今日、1月25日は、
私にとって人生で一番忘れられない日です。
12年前の今日、突然の交通事故で主人は
逝ってしまいました。
この日ことを、何百回反芻したことでしょうか。
あまりに思い返しすぎて、
この1日の朝から夜までのすべてが、
鮮明な描写として、克明に記憶されています。
午前中行ったスーパーでかかっていた曲、
見上げた空の色、雲の形、
その時思ったこと…
今から思うと、あまりに不思議なことの多い
一日でもありました。
私は、彼がもうこの世からいなくなってしまったことを、
肌で感じていたのかもしれません。
その日は、通っていたお菓子教室で、
バレンタインデーのためのガトーショコラを習った日でした。
帰り道、バレンタインデーには、
今日のガトーショコラをプレゼントしようかな、
と考えながらふと空を見上げた時、
何とも言えない気持ちがしたんです。
今思うと、それは主人が事故に遭った3時過ぎで、
うまく言えないけれど、
もうこの世から、彼、という存在が消えてしまったことを、
なんとなく感じたような気がします。
あの、不思議な感覚、
なんだか、ぽっかり穴があいたような…
その同じ感覚は、家の引き戸を開けて、
家に入った時にも感じたのでした。
誰もいない家に入るのですから、
静かなのは当たり前ですが、
なんていうんでしょう、不思議な空虚感…
とでも言うのでしょうか、
彼の気配が消えうせたことを、
私は気づいていたんだ
って。
事故の知らせを告げる電話が鳴ったのは、
その直後でした。
私にとって救いになることが一つあります。
あの日のお昼、彼から電話がありました。
内容は、ひどくたわいないことで、
何も、わざわざ電話をかけてこなくてもいいようなこと
だったんです。
いつもだったら、
「もう~、忙しいのに、そんなくだらないことで
電話かけてこなくていいよ」
とでも言って、すぐに切ってしまいそうなものなのに、
あの日はなぜか、楽しく会話して、
「今日、何時ごろ帰れるの?」
「たぶん9時頃だと思うよ」
って。
そんな会話で、電話を切ったのです。
そして、彼はちゃんんと夜9時に家に帰ってきました。
物言わぬ姿ではありましたが。
もし、あのお昼の電話を邪険に切っていたりしたら、
私は一生後悔してしまったと思うんです。
それ以来、私はどんな時でも、誰とでも、
別れるときは笑顔で と決めています。
いらいらして、娘たちと口げんかになるような朝、
子どものほうも、捨て台詞を投げ捨てて、家を
飛び出すような時があります。
そんな時も、必ず追いかけて、
だめ!行くときだけはにっこりしてって!
って。
もう2度と会えないかもしれない、
という気持ちで、さよならをすれば、
最高の笑顔で、人と別れられます。
電話も同じです。
彼を最後に見たのが笑顔でよかった。
楽しい会話でよかった。
がこの12年間、何百回も思い続け、
そして実践してきたことです。
おやすみなさい