大森山森林鉄道探査 | 東北式鉄写録 ~更新停止~

大森山森林鉄道探査

さて、今回のレポは大森山森林鉄道なり。

この森林鉄道、かの「山いが」では大森山林鉄明神川橋梁のレポが掲載されているが、いかんせんそれ以外の資料がまったく無い。

橋を渡ってすぐ、現在使われている方向と別な方向に軌道は進んでいたと思われるという記述が、この橋の先の軌道跡を探す基点となる。

さて、行きますか。 完全な手探りです。

さて橋を渡るとすぐにまっすぐ道が進んでいて、踏み後も新しい。

この後に出てくる地元民の話では今でも畑への近道として使われているそうな。

さて、軌道跡はどこかね?

橋を降りた所は薮っぽい風景で、他に平場なんか見当たんないぞ~

何処よ?

で、立ち止まっても仕方がないので、取り敢えず薮の平らな場所に入っていく。

入ってすぐだ、それらしい場所に出る。



ここは、橋を集落から渡ってすぐ脇に逸れたところである。


分かりやすいように平らな場所に線を引いた。

誰かが踏み入った跡は無し。

少々草がウザイが、林の中でそこまで薮がひどいわけじゃない。






最初、右に曲がった軌道跡は、杉林の中をゆっくり左へ向かっていく。畑の方向に向かっている感じ。


うおっ、いきなり細くなり切れる軌道跡。






ココまで綺麗に来ていただけに、人工的に後から掘られたような形跡に余計に悲しくなる。

しかも水が流れてて、ちょっと沢っぽいぞ。

こっち側からの探索は面倒なので、アドレス(※私の原付の名称)を置いてきたところまで戻り、反対側から探査を再開する。



これが反対側から見た一個上の写真を撮った場所。

明らかに途切れてるんですが。

で、延長線上を見てみると・・・・


はい、それらしい窪地がまっすぐ進んでいます。

畑より一段低く、しかしはっきりと軌道跡らしいものが進んでいます。

で、この場所、酷いくらいにネチョネチョで水が張ってるんです。

で、恐らくその水を逃がすためにさっきの場所は人工的に掘られていたのでしょう。

だから林の中から見たらその流れていた水が沢っぽく見えたのね。

この後、湿地帯っぽくなった軌道跡はそのまま立ち木の中に入っていき、畑にその姿を晒します。



ここの薮は入る気になりませんでした。湿地だし。沼だし。この先の畑の中に出るみたいなので、先回りします。


で、先回りします。



この写真奥に見える林が、先ほどの沼化した場所です。


つまり、方向としては、例の橋の方向を見ていることになります。


ココまでは軌道跡で間違いないらしい。理由は後述します。



この後ろは薮っぽいですが、ココに立つと確かに軌道跡っぽい雰囲気があります。


今まで掲載してきた写真は撮った時間がまちまちなのですが、順を追って掲載してますので、その辺はご容赦を。

なにしろこういうレポは初めてでして・・・・・。

さて、なんで ここが「確実に軌道跡」と自信を持って言えるかと言いますと、ここの脇の畑の人に森林鉄道現役当時の話を聞くことが出来たからです。

良い感じのおじいさんで、私の突拍子も無い質問に初めは笑ってましたが、色々話してくれました。

「こんにちは(笑顔で。コレ大切)。あのぉ、作業中申し訳ないのですが、昔、この辺りに鉄道走ってませんでしたでしょうか?トロッコみたいな小さな奴だと思われるのですが。」

「ん?あぁ、あったあった。ちょうどお前が立ってる場所に走ってた。営林署が切り出した木を運んでたんだ。大森山っつって、あそこの高い山あるべ?あそこから・・・・・・」

話は尽きないが、兎に角、私はそれはもう夢中になって聞いた。

・林鉄は夕方荷物を満載して集落※に戻ってきて、朝早くに空のトロッコ引っ張って山に入っていく。

・林鉄は今はスキー場がある大森山の手前の山の麓をぐるっと回って大森山に入っていく。

・軌道跡は今は林道になっている。かもしれない。

・赤倉温泉手前、林鉄は小国川を渡らず、そもそも川の近くには下りず、上の方を走っていた。

・そのまま渡らず川沿いを走る。どこかで橋を渡って山に入る。

・赤倉温泉の集落※付近の軌道跡は覚えてない。

・何とか原のあたりを走り、途中まで水田の中を走る。

・崖のわずかなスペースの中を走り、上は岩肌、下は川というとても怖い場所を走っていた。しかし、当時は今みたいな道路もなく、それしか山へのアクセス路はなかった。

・山の中に営林署の泊まる場所があって、そこに一ヶ月くらい泊まったことがある。飯を炊く人もちゃんといて、意外とどうにかなる。

・物凄い丸太を運んでいた。

・道が出来て、すぐに林鉄は廃止された(30年位前。孫が産まれた頃といっていた)

・雪崩とかで道や橋は落ちているだろう。現役時も落ちたことがあったらしい。

・立派なコンクリート橋は例の橋のみ。他は木製。

・営林署自体が山から下りてきて、赤倉にアパートが出来た。

・このおじいさんも軌道に乗って山に入ったことがある。

・こういう跡を探して来た人は俺だけじゃない。

・営林署に勤めていた人がまだ生きているから、そういう人に聞けばきっと喜んで教えてくれる。

・木材降ろす施設が今は畑となっている場所にあった。

(※おじさんは集落と同意のアノ言葉を使っていた。放送コードに引っ掛かりそうな、田舎ではよく使われる集落と同義のアノ言葉を。○落。)

道路が出来て、軌道が廃止され、その跡もだんだんと消えて行ってる。

その消え始めている軌道を求めに来る若者がいる。

時代の流れだな と、おじいさんはしみじみ言った。

それにしてもこのおじいさん、水も持たずに畑仕事している様子で、この日差しの中・・・・・

話のお礼に一応500mlのペットボトルお茶を買ってきて、御礼ですといって置いてくる。

俺はリアル感謝。お茶くらいでは足りないくらいだ。

ちなみに、話してくれた言葉の7割が方言だったため、解読でき無かった。

次の探査では通訳できる人の参加を求む!! 

さて、コレで探査の目処が大体着いた。

直線となった軌道跡は途中で畦道と合流し、分からなくなる。

それらしい線形は見えないことはないのだが、どこかで畦道と分離してそうなんだよなぁ。

素人的初心者的考えで知恵が浮かばん。

だけど、林鉄は崖近くを走ってたんじゃないだろうか。

だとしたら畦道から外れるんだよなぁ。

要再探査。

資料持ってたりしたらその走ってた場所の見当も着くのでしょうが。




一先ず、赤倉温泉の先に行ってみる。 温泉集落内の軌道跡は分かりませんでした。

県道沿いの畑をジロジロ見ながら県道に入っていく。

この県道262号線はこの地から宮城県の加美町を結ぶ県道なのだが、いかんせん集落を抜けてしばらく走るとダートコースになってしまい、日曜以外は工事を行っているので通り抜け禁止である。

で、この県道を走っていると、田んぼの中に木で出来てるっぽい橋があるのが見える。

や、やばい、やばい、キタ?来ちゃった?

もう写真撮るまでも無く、その場所に続くであろう畦道に入っていく。



県道からこの道に入っていく。




県道の方を振り返る。


このような場所はすぐ開ける。


で、ありました。



木製橋!!!小さいけど、木製橋!!!


リアル木製橋!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

しかし、こいつ・・・・・・アドレスで渡りたくねぇ。

下見る。





これは、橋台ってやつですか?

でもこれ、絶対近年人間の手が加わっているよ。

だって、かなり綺麗なコンクリート支柱が明らかな後付だけどあるしね。

だけど、一見、30年物と言っても過言じゃない木製橋が・・・・・。

いや、けど、ここが林鉄軌道跡と限ったわけじゃないし、素人のために信憑性ゼロ。

もしかしたら、俺、物凄い恥ずかしい間違いレポ晒してる可能性高いし。



ちょっと下り。来た道を見返している。つまり、県道側。



おじいさんの言うとおり、水田の中を軌道跡らしき道は進んでいる。

なお、農業やっているためか、ここまで綺麗に車の通った跡がある。

しかし、ここに来るにはあの木製橋を渡るしかないんだけど・・・・・。



しばらくすると、岩場も出てくる。

コレくらいのカーブが林鉄にとって急なのか、それともコレくらいはあるのか分からない。





二つ目の木製橋。

今度はかなり年季入ってます。

しかもさっきのより長い感じなのに、橋脚は一切無し。

怖いよ。

コレ怖いよ。

アドレスとこの下の沢で水遊びとかごめんだよ?

いや、水遊び大好きだけど。



よくみたら、コレは軌道跡を逸れたところに迂回路発見したのでココは通過。どうにか。

いよいよもって、草の背丈も高くなり、路肩は弱く、道は狭く、歩かないと無理って場所に入ったので、アドレスを置く。

しばしの分かれだ。




さて、また岩盤が。

怖くて余り写真撮れなかったのだが、この写真の奥、際どく狭くなってというか、ねじれてませんか?



ちなみに、この白い壁には穴があいてました。

勿論、入りますよ。

取り敢えず入る。

短かった。

途中、外に繋がって、また穴で、また外に出られる。

短いけど、明らかに人工的な匂いが。

とても綺麗な形の素掘りで、中には木材が一本落ちてましたが、枕木では無かったです。

この穴は軌道跡と平行しておりまして、出口の目の前は軌道跡です。

さて、出る。

ん?

何か穴が。

地面に穴が。

道、細いし。

ここを渡るのにメーターがレッドゾーンに入ってしまい、あまり臨場感がある写真が撮れませんでした。




元々は暗渠などで沢をは軌道の下を抜けていたんでしょうか。

しかし、その跡も内部が崩壊して丸石は露出、土管も剥き出し。

兎に角、下に穴が開き、補強が無い場所を通る恐怖ってわからんだろ?

しかも、落ちれば下は崖→川。

石橋みたいに叩いて渡ったら壊れちゃうよ、ココ。



ここを渡ると軌道跡は右に曲がり、「山いが」や「鉄廃」などの林鉄レポでよく見るような石垣が。



さっきの危険ポイントとは打って変わって林の中に。穏やか。

この後、おじいさんの言うとおり、かなり川に近づき、それこそ人一人分の路盤に、左は岩肌、下は川、生い茂る草で路肩は見えず、しかも足場が何か崖でも崩れたみたいな土が堆積しててうねってる・・・・・。

はい、路肩見えませんでした。

ガクンと右足が取られたと思ったら、

ウワッ  っとも言えない位急に、崖をずるずる。

やばい、ヤバイ、ヤバイ。

リアルに怖かった。



さて、脱線しましたが、この先、すぐに軌道跡はなくなります。

いえ、あったのかもしれません。

しかし、そこには壁と、大きく崩れた跡があるのみ。

先の林にはまだまだ続いてそうな気配があるけれども、確認できず。


この場所には川がちょっと広くなって、砂防ダムなのか、とても低いですがコンクリートの構造物が川の中にある場所です。


この辺から急に軌道跡が細くなり、うねるようになります。


このうねりが後から岩や砂が崖から落ちてきたものなのか、それともコレ自体が軌道跡じゃないのか。

素人には分かりません。


しかし、さっきの転落で怖くなったし、日も傾き始めた、撤収の時だな。

と、撤収したのです。