Doo-Upのブログ

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東京大学トライアスロンチームDoo-Upのオフィシャルブログです。大会や日々の活動を投稿していきます!

2021年に、それも2年遅れて東大を卒業し、今年社会人修士として再び東大に入学した中道です。修士でも学部時代に引き続き哲学を学んでいます。

関カレに出場してきましたので、そのレースレポートとなります。

※社会人になって再び学生になった今、トライアスロンというものについて何を考えているのかを自己紹介がてら書こうとしたところ、だいぶボリューミーになってしまったので後ろに回しました(胃もたれ必至なボリュームなのですが、おそらく年に1、2回のブログになろうと思われるので許していただけたら)。

 

内容は以下のとおりです。

0 リザルト

1 関カレまで

2 レースレポート

3 今後

4 トライアスロンについて

5 感想

 

0 リザルト

swim: 0:28:23(112)

bike: 1:12:08(128)

run: 0:41:28(71)

total: 2:21:59(108)

 

1 関カレまで

練習に本腰を入れ始めたのは2ヶ月弱前くらいです。

スイム: 御殿下にいりびたりました。練習距離のTotalの平均は2000m弱で、内容としてはエンデュランス系、スピード系、テクニック系を同程度に行い、IMも意識的に取り入れるようにしました。

バイク: 週1ペースで40kは漕ぐようにしました。練習内容に理性的な精査は加えずに、景色を楽しみつつ、自然を感じつつ、感性の赴くままにただ漕いでいました。

ラン: 週に2-4ジョグを中心とした練習を行いました。週1で閾値ペースの練習、ブリックランを実施しました。ジョグはジョグペースをオーバーすることが多々ありました。

 

2 レースレポート

2.0 レース前

特にアップはせず、スーパーいけがみまで買い出しがてら散歩したり、木陰で本を読んだりしてリラックスして過ごしました。日頃の夜型生活と当日那須塩原入りした関係で0:00就寝/4:30起床と明らかな睡眠不足だったので、途中20分ほど仮眠をとりました。また、トランジションエリアに搬入するものはあらかじめリストアップし、どのエリアオープンのタイミングで何を搬入するかも決めておきました。

 

2.1 スイム(0:28:23)

今回唯一危機感と絶望を感じている種目です。まずレースでの動きについては、おおむね外側からスタートし、比較的バトルも少なく、適宜ヘッドアップを入れてブイの位置を確認しつつまっすぐ泳ぐことを意識しました。また、フォームについては腕をしっかりストレッチさせて1ストロークでより多く水を捉えること、腰の位置を高くすることを意識し、それが機能している感覚もありました。体感としては1:40/100mだったのですが、終わってみたら1:53/100mほど。何がやばいかというと体感と結果、またプールでの泳力と結果がおそろしく乖離していること、その原因が不明であることです。すなわち、どう改善したらいいか道筋をまったく描けないということです。まずは原因を明らかにしなければならないので、Wetsuitを着て淡水OWで泳ぐ機会が必要なのですが、そんな機会はレースに出るくらいしかありません。若干絶望気味ですが、何とか原因を探索したいです。

 

2.2 バイク(1:12:08)

実測: 1:05:50(計6分程のトランジションで何をやっていたんだという感じですね、、。まずスイム後はWetsuitがなかなか脱げずひたすら悪戦苦闘し、またバイク後は、4で詳述する考えもあって、オードリー春日さん並の速度で歩いてバイクセットしに行ったり、帰宅のことを考えて降車時に外れたチェーンを直したり、端的に言えば遊んでいました)

全体としては、スイム→バイクのブリック練ができていないために、十分な力が発揮されていなかった感覚がありました(とはいえスイム→バイクのブリック練はどこでやればいいんだという話にはなりますが、、)。下りは空気抵抗の少ない姿勢でエネルギーロスを抑え、上りでは適正ギアで一定のケイデンスを保ち、コーナーはアウトインアウトを意識しました。平地は最適なポジションとギアとケイデンスの組み合わせを探ったまま答えを見つけることなく終わってしまいました。上りとコーナリングはよかったものの、下りや平地は無駄が多かったなと思います。また、補給食と給水のタイミングも分からず、とりあえずノリで平地で飲食しました。これらのテクニック系の話は、調べたらすぐに現時点での最適解を知ることができる類のものだと思うので、時間があるときに調べておこうと思います。あとは、パワーメーターの導入は必須だと強く感じています。一般に、バイクはスイムやランよりもトレーニングが格段に科学的にコントロールされている印象を受けるんですが、おそらく生身で運動が完結するスイムとランと違って、バイクは身体運動のアウトプットがマシンであるゆえに、スイムやランで可視化されないような運動要素もきっちり数値として現れるからなんだろうなと思ってます。

 

2.3 ラン(0:41:28)

今回はバイク→ランのブリック練については意識的に取り入れるようにしていたので、過去のレースと比較すると一番走れた感覚がありました。ただ、バイクのあとだとまだまだストライドが狭まっていてピッチで補完している状態なので、ブリック練は継続して求められるなと感じました。

 

3 今後

スイム: 先に述べた通り、原因不明で課題も分からない状態なので原因を探索することから。

バイク: 練習のボリュームを増やすとともに、パワーメーターを導入しトレーニングを理論的にコントロールする(あとはスイム→バイクのブリック練の機会の模索?)。

ラン: 現在の練習の方針は合っていると思うので引き続き行っていくのみ。ただ、ジョグのときはちゃんとジョグをする。

 

労働者なので労働時間は常に存在しつつ、これからしばらくはトライアスロンよりも勉学に力を入れることになるので、いかに効率よく練習するかが大事になってきます。スポーツ生理学や力学的な部分など勉強しつつ練習のクオリティを向上させていきたいと思います。社会人は時間が限られていますが、経済的基盤が確保されていることにより、それ以外のアクティビティに不安なしに集中することができることは大きなメリットだと思います。このメリットを最大限活かしつつ活動力を高めていきます。

 

4 トライアスロンについて

さて、トライアスロンについてです。どこまで書こうか迷いましたが(という常識的なリミッターが自分の中に形成され始めていることに危機感を感じています)、自己の自己に対する向き合いの様を赤裸々に開陳するのが自分のブログスタイルだったことを思い出しましたので、可能な限り詳細に書いていきます。以下で提示されるのはおそらく一般的には極端な考え方ですが、だからこそいつかどこかのどなたかにとって精神的な救いとなることを願いつつ。

 

最近はトライアスロンに対するスタンスのとりかたを考えています。とりわけ、「競技」と「運動」の区別に重大な意味を見出しています。学生の頃は、関カレやインカレというのは一大イベントであり、多くの学生がそれらにおいて何らかの目標を設定し努力しているということもあって、心の向きをかなり支配的に規定していたと思います。しかし、社会人になってからは良い意味で「競技性」と距離をとることができるようになりました。結局、個々人の考え方の中でトライアスロンをどう位置づけるかという問題で、他者との比較を重視するというスタンスも、まったき個人の世界でトライアスロンを行うというスタンスも、むしろトライアスロンとは距離を置くというスタンスもありえ、十人十色だろうと(当然といえば当然ですが)。

そうしたことを踏まえて、自分にとってトライアスロンはどう位置づけられるかを考えると、「競技としてコミットするわけではないが運動としてはコミットしたい」というさしあたりの結論に行き着きました。これは次のようなことです。

 

競技としてはコミットしないということについては4点理由があります。

まず、自身の「価値観」との兼ね合いです。自分の根源的な志向の一つには、「健康を保ったうえでの身体能力の向上」というのがあります。これに照らしたとき、競技としてのトライアスロンにおいては、たとえば「トランジションのテクニック」、「ソックス無しのラン」などは、身体能力の向上とはあまり関連性がなく(さらに競技としてのトライアスロン以外ではほとんど価値をもたない。着替えが早くなることでありうる遅刻を防げる、などはあるかもしれないが)、かつ後者にあっては足の健康に悪いというマイナスが加わるため、これらはバッティングする要素となります。しかし、競技としてタイムを追求していく際にはそれらは無視することができない要素です。

2点目は「他者との比較」の問題です。競技においては必然的に他者と競争し順位がつけられることになります。このことはゲームとしての楽しさを生み出すことになりますが、実際どれほど本質的な意味があるかと考え出すと、なかなか疑わしいものに思えてきます。人はそれぞれ固有の身体構造をもち、生命活動を維持している時間の総計、バックグラウンド、置かれた環境、練習にかけられる時間、練習へのモチベーションは千差万別です。こんなにも違う人間同士を同じ土俵で比較して出てくる順位とは何なんだろうなと。ということで、自分は他者との比較にはまったく関心がなくなり、順位というものについもそれがいかなるものであってもほとんど感情が生起しない状態となっています。

3点目は「ルール」の問題です。競技としてのトライアスロンにはルールが存在します。上でも触れたように複数人が同じ土俵で争うゲームなので当然ですが、競技としてのトライアスロンを自身の人生の観点から考える際には当然、そのゲームをメタ的に眺めそれ以外の様々な事柄や自分の価値観に照らし合わせて、「そのルールが存在するゲームにコミットする価値はあるか」を考えることになります。そうしたとき、競技としてのトライアスロンのルールは、自分にとってはなかなかにボリューミー、かつそれぞれのルールの存在の正当性をいまだに追いきれていない程度にはコンプレックスですし、トライアスロンそのものの規定において(「トランジション」の存在などルール以前の根源的な部分から)一つの競技としてまだ洗練の余地があるのではないかとも思えます。

最後に「コスト」です。これは金銭的な意味合いは当然ありますが、レースに際して要求される諸々の準備・片付け等が個人的には大きな問題です。今回のように会場が家から離れているときには特にそうなのですが、やはりトライアスロンは持っていくものが多く、またレースを経るとさまざまなものが汚れるため、準備、片付け、移動が大変です。また、競技開始時間や受付時間も朝早いのでかなり早い時間に起床しないといけなかったります。こうしたことが苦手な自分にとっては他の人の数倍はコストとしてのしかかってきます。常識的観点からするとこれは単なる怠惰として切り捨てられることは間違ありませんが、ここでは他者の視点は捨象し、自分から切っても切り離せないそうした性質を素直に受け入れたうえで、自身の人生的観点から競技としてのトライアスロンへのコミットの妥当性を考えているということです。

以上より、プロとしてやっていく(トライアスロンを生命活動維持の手段とする)のでない限り、自分が競技としてのトライアスロンにおいて成果を追求することは目指されることではないという結論に至りました。

 

では、運動としてはコミットしたいというのはどういうことかというと、こちらは3点あります。
まず、価値観との合致です。日々の練習で水泳、自転車、ランニングをバランスよく実施するというのはおそらく健康的です。また、スイム後のバイク、それら2種目の後のランには、それぞれの種目単体にはない固有の能力性が存在すると思われるため、身体能力の向上という点からみても個人的にGoodです。こうしたことは、先に述べた自分の志向に合致しています。

2点目は美的観点です。人それぞれかっこいいと思う運動はあると思いますが、自分にとってはトライアスロンは最高にかっこいい運動です。泳げて、漕げて、走れる(とりわけ泳ぐと走る)というのは人間の身体に固有な運動能力を、非Techniqueの領域(Techniqueそのものが評価対象となるのではなく、より速く・より強くの手段としてTechniqueが用いられる運動)においてフルで開発している感覚があります。

最後に楽しさという点です。競技性から離れることで、それぞれの運動に内在的な楽しさを享受できるだろうというのがあります(今回の関カレは自分の中でそうしたものとなった気がします。雨が降っていたので最大限とはいえませんが、スイム、バイク、ランのすべてにおいて那須塩原の自然の中で運動することを楽しめたなと)。

ですから、運動としてのトライアスロンは今のところ自分にとって大いにコミットする価値があるものだと考えています。

 

少々皮肉なのは、自身のトライアスロン的身体能力の程度を確認する術は、現状レースに参加する以外には基本的にないということです。

 

関連しての余談となっていまうのですが、最近はトライアスロンに関する動画をよく視聴しています。動画は視聴覚に訴えてくるのでモチベーションアップに最適だと感じています。競技としてのトライアスロンということに関しては、WTCSを見ています。Alex YeeやHayden Wildeはかっこよく、競技としてのトライアスロンへの強烈な(かつ決してそこには到達しえないというどうしようもない)憧れを生起させるのですが、上のような競技/運動の切り分けスタンスを確固たるものとしてもっているおかげで、そのどうにもならない感情をモチベーションへとうまく転換できている気がします。また、運動としてのトライアスロンについては、海外トライアスリートのA Day in the Life of X、とりわけJonny Brownleeのそれを繰り返し見ています。ヨークシャーの大地をランニングしたりライドするシーンはまさに自然と人間が一体化している感じがして「これが運動の原初的なあり方だよな」と思わされます(何よりヨーロッパの自然が良すぎる)↓

 

 

5 感想

今回、年の離れた自分を快く迎え入れてくれた後輩のみなさんには本当に感謝したいです。そして、出場した全員が完走できたことや出場しなかったメンバーがサポートにきてくれていたのは素晴らしいなと思いました。練習を積んでいないメンバーにとっては完走することも大変なことだっただろうし、他者のサポートということに関しては自分にはまったくできないことなのでいずれも尊敬しかないです。普段は集団行動が不得手な生来の気質もあり、練習をはじめとして個人で行動することが多いのですが、こうしたイベントで人と触れ合うのも良いものだなと改めて思いました。久しぶりの関カレはとても楽しかったです。ありがとうございました!

 

サポートで来てくれたメンバーがNiceな写真を撮ってくれました。社会人になると自己紹介の機会が多く、使う写真に困ることが多々あったので本当にうれしいです。ありがとう!

他の人が写っていない写真をあげておきます↓

カバー写真はこちらからいただきました↓ありがとうございます!