生まれて初めて『分娩台』なるものにのった私は、正にまな板の上の鯉。


もう、逃げも隠れも出来ない。


「まだ、いきまないでね。すぐに先生が来るからね」


看護師さんの言葉で、この大きな陣痛の波が『いきみたい』という感覚なのだと、痛みに九割方支配された脳細胞の片隅で理解する。


この波に任せて『いきめ』ば、赤ちゃんが生まれる、そう言うことなのだろう。


先生が来ないうちに生まれちゃマズイ。


それは理解できる。


でも、


理解できるのと、実行出来るのとの間には、日本海溝よりも深い溝があった。


うわっ、また来たっ!


尾てい骨、内側から、ジャストミート!


背骨に添って、衝撃が脳天に付き抜ける。


「ああ、いきまないでね!」


んなこと言われても、無理無理無理っ!


この波に逆らうなっていうのが、無理っ!


そんなやり取りが何度かあった後、ようやく真打ち登場。


せ、先生、早くして~っ!


声にはならず、目線で必死に訴える。


左手に点滴の針を入れられて、分娩台の向こうには先生が陣取り、看護婦さんが二人で何やらパタパタ準備完了。


「はい、次にいきみたくなったら、お尻を天井に向かって突き出すように、思いっきりいきんでね」


は、はいっ!


いきみます、いきみます、


言われなくても、思いっきりいきみますっ!!!


かくして。


まだ充分に寒い、1月初旬の朝。


世間様が正月休みを終えて、新年のお仕事に励みだした忙しない時分の早朝。


分娩台に上がって30分後。


先生が到着してからは、多分15分ほど。


本人は大分とっちらかっていたので、定かではないけど、微かな記憶を辿ってみると、5回ほどの『いきみ』の後。


我が家の第1子。


長女は、予定日よりも3週間早く、


この世に産声を上げたのだった。





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※この記事の出来事は過去(十数年前)、
バセドウ病診断前の体験です。


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★ ★ ★



★記事外おしゃべりん。


本当は、出産シーン、詳細に書こうと思ったんですが、色々シュールなので、大分端折ってます。(笑)

ょろっと言うと、切ったり縫ったりもしています、はい。あせる

ちなみに、家は立ち会い出産ではありませんでした。

立ち会いをすると、殿方は人生観が変わるとか、変わらないとか。



今日の大好き作品♪

翔子の事件簿シリーズ/大谷博子さん

(少女漫画)


★あらすじ

主人公の女性・翔子の周りで起こる様々な出来事。

それは時に悲劇的に、ドラマチックに、そして感動的に、

彼女を一人の女性として、やがては母親として成長させていく。



翔子の事件簿 (秋田レディースコミックス)/大谷 博子
¥440
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この作品の原点。
人気モデルで、唯一の翔子の肉親でもある『姉の死』の真相を巡る物語。
末っ子物語~翔子の事件簿シリーズ (秋田レディースコミックスデラックス)/大谷 博子
¥500
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私的には、シリーズの後半。
翔子が、母親として奮闘する姿が、とても大好きです♪
『翔子』という女性像、母親像は、私の憧れでもあります。
翔子の事件簿 11 (秋田文庫 21-13)/大谷 博子
¥610
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そう、例えるなら、『向日葵みたいな女性』

だれでも、フンワリと包み込んでくれるような、そんな温かい人、

それが翔子さんなのです。


翔子の事件簿 (1) (秋田文庫)/大谷 博子
¥610
Amazon.co.jp

今も尚続く、長い長い物語。
『事件簿』とは言っても、日常の中の誰にでも起こりうる事件。
そこには、様々な感動が隠されているのです。



と、今日もこの辺で、又次回!

(^^)/