私は最近、新聞を読んでいて、わが国の憲法にも問題はあるが、政治システムにも大きな問題があることを知った。そこで、日本の政治システムの問題点、現在の自民党政治の問題点、今後の日本政治の問題点の3つに分けて整理してみた。


■ 日本の政治システムの問題点


(1).衆院と参院の対等性が強く、分業関係があいまいである上に調整方法も未整備であるため、両院がねじれると法案が成立しにくくなる。現在は幸運にもねじれは解消しているが、またいつねじれが発生するとも限らないので、将来を考えて今のうちに「衆院の優位性」を定めておくべきである。


(2).国会運営に関する政府の権限が弱く、法案の審議日程の決定、修正の扱い、議決の方式などについて、政府が関与できず、与野党の合意が必要となるため、首相をはじめ閣僚が頻繁に、かつ長時間、国会審議に拘束されることになる。


(3).日本の国会には「会期不継続の原則」があり、審議未了の議案が原則として廃案になってしまうだけでなく、与野党間の日程闘争などに時間をとられるため、衆院本会議の開催時間が他の先進国と比較すると異常なほど短く、2012年の場合、合計60時間で、イギリスやフランスの1,100時間のおよそ1/18しかない。


■ 現在の自民党政治の問題点


(1).自民党の派閥の領袖でない小泉純一郎氏が2001年4月に首相となって、派閥を無視した人事政策を採ったことによって、派閥の力が著しく衰え、派閥に支えられた自民党の統治構造は崩壊してしまった。このことは、安倍晋三氏のように派閥の領袖でない議員が首相になることを可能にもしたが、派閥政治に代わるシステムを確立できないまま、国民の支持率だけを唯一の頼りとする基盤のもろい政治を生み出すことになった。


(2).財政再建は非常に重要なテーマだが、年金支給開始年齢の再引き上げや医療費補助の削減など国民に痛みを強いることになるため、当然のことながら選挙では票にもならず、どうしても後回しにしがちになる。


(3).農業や医療など強力な既得権益層を庇護する分厚い岩盤規制について、歴代政権はずっと跳ね返されてきたが、安倍首相は突き破ることができるのか。


■ 今後の日本政治の問題点


(1).成長戦略の延長線上にあるTPP参加等の経済構造改革や消費増税等の財政規律維持など国民や党内から相当数の批判や反対を受けると予想される問題について、与党内を1本にまとめて対応できるかどうかに不安が残る。


(2).少子高齢化が進むわが国では、今後は医療費は毎年1兆2,000億円ずつ増えていくという前提で財政見通しが語られることが多いが、共助の考え方を採り入れれば、ITの力を利用して効率的に、元気な高齢者が介護が必要となった人を支援することもできるだろう。つまり、同一世代の問題を極力、同一世代で解決するようにすれば歳出は減らせるのである。


(3).自民党が既得権益層に取り込まれ過ぎると、新規の公共事業を大幅に増やしたり、TPP対策として自立を支援するための補助金ではなく、農家を甘やかすための補助金をばら撒いたりと、また利益誘導型の政治が復活してしまう可能性がある。


(4).政権奪還の可能性がなくなった野党が苛立ち紛れに、また与党の足を引っ張るだけの野党に逆戻りしてしまう可能性がある。