六本木の国立新美術館
先月開館した、六本木の新美術館に行って来ました。
設計は黒川紀章。
波打つようなガラスの曲線は、夜に浮かび上がる天使の翼のような造形。
資料を収集せず、貸し出し専門の施設ということだから、
どんな企画にも対応しやすいように、という趣旨はよくわかるけれど。
大きなハコを作って、そのハコモノを施設運営する、って手法は、
もう今の時代に合わないんじゃないかと思います。
新美術館、という意味は、
単に新しくつくった美術館、という意味でしかない。
本当は、新しい美術館のあり方、とか、美術館建築、というものを
提案するようなプロジェクトであった欲しかったですね。
そのためにも、黒川紀章のような巨匠ではなく、
もっと40代、せめて50代のくらいの中堅建築家をコンペティションで競わせて、
提案の段階から、もっと面白い建物を作る努力をしていたら?と思わずにいられません。
まるで規格化されていた時代の小学校の校舎のように、片廊下式のプランで、
数基のエレベーター、エスカレーターで、上下の移動をするだけ、という
なんともおもしろくない内部。
カフェの配置を少し工夫して、建築的な見どころにしている風でもありますが、
中途半端な配置で、使い勝手が悪いだけ、という気もします。
いくらでも、「美術館自体を心地よい空間にするための建築的な提案」って
できるだろうと思うのですよね。
明治時代から、やり続けている、欧米の模倣。
「西洋には、美術館というものがあって、絵を展示する施設らしい」と
コンセプトだけを表面的に真似して、建設していた時代から、
100年以上経っているのに。
黒川氏の責任という要素よりも、
黒川氏を選んだ側の責任も、かなり重いのではないでしょうか。
海ほたる
ちょっと寒い中、東京湾アクアラインを通って、海ほたるへ。
首都高速道路で、レインボーブリッジを通って見える
お台場の風景は、まるで、映画の一場面のようですね。
それから、羽田空港の脇を抜けて、
アクアラインのトンネルへ。
単調で長いトンネルをぬけると、そこは、海上都市。←ちょっとおおげさ。。
丹下健三の東京計画1960のようですね。
指定管理者が導入された広島市現代美術館
広島市現代美術館は、去年の秋に、指定管理者が公募されて、
もともと受託していた財団法人の他に、なんと吉本興業なども応募していたんですね。。
選定の結果、財団法人広島市文化財団が受託しましたが、
それでも、予算はかなり削減された模様。。
外のチケットカウンターを廃止して、その人員ポストを
ミュージアムショップの人員と兼任させたのはいいと思いますが、
以前にあった、チケットカウンターはそのまま。
紙が貼ってあって
「チケット売り場は、内部に変わりました」 だって。。
館の入り口がこれですよ。。
悲しくなってしまいました。
財団法人の運営費用では、
このハード面の改修予算を見込んでいなかったら、直したくても予算がない。
だから、こんなことになっているんですね、きっと。
館内で変更が生じたサイン表示も、はがれそうな紙をペタって貼ってあるだけ。
なんか、うら寂しい空間になっていました。
清掃の人員も減ったのか、ガラスが薄汚れていたりして。。
黒川紀章設計の建物も、
こうなってしまっては、無駄にでかい感じがしてしまいます。
広島という地方都市に、現代美術館があることの意義はとても大きいと思うんです。
税収の多かった時代のつけを、こんな感じで未来に回すなんて。
これから、世の中の美術館はどうなってしまうのかな。