の中に生じたならば、その人はしめたものです。その瞬間、失敗経験は強くその人の中に根づくからです。別の言い方をすれば、その瞬間に、その人の中に新たな知識を受け入れる素地ができたということです。 (P.148)
「失敗」を「新たな知識を受け入れる素地ができた」と捉えるポジティブな考え方。
失敗は恐れるものではなく、むしろ自分の成長の可能性を確認する意味でも重要な事なのですね。
正直にいえば、自分が創造したものがまわりの批判にさらされるのは、あまり気持ちがいいものではありません。「何だと!」と思うこともしばしばですが、この試練を経験したものは、研ぎ澄まされた形で世に出せるという大きなメリットがあるので、外に出たときに真の強さを発揮するのです。それに比べれば、まわりの批判に感じる一時の不安感などとるに足らないものだと感じています。 (P.172-173)
これはクリエイティブな仕事に携わる方なら心当たりがあるのではないでしょうか。
僕自身、Web制作会社で働いているため、ドキッとさせられました。
指摘されているように、自分の創作物を批判されるのは、例え正論であろうと気持ちのいいものではありません。
しかし、批判されることで真の強さを発揮するというメリットは、とても価値のあるものです。
批判されることを、「創造物の価値をさらに高める素地がある」と考えるように努力したいと思います。
…とまぁ、自分の仕事に対する意識すら考え直させられる1冊でした。