過長臍帯・過短臍帯 | へその緒のはなし

へその緒のはなし

「へその緒」を研究する産婦人科医のブログ。
かつては、みんながお世話になったはずである「へその緒」の神秘的なしくみと、その異常への挑戦を語る。

  へその緒は、10ヶ月で通常50cmぐらいの長さです。

 長すぎる場合を過長臍帯。短かすぎる場合を過短臍帯と呼びます。

 論文などによって定義は若干違いますが、70cm以上を過長、25cm未満を過短とすることが多いようです。



 いずれも、超音波で事前に診断されることはあまりないでしょう。くねくね曲がって子宮の中にある、臍帯全長を測るのは難しいです。生まれてきて長い!とか短い!とかなるわけです。



 長い場合の問題点は、巻絡している確率が高いことがあげられます。でも、これは巻絡していた結果、成長過程で長くなったのか、長いから巻いたのかはわかりませんね。もちろん、巻絡に関連した分娩時のリスクがあると考えられます。

 しかし、長い(1m以上)だけ(その他の異常がない)で胎児死亡に至ったケースもあるようです。長い分だけ、胎児心臓は遠い胎盤に向かって血液を送らなければなりません。その分、心臓への負荷が大きかったのでしょう。でもなぜ、そんなに負荷がかかるまで長くなってしまうのかは不明です。

 短い場合の問題点は、分娩時に下がってこれないことでしょうか。ある程度臍帯の長さに余裕がなければ、胎児は分娩に際して下降しづらくなります。長い間下降が悪いと、微弱陣痛になりやすいものです。そのため、陣痛促進剤の必要性や、鉗子、吸引分娩、帝王切開が必要になることもあるでしょう。無理に経腟分娩を行った場合、臍帯断裂や血流悪化の原因になることもまれにあります。

 これもまた、なぜ短いのか?というところによるのではないかと思いますが、胎盤・臍帯自体の発育が悪かったり、変な巻絡があったりすることもあります。



 
 まあ、長さをみんな測る必要があるとも思えないので・・・ 
私見としては、巻絡などのスクリーニングで十分なのではないかと思っています。






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