垣谷 美雨氏の本。


地方から大学進学の際上京してきた淳子、明美、紫。

中堅私大のフランス文学科に入学した彼女たちは

青春を謳歌し、無事卒業シーズンを迎える。

人並みに就職活動、恋愛、結婚し、

結婚後は嫁姑問題、変化していく実家、伴侶との関係に

悩み語り合い、励まし合ってきた。

それぞれの子供たちも自分の人生を選択できる歳を

迎えて…。


母親として、妻として頑張ってきた。

でも、私の人生ここで終わってしまうの──?



息子たちを大学付属の中学に進学させる為に、

苦手な義両親と同居を決意した淳子。

もっと勉強が出来る子だと思っていた兄は

期待値以下の出来。弟の方は自分がしたいこと

だけを優先させ、その上非常に飽きっぽい子供。

世間体を気にする姑に色々と制約を受ける日々。


明美は就職に苦労したので、自分のように困らないようにと

娘には医療系の資格を取るよう、言い聞かせるが全く

取り合ってもらえない。

夫は反対を押し切り転職し、結果高給取りになったものの、

外で遊びを覚えたようで知らない女からの無言電話がかかって

来るようになる。


実家が名家でお嬢さん育ちの紫はフランス語教室の講師であった

外国人と結婚したため、実家から勘当されていて帰ることが

出来ない。 

ハーフの娘は、幼少期から秀でた外見でモデルとして

芸能界で活躍し、彼女の稼ぎのお蔭で家も買えた。

夫は「必死になって働く」タイプではなく、ふわふわと

甘い考えに生きているので紫を苛々させる。



3人の女性それぞれの、家族の形とその子供たちの

物語。

10代から50代の現在に至るまで、振り返りながら綴られています。






色々と年代によって悩みは尽きないものだけど、

親が子供にしてあげられることって本当、ある一定の

ラインを超えてしまったら少ないんだろうなーと痛感。


お膳立てばかりしてあげて、いつまでも口をあーんと

開けていて自分で食べて行かれない子になって

しまっても困るし、そもそもそのお膳立て自体が

その子に合っているかどうかも分からない。


難しいなぁ。

分かることはただ一つ、手を離してあげる時期を

間違えないことと、心まで離さないこと。


子育て四訓と言われるものらしい。


【乳児はしっかり 肌を離すな

幼児は肌を離せ 手を離すな

少年は手を離せ 目を離すな

青年は目を離せ 心を離すな】


いつでもいい親ではいられないし、

いつでも「これでいいのか?」の

連続なんだけど、いずれ巣立つ日が

来る時に、背中を押してあげられる存在で

ありたいなぁ。

しがみつく親にならないよう、自戒を込めて。