今日は、最近の政治家や役人の暴言や失言とされる発言について、どこに問題があったのか、どう発言すべきだったのかを考えてみたい。


◆ 左翼のクソども


総務省出身のキャリア官僚で復興庁の幹部を務めていた水野靖久参事官(45)が、3月に市民団体が開いた集会に出席した後、ツイッターで「左翼のクソどもから、ひたすら罵声を浴びせられる集会に出席」とつぶやいていたことが問題視された。関係者に不快な思いをさせかねない不適切な発言と見なされたのである。その結果、水野氏は6月21日に停職30日の懲戒処分を受け、総務省に異動となった。


この発言のどこが問題だったのか。「クソ」という表現が下品すぎたのである。それで私は考えたのだが、「左翼のクソども」の代わりに、「左翼のあんこたち」と言ったらどうだったろうか。これでもし非難されたら、「左翼のあんたたち」の間違いでしたとやるのである。これだったら、多分問題とされることはなかっただろう。「あんこ」は甘いもので人の心を突き刺す力はないからであるが、一方において、あのシェークスピアが大事な人との別れを「Parting is such sweet sorrow(別れは甘い悲しみである).」と表現しているように、「甘い」という言葉には反語的な意味がある。


従って、「左翼のあんこたち」という表現は、相手を侮辱する意味を持ち得るのである。これこそ、相手を怒らせずに小馬鹿にする巧妙な表現と言えるのではないかと私は思うのだが、どうだろうか。


◆ うようよ


日本維新の会の西村真悟衆院議員が5月17日の党代議士会で、同党の橋下徹共同代表の慰安婦発言に関連して、「日本には韓国人の売春婦がうようよいる」と発言したことが問題とされた。西村氏は、その場にいた党員から問題を指摘され、その場で発言を撤回した上で、同日中に維新の会へ離党届を提出したが、5月18日に党から除名処分を受けた。


西村氏は、1997年5月6日に日本の国会議員として初めて尖閣諸島の魚釣島に上陸した骨のある政治家でこのようなことになったのは甚だ残念であるが、どう表現すべきだったのだろうか。もし私だったら、次のように表現したと思う。


「犬も歩けば棒に当たる」っていうけど、最近、私が夜大阪の繁華街を歩いていると、厚化粧をした韓国人らしき女性によく行き当たるんだ!「これって、たまたま、それとも、気のせい?」って思って、秘書に調べさせたら、大阪の夜の繁華街には何と5,000人も韓国人女性が働いてるそうだ!そりゃ、当たるわな!


つまり、主観的な思い込みを興味半分に語るのではなく、客観的な事実を示せばよかったのである。


■ まとめ


上記以外にも、6月5日に、ある岩手県議が病院に行った際に名前ではなく番号で呼ばれたことに腹を立て、会計をすっぽかして帰り、ブログに「ここは刑務所か!。名前で呼べよ。なんだ241番とは!」などと書き込んだところ、非難が殺到してブログが炎上し、進退窮まって自殺に追い込まれるという事件が起きている。


政治家や役人にとって、情報発信は仕事の一部だが場合によっては命懸けなので、発言力や発信力に常々磨きをかけた方がよいだろう。口は災いのもとではあるが、人を感動させる武器にもなり得るからである。