幕降ろす 蒸しまんじゅう「ろうまん」など、素朴な味惜しまれながら /岡山

2007年12月29日(土)14:05
  • 毎日新聞

 ◇歴史的にも貴重、継承へ再評価を

 「ろうまん」「労研饅頭」「ローケンパン」などの名称で長年、県民に親しまれてきた蒸しまんじゅう。その一つ、「ろうまん」を作り続けてきた三笠屋(岡山市宿)がこの冬、半世紀近くの歴史に幕を降ろした。【横山三加子】

 労研饅頭を研究している同市デジタルミュージアム学芸員の猪原千恵さんによると、原型は倉敷紡績工場内の倉敷労働科学研究所(現財団法人・労働科学研究所=東京)の所長を務めた医学博士の暉峻義等(てるおかぎとう)さん(1889~1996)が考案。「工場労働者らに安価で栄養価のある主食を」と、旧満州(中国東北部)の労働者の主食だった饅頭(マントウ)をヒントに日本人向けに改良し、「労研饅頭」と名付けた。昭和4~5年ごろのことだ。

 以降、同研究所から酵母を譲り受けた全国の業者が製造を始め、4個入り一袋を5銭で販売。素朴で飽きのこない味が広く受け入れられた。しかし、戦時中の原材料不足などで業者が激減。戦後までオリジナルの酵母を守った松山市の製菓業者から三笠屋は酵母を譲り受けたという。

 三笠屋では、夫婦2人が朝3時から岡山市役所や市内の病院で販売する「ろうまん」約120袋を作ってきた。4個入り一袋170円。パンや洋菓子が主流を占める中、甘みを抑えた自然な味わいを好む根強いファンに支えられたが、21日に廃業した。「素朴な味が好きだったのに」という市民の声は多い。

 終戦直後から「労研饅頭」の名で販売するニブべーカリー(備前市)の丹生実専務(53)は「岡山生まれの商品を作っていた業者がひとつ消えるのはさびしい」と声を落とすが、「時代は変わるが、レトロなあの味を守っていきたい思いはある」と力強く話した。

 猪原さんは「歴史的にも意味の深い食品。継承のためにも、もっと再評価されるべき」と話している。

gooニュースから 


 残しておいてもいいと思いますけどっ。