低レベル放射線量の話になるとほぼ決まって登場するゴフマン博士。

どんな方だろうと、ウェブで情報を収集しては読んでいました。 日本語のサイトでは脱原発の方達が多く取り上げています。 3.11以降、英語圏以上に日本で人気のようで、ゴフマン博士をキイワードに昨日は様々なサイトに流れ流れてあっという間に日が暮れてしまいました。

さて、ゴフマン博士を中立的な立場で、しっかり紹介しているサイト探しをしているのですが、英語のWIKIぐらいしか(日本語は略歴のみ)見当たらず、そのWIKIを翻訳しかけていたのですが、米国バークレイ大学のサイトに、今のところベストの紹介文を発見! 訳しかけています。

http://www.nuc.berkeley.edu/forum/218/gofman.2012-03-04
ゴフマン

ジョン·ゴフマンは、原子力と物理化学で博士号を取得した医師です。彼は、カリフォルニア大学バークレー校の分子細胞生物学の名誉教授で、サンフランシスコのカリフォルニア大学医学部の教員のメンバーです。彼の長いキャリアの中で、彼は2つの独立した研究分野を追求してきました --- 心臓病、そして低レベル放射線の健康への影響です。彼は、アテローム性動脈硬化症の原因を究明するための独創的な研究のためにいくつかの賞を受賞しましたが、このアテローム性動脈硬化症は血管内の脂肪 "プラーク"の成長で、しばしば致命的な心臓発作を引き起こします。1974年に、米国心臓病学会は、過去四半世紀の心臓病の25の主要研究者の一人として彼を選びました。

1960年代初頭に、米国原子力委員会(AEC)は、ゴフマンにすべてのタイプの原子力活動の健康への影響を評価するためにAECのリバモア国立研究所(LNL)に生体医学研究部門を創設するよう求めました。 1970年に、彼は放射線はこれまで考えられていたよりも危険だと確信するに至りました。彼はプロジェクトPlowshare(鋤の刃)に反対意見を述べましたが、そのプロジェクトは、ロッキー山脈の下の岩に閉じ込められたガスを放出し地上の核爆弾を爆発させて新しい港や運河を掘削するために数百の核兵器を爆発するというAECの計画でした。(参照:REHW#691)彼は、また、1000基の商業用原子力発電所を開発するAECの計画について5年間の凍結を求めました。 1974年までに、彼に対する政府出資はカットされました。その後、彼は放射線の危険性について一連の本を著述し始めました: 放射能と人間の健康(1981年)、X線 - 共通検査の健康影響(1985年)、低放射線被爆による放射線誘発癌​​:独立分析(1990年)、乳癌の予防:この病気の主要で証明された予防可能な原因の話(1995年、第二版 1996年)、癌や虚血性心疾患の病態における医療処置からの放射線:人口10万人当たりの医師数での放射線量反応の研究(1999年)。[1,2,3,4,5]

ゴフマンはすばらしい教師です。彼の本では、彼は、生データ、それがどこから来たのか、その欠点、それがどう改善されるかもしれないか(または、なぜ我々が持っているもので立ち往生しているか)、を説明します。それから彼は、専門家ばかりでなく初心者のためにも各ステップを説明し、読者を彼の結論に向かって一歩一歩導きます。彼は、仮定することを余儀なくされると、何故まさしくその仮定を行っているかを説明します。彼はしばしば別の仮定とそれが彼の結論に与える影響について説明します。重要なことは何も省略されていません。結果として、ゴフマンの本は長編です - 詳細な説明を伴うデータの表で満たされ500から900ページが一般です。読者は、トピックについて初心者と専門家双方にとり十分で徹底した教育を得ます。私はゴフマンは20世紀の最も偉大な教師の1人と考えます。彼の著作は、すでに世界の放射線の危険性への見方を変え、彼の最新の著書は、最終的に、長い戦いの後、世界の医療用放射線への見方に革命をもたらすことになるでしょう。累積すると彼の仕事は何百万もの命を救うことになるでしょう。

彼の最新(1999年)の本の中で、ゴフマンは医療用放射線が癌およびアテローム性動脈硬化症(冠状動脈性心臓病)の主要な原因であることを示す強力な証拠を提示します。[5] "医療用放射線"で、博士ゴフマンは、主にX線透視とCT( "cat")スキャンを言及します。そのメカニズムはいとも簡単です:放射線が遺伝子の突然変異を引き起こし最終的に疾患を引き起こします。

ゴフマンは何を言っているのでしょうか? 彼は医療用放射線が癌と冠状動脈性心臓病の必然的に唯一の原因であると言っているのでしょうか? もちろんそうではありません。彼は、癌が、喫煙、貧しい食生活、遺伝的継承、農薬、ディーゼルの排気ガス、ダイオキシン、そして仕事で出会った有毒化学物質、によって引き起こされないと言っているのでしょうか? もちろんそうではありません。癌と心臓病は両方とも複数の原因を持っています。癌(またはアテローム性動脈硬化プラーク)生まれるには、一つの細胞がいくつか(おそらく5~10)の別々の遺伝子変異を受ける必要があります。 これらの変異の一部は継承された可能性がありますが、ほとんどは、環境内の遺伝子破壊物質の被爆から発生します。

これが複数の因果関係を理解する方法です。ゴフマンは、癌について100症例からなる次の架空例を示しています。

40 cancers caused by co-action of x-rays + smoking + poor diet;

25 cancers caused by co-action of x-rays + poor diet + inherited genetic mutations;

25 cancers caused by co-action of x-rays + smoking + inherited genetic mutations;

10 cancers caused by co-action of smoking + poor diet + inherited genetic mutations.

<まだまだ続きます> 爺:この部分の説明は、既に日本で多くの方が日本語で書かれているので、参考にしようかと思っています。

さて、このようなゴフマン博士の本ならぜひ読んでみたいと思っていたら、次の新装版がまさに今月刊行されていました。ぜひ読みたいですね。原書名は、 Radiation & Human Health (1981)だと思います。
ジョン W・ゴフマン
明石書店
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