◆バッジ取得者の多くが、充分な「戦力」になり得ていないことを… | 児玉千恵子@連絡簿

児玉千恵子@連絡簿

わが国に「既製服のフィッター」を誕生させたパイオニアとして知られ
VMD改善実地指導で売れるCS空間を創る「売場の庭師」とも呼ばれている
児玉千恵子が書き下ろす公式ブログ

(C) DOMINANT LIMITED 高水準の技術と筆記テストに臨む「フィッティングコンシェルジェ・商標登録」の審査シーン…(スイス発の高級アパレル)

 振り返れば、2003年に発足した「百貨店プロセールス資格制度」も、12回目の秋を迎える。
 「フィッティングアドバイザー」のレディス&メンズと、「ギフトアドバイザー」の資格取得者を合わせると、すでに3千人が誕生。
 三越と伊勢丹が合併するまでは、私も指定校「プロネット(三越グループ)」でフィッターの講師を担当していた。
 指定校でプロ育成に情熱を注いでいた当時から、2社の合併により講師を退任した後も、バッジ取得者の多くが、充分な「戦力」になり得ていないことを案じ続けていた。
 それらに関連するエピソードのほんの一例は、後述させていただく。
 まずは、今秋冬に精度の高い「商い」を全うしていくことを願って、小売業界の慣用語や混同されている職務や心支度について、私なりの見解を列記させていただくことにした。
 〈その1〉お客さまに喜びと感動を「与える」というフレーズ。
 日々の商いで、なにげなく使われている「与える」は、よーく考えてみると、今の時代には「上から目線」のようだと誤解を招こう。
 「…様に、喜んでいただき感動をお届けする」と改めることで、大切なお客さまへの思いが、一段と高まるのではないだろうか?
 〈その2〉多くの場合、CSとサービスを同義語と捉えている。
 CS「カスタマーズ・サティスファクション(顧客満足)」を向上させるためのインデックスは、ソフトからハード面まである。…企業イメージまで含めて枝葉を広げていくと、イコールサービスでは、充分な「CSM(顧客満足経営)」への道のりが遠のくことに気づかれるだろう。
 〈その3〉VMD=ディスプレイ・ショーイング(?)
 「VMD=MD+VP」の原理・原則を熟知して極めることで、店舗や売場のさらなる活性化を期待できる。
 VMDを要約すると、「売れる物作り」と「適切な仕入れ政策」、「販売&販促計画」と土地の風土・民度にかなった、的を射た「商品演出・訴求・伝達」のスキルとを上手にリンクさせて、購買につなげる手段・戦略・戦術を指す。
 〈その4〉「ディスプレイ・ショーイング・フォーミング・VP」の棲み分けを整理する。
 私流の定義づけは、「ディスプレイ」=展示・陳列、「ショーイング」=見せること・見えること、「フォーミング」とは、例えばボディ(トルソー・人台・ストックマン)に衣服を着せるときに、シズル感を高め迫力を出すために、袖や脚部にケント紙やクラフト紙を入れ、手足の立体感を出すテクニック。
 そして…VPは「ビジュアル・プレゼンテーション=視覚訴求・伝達・演出」と理解してみよう。
(次回につづく)

〔 PHOTO:DOMINANT LIMITED〕
「ストアーズレポート」 10月号より
Copyright(C) DOMINANT LIMITED All Right Reserved.
【無断転載使用不可】

人気ブログランキングへ