ハーバード大学ロースクール教授、
エリザベス・ウォーレン曰く。
「アメリカ人の5人に1人が失業中か
不完全雇用の状態にある。
9世帯に1世帯がクレジットカードの
最低支払額を払えない。
住宅ローンの8分の1が
延滞か差し押さえ。
アメリカ人の8人に1人が
低所得者向けのフードスタンプを
支給されている。
毎月12万以上の世帯が破産し、
金融危機によって5兆ドルもの年金や
投資が消えた」
全米各州の累積赤字は、
2010年度が計1600億ドル、
2011年度は計3800億ドルになると言われている。
それでも、AIGの救済には1820億ドルが
投入され、そのうち129億ドルは
取引先のゴールドマン・サックスに
そのまま渡った。
バンク・オブ・アメリカには450億ドル、
シティグループには同じく450億ドルが投じられた。
ウォール街から多額の選挙資金を援助してもらった
オバマ大統領にとって、
中産階級の救済よりも、各州の赤字補填よりも
大手金融会社を救うことが大事だったのだ。
その結果、アメリカの各州では、
累積赤字を減らすために、
住民向けのサービス予算を削ることになった。
*ロードアイランド州では、
低所得世帯向け医療保険プログラムの
所得制限を引き下げ、その結果
1000世帯が対象外となった。
*メイン州では、
奨学金とホームレス用保護施設の
予算が削除された。
*アラバマ州では、
高齢者1100人が介護施設に入らず、
自宅で生活するためのサービスが
廃止された。
*イリノイ州では、
子供の福祉と若者向けサービスの
支出が削除された。
*コネチカット州では、
児童虐待の防止と養子への法的援助を
提供するプログラムが廃止された。
*ユタ州では、
理学療法や作業療法、言語・聴覚障害治療への
メディケイド(低所得者向け医療保険)の
適用を削減。
*カリフォルニア州では、
援助の必要な家庭を支援するプログラム
「カルワークス」を廃止。
これによって、140万人が影響を受け、
その3分の2が子供だ。
子育てへの州の補助金も削減されることになった。
これで、14万2千人の子供が影響を受ける。
*ジョージア州では、
学区間の財政格差を埋めるプログラムから
1億1200万ドルを削除。
*バージニア州では、
知的障害、精神疾患、薬物常用の
問題を持つ人々向けの支出を削減。
こういうのはほんの一例に過ぎない。
公的な医療プログラムの予算を削減した州は
分かっているだけで29州にのぼる。
高齢者や障害者向けの補助金の予算を
削減した州は24州、さらに
幼稚園から高校までの教育予算を削減した州は
29州もあり、州立などの公立大学への補助金を
削減した州は39州にもなっている。
教育は人への投資であり、未来への投資でもある。
アメリカではそれが確実に削られているのだ。
かつて、「アメリカンドリーム」と言われ、
がんばれば、大半の子供たちは、大人になれば
親たちよりも楽な生活が送れると
信じていた時代があった。
実際には、アメリカ国民のうち、
1億人近い人々の実質所得が
彼らの親の所得よりも下がっている。
2000年から2008年という9年間で、
アメリカの大都市圏の郊外の貧困率が
25%も上昇した。
そして、アメリカの子供の20%以上が
最低生活水準以下の暮らしを
強いられている。
アメリカのオバマ政権は、
これらの中産階級の不満や苛立ちを
解消すべく、TPPによるアメリカのサービス業、
医療関連、金融業などの日本進出で
国内景気回復、雇用促進を図ろうとしている。
それを迎え撃つのが日本の野田首相なのだが、
かつての自民党政権と同じく、
アメリカのご機嫌伺いだけで、
「とりあえず」交渉のテーブルに座ろうとしていると
痛い目に遭うのは、結局は日本国民
ということになるだろう。
そろそろ、みんな本気になって
行き過ぎた「自由主義経済」を
コントロールしないと、
本当に世界恐慌が起こる可能性がある。
アメリカが第三世界に凋落すれば、
アホな日本の政治家は、
なすすべもなく、一緒に道連れとなるだろう。
こんな時期に、公務員宿舎は必要かどうか
なんて次元の低い論争が起こっているのは
沈み行く日本を象徴しているとしか思えない。
参考文献:
- Third World America: How Our Politicians are Ab.../Arianna Huffington
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著者は、Arianna Huffington(アリアナ・ハフィントン)
という女性だ。ギリシャ生まれのアメリカ人。
1950年7月15日生まれの現在61歳!