一生子どものままでしょうね。
最近はすっかり鯉幟をみかけなくなりました。
その代わり?花ショウブがところどころ咲いていました。
夜にはコンサートがあるので、急いで国立新美術館へ。
「マグリット展」を鑑賞しました。
混んでました。
チケットを買うまで30分並びました。
でも待った甲斐がありました。
「マグリット展」公式サイト
6/29まで。
その後、京都市美術館で7/11-10/12。
マグリットの「超現実」世界が昔から好きでしたが、本格的な展覧会に来るのは初めてです。
いわゆる「シュルレアリスム」という分野に入るのでしょうが、同系統の他の画家にはない面白さと親しみやすさがあります。
もちろん美術に詳しくない素人の個人的な主観に過ぎません。
ルネ・フランソワ・ギスラン・マグリット (René François Ghislain Magritte, 1898-1967)は、ベルギーに生まれ、若いころは商業デザインの仕事をしました。
パリで過ごしてシュルレアリスムの創始者にして理論家のアンドレ・ブルトンと出会います。
しかし、どうも反りが合わなかったようです。
ベルギーに戻り、その後は故国で創作を続けました。
マグリットは、大画家・巨匠然としたところがない人だったようです。
家のキッチンの片隅で、スーツ姿で仕事をしたという話が伝わっています。
初期の作品は、アールデコ風だったようです。
『水浴の女』(1925)
下は、いわゆる「現代思想」の旗手だったミシェル・フーコーが引用したことで有名になった作品。
題名は、『イメージの裏切り』(1929)
絵の中に「これは、パイプではない」とあります。
この文字は、絵の一部なのか、それとも・・・
↓ 言葉と事物との関係を言い表した例として「構造主義」「ポスト構造主義」の象徴的な存在になりました。
(今回は、下の絵ではなく、1952年の版が会場展示の最後に飾られていました。)
展覧会はマグリットの全体像を描き出すことに主眼があり、初期から晩年に至る各時期の主要作品をほぼ年代ごとに展示しています。
個展や挿絵などの関連資料も豊富に展示しています。
第二次大戦をはさんで、後期印象派風やフォービスム風の色合いで描いた時期もあったようです。
『不思議の国のアリス』(1946)
『シェヘラザード』(1948)
でも、私の知っているマグリット―冷たいくらいに写実的で、しかもよく見ると超現実―は、戦後の作品のようです。
『光の帝国Ⅱ』(1950)
昼と夜の光の同居。
『傑作、あるいは地平線の神秘』(1955)
各人の「月」と「月一般」が存在する謎・・・マグリット本人の解説がありました。
『白紙委任状』(1965)
馬に乗った女性は木々を隠し、木々は女性を隠す。
でも、目に見えないものは隠せない・・・。
これも、マグリット本人の解説です。
今回の展示は、作品ごとにマグリット自身の「解説」が短く添えられていました。
「題名」についての解説もありました。
でも・・・
私にはほとんど理解不能。
マグリットは「言葉」と「イメージ(画像)」との関係について思索をめぐらした人だそうです。
上に載せたパイプの絵画もそうです。
『会話術』(1950)
夜の海が、何やら文字のようです。
言葉はイメージと同じくらいの力を持ち、逆もそう・・・
日常の眼に見えるものを疑うこと。
日常の言葉で分かったつもりの事柄を疑うこと。
そうした精神のあり方がマグリットの魅力なのかな・・・。
「デペイズマン (dépaysement)」という手法が展示の解説で紹介されていました。
全く異質なものどうしを組み合わせることです。
シュルレアリスムと呼ばれる画風の特徴と言われます。
それはマグリットにもありますが、たとえば、マックス・エルンストのような画風とはかなり違うような・・・
ブルトンたちは、合理や論理の背後にある「非合理な」「無意識」を強調しました。
「自動筆記」などという無意識の解放なんてのもあるくらいですから。
しかし、マグリットの場合は、もっと「認識論的」?
あの空は実は巨大なカンバスでないか?
このペンは、実は私の指の変形ではないか?
日常は、実は巨大な謎ではないか?
「だまし絵」風のエンタテイメントだと思っていたマグリットの絵が、なんだか哲学的に見えてきました。
(フーコーをちゃんと読んでないけど)
↓ マグリットのマグリット風コラボ?
いつか買ったマグネットを使いました。
シュルレアリスムなどについて・・・
↓
読み歩き、食べ歩き、一人歩き(221) マックス・エルンスト展
読み歩き、食べ歩き、一人歩き(303) デルヴォーの夢と現実
読み歩き、食べ歩き、一人歩き(427) 点描としての自我
読み歩き、食べ歩き、一人歩き(391) 現実は現実?
↑
もう2年近く前に巌谷國士さんの本を読みながら、結局いまだに書けていませんね。
社会学とシュルレアリスム・・・いつか書いてみたいなあ。
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