第4話 ひらきなおりと怠惰 | ぼくのかいしゃはどうぶつむら

第4話 ひらきなおりと怠惰

かつて うさぎさんは
優秀な方でした
バリバリと理想にもえて
しごとをこなし
とことん ものごとをつきつめて
がんばってきました
また どんなに
がんばっても それが
つらいとか 感じたこともないくらい
使命感に燃えていたのです

しかし なにか 大きなルールが
変わったときに
彼のなかで なにかが
ポキンとおれたのでした

それはフクロウさんの
悲壮な覚悟がきまったあたりと
同じ時期でした

いいものを作って たくさん売って
多くの人によろこばれる
そんな しあわせな 黒い木の実の
お仕事が もう 必要とされなくなって
しまったからでした

うさぎさんは開き直りました
そして 毎日 毎日
資料を作っては 上に伺うことしか
しないことになったのです

もちろん なにかをアクションに
うつすことはありません

枠をつくる
枠をこわす
ひとをうごかす
ひとを戻す
そんなことが
彼の今の「しごと」です

かれの目にどんよりと薄い膜が
はったように なって行き
その膜が硬く皮膚のように
なるまで あっと言うまもなく
・・・そして状況は そうなったのです