思考するカンパニー―欲望の大量生産から利他的モデルへ/熊野 英介

株式会社アミタの社長である熊野英介氏の著書。


「総合環境ソリューション事業」を生業とした会社で、本書は、


熊野氏が何を考え、この会社と事業を通じてどんな社会を実現


していきたいのかを熱く語った内容。


アミタが目指すのは持続可能社会における循環システムの形成


である。そしてそれは、ポスト工業モデルの実現であり、ポスト


工業モデルとは、大量消費の最大幸福ではありない。


2006年株式公開をした目的は、持続可能社会を想定した、


社会イノベーションの時代に参画していきたいからなのだ。


企業の存在価値とミッションがとても明確で、強いメッセージ性がある。


このメッセージだけで、アミタという会社と社長の覚悟が伝わってくる。


教育で人々の意識を変えるのは大変で時間もかかる。しかし、


事業を通じて人々の行動を変え、習慣や意識を変えることは意外


にも容易なのだ。それが事業の強みだと思っている。


時代を創るためには社会の潜在的欲求を探し出さなければならず、


社会に先回りして新しい価値を提示する必要がある。


工業社会モデルから脱し、新しい社会を創るためには、学者や


行政の知恵よりもの、やむにやまれぬ起業家魂をもって、


社会や時代をデザインする行動力が重要なのではないか。


持続可能な社会を創るためという高邁な理想を持ち、確実に


行動を起こしている熊野氏の考えに共感すると共に、上場企業


として利益を出しながら、社会に変革を起こすべく活動されている


ことに畏敬の念を抱く。


今後のアミタの飛躍に期待。