お久しぶりです。


いろいろあってブログ休止してましたが、またぼちぼちと書き始めたいと思います。




実は去年獣医腫瘍科認定医Ⅰ種の一次試験を受験したのですが


合格いたしました!!



かなり難しかったのであまり自信がなかったのですが

合格率25%の中にすべりこむことができました。



次は二次試験に合格すれば晴れて認定医Ⅰ種となることができます。



認定医Ⅰ種ともなると全国に36人しかおらず、

都市圏には多いですが田舎の方には取得者はいない県も多いので

私が取得することで地域獣医療のレベルアップに貢献できればと思います。




今日は犬と猫の線維肉腫について書きたいと思います。


線維肉腫という腫瘍は皮膚の下にできる腫瘍です。


軟部組織肉腫とよばれるものの一つで、その特徴としては


局所浸潤性が強く(周りに根をはうように広がること)、再発しやすいですが、


転移はしにくいという性質をもっています。




しかし同じ線維肉腫という診断名でも、猫の場合はワクチン接種のあとに


接種部位にできて急激に大きくなったしこりは「ワクチン関連肉腫」と呼ばれ、


軟部組織肉腫よりも癌としての性質が悪く、治療も困難になります。





治療については先ほど述べたとおり転移はしにくいので局所制御、


つまりいかにしてガン細胞を減らして再発を予防するかが大事になります。



そのために一番重要なのは手術です。


根をはうように広がる癌なので、癌の周囲の筋肉や骨を2~3cm含めて切除するのが


好ましいとされています。また手足に発生した場合は断脚(足を切断)しなければ


いけない場合もあります。




しかし、小さな動物たちにとって周囲を2~3cmも切除するということは


困難な場合も多く、その場合は放射線療法を組み合わせることが効果的です。


施設や、動物の状態(数回の麻酔に耐えれるか)、また金額面での問題がなければ


積極的に行った方がよいと思われます。





あと、癌治療の三本柱の残りの化学療法については


あまり効果的ではなく、2割程度しか効きません。


一般的な抗癌剤の使い方は、その動物が耐えられる最大の量を投与して


ガン細胞をたたく!という考え方なので,


メリットよりもデメリットの方が大きいかもしれません。



そのため、最近の研究では「メトロノーム化学療法」という投与方法が報告され始めました。


これは人で行われているものを動物にも応用し始めたものですが、


ガン細胞に直接攻撃するのではなく、ガンの栄養血管を標的にして兵糧攻めにしたり、


腫瘍免疫の抑制を改善(腫瘍を攻撃するための免疫を邪魔するものをたたく)することで


ガン細胞が再発したり大きくなるスピードを緩める効果があり、


ガンが大きくならなければガンと共存するという考え方です。



普通の化学療法と違って、副作用が出にくいような少ない量を投与するので


効くのであればメリットは大きいと思います。



しかし今のところ報告は少ないので、犬猫では今後が期待される治療法です。








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前回は犬の肥満細胞腫の概要について説明したので



今回は治療について説明したいと思います。











前回で述べた通り、肥満細胞腫は皮膚にできることが多いので



治療の中心となるものは手術です。










ガン細胞というのは無限に増殖する細胞ですから



治療の目標は癌を体から無くすこと→ガン細胞を0個にすることです。








しかし、肥満細胞腫はやっかいな腫瘍で



木が根を張り巡らすように周りにガン細胞が散りやすい腫瘍です。



そのため、小さな肥満細胞腫でも広い範囲で切り取らなければなりません。









背中やお腹などの皮膚を切り取りやすい部分にできていれば手術だけで治ることもありますが、



手足や生殖器、肛門付近などにできてしまうと、腫瘍を取りきれない場合が多く、



再発することもめずらしくありません。



命を救うためにやむを得ず手足を切断する場合もあります。















切り取った腫瘍は病理検査(どのようなガンなのか調べる検査)に出します。



病理検査でわかる最も重要なことは肥満細胞腫の組織グレードです。




「グレード」というのは悪さの基準なのですが、大まかに言うと



グレード1→悪性だけどもあまり悪くない

グレード2→まあまあ悪い。最も多い

グレード3→かなり悪い。転移しやすい


という感じです。グレード1ならちょっと安心できます。


グレード2以上だとしっかり治療しなければなりません。









さらに病理検査の結果には「マージン」というものが記載されてます。


腫瘍を取りきれているかどうかの結果です。


もし腫瘍が残っている可能性が高ければ、次の手を打たなければなりません。














手術以外の治療法としては放射線治療化学療法があります。








放射線療法は肥満細胞腫にはとても効果的な治療法で



手術した後に放射線をあてることで再発を予防できたり、



取りきれないような大きな肥満細胞腫に対して放射線で小さくしてから



手術する場合もあります。





しかしながら、現在の保険制度が整っていない動物医療では



とても高額な施設なので、都市部や大学などの限られた病院にしかないこと



また、動物での放射線療法では毎回全身麻酔が必要なことなどから、



まだまだ一般的な治療法ではありません。













そこで、腫瘍を取りきれていない場合などに一般的に行われるのは



化学療法です。



化学療法=抗癌剤を使った治療なので、漠然と怖いイメージがあるかもしれません。



しかし、ちゃんと信頼できる獣医さんと副作用についてしっかり話し合い、



副作用がでたときにはケアしてあげれば、決して怖い治療法ではありません。







あとで再発したときなどに後悔しないような治療方法を選択してくださいね。





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今日は犬の肥満細胞腫という腫瘍について書きたいと思います。


犬と限定したのは、猫と犬では同じ名前の腫瘍でも性質が全然違うためです。


猫についてはまた後日書きますね。






さて、肥満細胞腫と聞くとどのようなものを想像しますか?



この名前を飼い主さんに話すと、



「この子を太らせてしまったからできてしまったのですか?」



と聞かれることがよくあります。



肥満細胞という細胞は肥満や脂肪とは無関係なんです。まぎらわしいですね。




肥満細胞はアレルギーと深く関わっている細胞で、



アレルゲンと反応してヒスタミンなどの炎症物質を放出し、炎症反応を起こします。



その細胞が腫瘍化したものが肥満細胞腫ということになり、ほとんどは皮膚に発生します。






皮膚にできる腫瘍の種類はものすごく多いので、通常は見た目だけではわかりません。



まずは針で刺して少しだけ細胞を取って診断する細胞診を行います。



細胞診で診断できる腫瘍は限られているのですが、肥満細胞腫は細胞診だけでほぼ診断がつきます。





もし肥満細胞腫という診断が下ったら、悪性であることはほぼ間違いないので


早急に治療しなければいけません。




でもまずは治療の前に全身に転移していないかどうか調べる必要があります。



転移しやすいのは肝臓や脾臓ですので、エコーなどで調べます。





癌の治療で大事なことは、敵を知ることです。


どこまで広がっていて、どのような悪いやつなのか? 


そのようなことを調べずに、今後の見通しを説明しない獣医さんは残念ながら転院をおすすめします。





次回は肥満細胞腫の治療について説明したいと思います。









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7月末に実施された獣医腫瘍科認定医試験の結果が




やっと先日発表されましたひらめき電球








結果は・・・・










































合格ビックリマークビックリマーククラッカー








合格率、約1割でしたが






なんとか1発合格できましたアップ










これはゴールではなくスタートだと思ってますので






今後も動物やその飼い主さんたちを幸せにできるように






精進していきたいと改めて思いました。


























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