難聴から味覚異常・顔面神経麻痺・・・聴神経腫瘍 | 口腔乾燥症ドライマウス 唾液過多症(流涎) 味覚障害 嚥下障害
最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学

テーマ:『本当は怖い難聴~音もなく忍び寄る悪魔~』


T・Sさん(男性) 37歳(当時) イタリア料理店オーナーシェフ

有名イタリア料理店で修行を重ね、念願だった店をオープン、忙しい毎日を
送っていたT・Sさん。
しかし店を開いて半年後、なぜか左耳が聞きとりにくくなっていました。
2、3日もすると症状はすっかり無くなっていましたが、その後も様々な
異変に襲われます。


<症状>
(1)難聴
(2)めまい
(3)味覚異常
(4)眼のあたりがピクピクする
(5)顔面麻痺


<病名>聴神経腫瘍


<なぜ、難聴から聴神経腫瘍に?>
「聴神経腫瘍」とは、耳から脳へつながる内耳神経に腫瘍ができる病気。
なぜ腫瘍ができるのか?
その理由は未だ解明されていません。
しかし発見が遅れると腫瘍が脳を圧迫し、最悪は死にいたることもある
恐ろしい病です。

T・Sさんの場合、4センチという腫瘍の大きさから類推すると、聴神経腫瘍は
5年から10年前に出来たと考えられます。
そして徐々に成長した腫瘍が彼の体に様々な症状を引き起こしたのです。


電話の声が聞き取りにくくなった難聴。
これは大きくなった腫瘍が内耳神経を圧迫、音を伝える働きを鈍らせたことが
原因でした。

さらにT・Sさんはめまいに襲われました。
実は内耳神経は音を伝えるだけでなく、耳の三半規管とつながり、平衡感覚を
伝える役目も持っています。
それが腫瘍のために正常に機能しなくなり、めまいとなって現れたのです。

この病の怖さは、難聴やめまいといった初期段階の症状が、多くの場合
いったん出ても治まってしまうこと。
そのため、腫瘍の成長に気づくことが非常に難しいのです。


こうしてT・Sさんの腫瘍はますます大きくなり、ついに内耳神経の隣にある
顔面神経まで圧迫しだしたのです。
顔面神経は、顔の筋肉を動かすほかに、舌から味覚を感じ取ったり眼と
つながって瞬きをコントロールしたりしています。

そう、T・Sさんはこの顔面神経の圧迫で、塩加減を間違えたり、眼の辺りが
ピクピクしたりしたのです。
そしてついに、あの顔面麻痺に襲われてしまいます。
腫瘍の成長で、顔面神経はさらに強い圧迫を受け、顔の筋肉を操ることも
出来なくなってしまったのです。


T・Sさんは手術により腫瘍を摘出。
なんとか命は取り留めることが出来ました。
しかし発見が遅れ、腫瘍が大きかったため、左耳は聴力を失い、さらに
顔面麻痺も残ってしまったのです。


聴神経腫瘍は、見逃されやすく、後遺症のリスクが高い恐ろしい病。
現在、年間およそ1,000人の人が、この病気を発症していると報告されて
います。


「聴神経腫瘍を早期発見するためには?」
(1)難聴や耳鳴りなどの症状に気をつける
(2)めまいが同時に起こったら要注意
(3)少しでも耳や眼に異変を感じたら、病院でMRIなどの検査をされる
   ことをお勧めします


http://asahi.co.jp/hospital/