イタリアから帰国した友人をまねいて、旅行感想会をひらいた。もう何年も行っていない。
おみやげにもらったオリーブオイルをつかって、アヒージョをつくる。ワインがすすんだ。
「10日間でイタリア一周かあ、本当うらやましいよね。私も、もう一回いってみたいな」
「フランスより気取ってなくてリラックスできるもんな。メシもうまいし」
「私はスペイン料理のほうがすきなんだけどね。イタリアは、なんか飽きちゃうのよね」
たしかにパスタの種類はそれほど豊富でなく、すくなくともタラコ風味なんてない。
それよりサンドイッチが異常に旨かったことをおもいだす。あれはフィレンツェだったか。
「あなたって、街の雰囲気より食べ物しか記憶をリンクさせてないんだから」
「そりゃ人間の本能にもとづく行動へ、身をゆだねた結果だよ。景色で腹はみたせない」
「でも、いくらおいしいからって五つも食べることはないじゃない」
「やっぱり、海外に身をおくと死の恐怖を感じるんだよな。ある種の六文銭代わりだよ」
「たんに食い意地がはってるだけじゃない。あのあとパスタも三杯たべたわね。恐ろしいわ」
彼女は味が単調だというが、素材がそもそもおいしいのでいくらでも食べられた。
ローマはともかく、地方都市は物価がそれほど高くない。地元民の集うバルでは、とくにだ。
「私が唯一、あなたを尊敬できるのは誰に対しても警戒心をもたれないところだわ」
「それはどういう意味だよ。俺はつねにゴルゴ13のような危険な男だぜ」
「そんなゴルゴさんが、見知らぬ外国人と酔っ払いながら肩を組んで歌ったりするんだからね」
あまり覚えていないが、旅の醍醐味は食と地元民とのふれあいと信じるがゆえの行動だろう。
「それにしても、唯一とはなんだ。べつにガンジーのような高潔な人物だとは思わんが」
「あともうひとつあるわ。その旺盛すぎる食欲。私の努力をきちんと味わっているか気になるのよね」
ハイキングをした最初のデートを忘れているな。作ってくれた弁当の味で、俺は心を決めたんだぜ。
おみやげにもらったオリーブオイルをつかって、アヒージョをつくる。ワインがすすんだ。
「10日間でイタリア一周かあ、本当うらやましいよね。私も、もう一回いってみたいな」
「フランスより気取ってなくてリラックスできるもんな。メシもうまいし」
「私はスペイン料理のほうがすきなんだけどね。イタリアは、なんか飽きちゃうのよね」
たしかにパスタの種類はそれほど豊富でなく、すくなくともタラコ風味なんてない。
それよりサンドイッチが異常に旨かったことをおもいだす。あれはフィレンツェだったか。
「あなたって、街の雰囲気より食べ物しか記憶をリンクさせてないんだから」
「そりゃ人間の本能にもとづく行動へ、身をゆだねた結果だよ。景色で腹はみたせない」
「でも、いくらおいしいからって五つも食べることはないじゃない」
「やっぱり、海外に身をおくと死の恐怖を感じるんだよな。ある種の六文銭代わりだよ」
「たんに食い意地がはってるだけじゃない。あのあとパスタも三杯たべたわね。恐ろしいわ」
彼女は味が単調だというが、素材がそもそもおいしいのでいくらでも食べられた。
ローマはともかく、地方都市は物価がそれほど高くない。地元民の集うバルでは、とくにだ。
「私が唯一、あなたを尊敬できるのは誰に対しても警戒心をもたれないところだわ」
「それはどういう意味だよ。俺はつねにゴルゴ13のような危険な男だぜ」
「そんなゴルゴさんが、見知らぬ外国人と酔っ払いながら肩を組んで歌ったりするんだからね」
あまり覚えていないが、旅の醍醐味は食と地元民とのふれあいと信じるがゆえの行動だろう。
「それにしても、唯一とはなんだ。べつにガンジーのような高潔な人物だとは思わんが」
「あともうひとつあるわ。その旺盛すぎる食欲。私の努力をきちんと味わっているか気になるのよね」
ハイキングをした最初のデートを忘れているな。作ってくれた弁当の味で、俺は心を決めたんだぜ。