みずほ証券、株誤発注訴訟で控訴 裁判長期化へ

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20091218ATFL1806618122009.html




以前、今回の判決が、出た時点で、以下のような記事を書いた。


東証に約107億円賠償命令 ジェイコム株「1円」誤発注訴訟

http://ameblo.jp/dokoheiku/entry-10403264383.html


(以下抜粋)


> あと、東証の主張がすごいよ。
>
>
>
>
>  (1)
>  そもそも誤発注がなければ
>  問題は生じなかった。
>
>  →では、もう一回誤発注が起きれば、
>   その過失はどうなるのか?
>   東証ではなく、証券会社が負うべきなのか?
>
>
>
>
>  (2)
>  施設を提供しているだけで
>  個別の注文を処理する義務はない
>
>  →これを言うと極端な話、証券取引所自体が
>   必要ないという話になりかねない。

  さらに、おかしな話、個別の注文以外の注文

  っていったい何なの?

>
>
>
>  (3)
>  特殊な条件が重なって生じた不具合で予測できなかった
>
>  →特殊な条件は、発生するから「特殊」とみなせて
>    それに対する対応を必要とするのであって、
>    理由にはならない。
>

※事件の概要と、日経のオピニオンは以下の社説を参考のこと。


[日経社説] 社説2 誤発注判決が問う東証の責任(12/5)

http://blog.goo.ne.jp/freddie19/e/344a8a3846fddd7ea69574cda7746a55



まあ、内部事情が分からない僕から見ても、東証の言い分

は、世界の金融センターを目指す(もう、目指していないのか?)

東京の中心的な証券取引所の主張としてはあまりにお粗末で、

みずほの逆鱗に触れたのだろう。




みずほ銀行、東証、両社の法務部の皆さん、

がんばってください。




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2002年、当時の

 ・第一勧業銀行

 ・富士銀行

 ・日本興業銀行

の3行が合併し、


リテール部門を主として、みずほ銀行が

ホールセール部門を主として、みずほコーポレート銀行

が誕生したのだが、当時3行を知るある人は、2002/4/1に


 「事なかれ主義の」第一勧銀

 「プライドだけは高い」富士

 「頭の切れる連中揃いの」興銀


「そんな3行が合併してもうまくいくはずがない。」

と言っていた。


私はその3行と仕事をしたことがなかったが、

「確かに興銀はすごそうだよな。」などと思い

ながら、仕事をしていたが、さっそく、

オンライン障害で、決済処理が遅れたり、

口座から預金が二重に引き落としされたりする障害が

多数発生し、オペレーティング・リスクに大きな影響を

及ぼす事態となった。


当時、私は

「電気料金の引き落としのデータが東電から

 MT(※1)で送られてくる。」

と聞いて、冗談かと思って、笑ってしまった。


東電ほどの大口顧客とのやり取りにいまだにMTを

使っているほど、銀行のシステム部門はシステムの

改築にかける予算がないのか、それとも優先度を

下げているからやっていないのか、よくわからないが

とにかく、MTという懐かしい響きに笑ってしまった。



(私は汎用機(※2)の経験もあるので、小さいタイプ

 のCMTや、直径が30cmほどもある大きなタイプ

 など様々なMTを見たことがある。)




思うにMTでデータをやり取りする仕組みを通常の

IP網のネットワークを使って、データ伝送でやり取り

し、自動化する仕組みに置換するのであれば、

セキュリティも考慮に入れつつ、みずほの行員で

あれば、2,3年生でもできてしかるべきだと思うの

だが、どうなのだろうか?


大企業の2,3年生って以外に大したことないん

だろうか?まあ、彼らはもっぱら、建設業界の

ディベロッパーの立場の如く、プロジェクトを回す

ことが仕事なのかもしれないが。




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※1:

 MTというのは、音楽を聴くカセットテープのような

 磁気記憶媒体のことで、形は上記のとおり、

 MDを厚さ2倍にして全体的にサイズを大きく

 したようなものから、直径30cmくらいある円形

 のものまで様々なタイプがある。

  (メーカー間で仕様が異なる場合もある。)


 データの読み取りと書き込みは専用のカートリッジ

 を備えた機械を使用し、その機械が大型の

 コンピュータ(汎用機:※2)につながっている。


 この場合、当然、中に記憶されていたのは音楽

 ではなく、引き落とし先の銀行番号・支店番号・

 口座番号、口座名義人(カナ)、引き落とし額など

 が、記録されていたはずである。(※2)




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※2:

 大手電機メーカー各社が高速な演算処理を目的

 とするため、1960年代ころから開発・販売し

 始めた大型の計算機。


 日本の電機メーカーで開発していたのは過去も

 含めると

  富士通・日立・東芝・日本電気(NEC)・沖電気

 などが代表的なメーカーだ。


 外資系を中心として多くのメーカーは販売の低迷

 などにより撤退を余儀なくされ、現在日本で汎用機

 を販売・開発しているのは、富士通・日立・NECの

 3社と、外資系のIBM・ユニシス・Bullの3社のみ

 である。


 汎用機は性能面では今のコンピュータと比べても

 見劣りする点は少ないが、


  ・それぞれのメーカーが独自で開発したため、

   ネットワークなどを中心としたオープンな

   技術の取り込みが遅れた。


  ・価格が高い。(そのため、多くはリース。)


  ・保守費用も高い。


  ・90年代に入って、手軽にパソコン上で動作する

   システムが開発され、かつ、ネットワークの機能

   もパソコンでは容易に使用できるため、

   比較的重要度の低いシステムは、そうした

   パソコンを使用した廉価なシステムに置き換わり

   需要が減った。


  ・90年代後半からはインターネットも普及し始め、

   さらに需要の減少に拍車がかかった。


  ・さらに一部では、企業の基幹システムと言われる

   システムでもオープン系と呼ばれる、新しい種類

   の機種を用いて、システムを構築することが多く

   なり、これも需要減につながった。


 一方で、企業の情報システムでも基幹系と呼ばれる

 システムはいまだに汎用機を使用しているケースが

 多い。


 例えば、

 4大メガバンク(みずほ、三菱東京UFJ、三井住友、りそな)

 の勘定系システムはいずれも汎用機を使っている。


 そのほか、野村証券やセブンイレブンなどの基幹システム

 もいまだ汎用機が使用されている。


 日本において重要なシステムのほとんどがまだ、汎用機

 で動いていると言ってもよいかもしれない。


 なお、汎用機については、以下のWikipediaのページが詳しい。


 メインフレーム

 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%A0




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 他方、新しいシステムは比較的、汎用機は採用されず、

 「オープン系」という別のタイプの機種が採用されること

 が多い。



 これらは大きく、Unix系とWindows系の2種類があり、

 Unix系にはSystemⅤ系とBSD系とLinux系と呼ばれる

 ものがある。


 Windows系は普通のパソコンと同じような仕組みの

 機械で基本的には動作するが、内部で使用されている

 部品は安定性や高速性などを高めるため、高価なもの

 が使用されている。


 オープン系は、汎用機ほどは、安定性に欠け、機能の面

 でも見劣りしていたが、大きなアドバンテージがあった。

 それは、ネットワークの機能が充実していたことだ。

 これにより、他のコンピュータと容易につながることができ、

 この技術の進歩によって、インターネットが発展していく。


 また、安定性に劣る分、価格が汎用機よりもかなり

 安かったこともメリットの一つで、導入やリプレースに

 あたって、選定対象となりやすかった。



 現在では、銀行の勘定系でさえ、オープン系で構築される

 ケースが現れ、


  ・世界初のオープン系勘定系システム Banking Web21

   は八千代銀行が採用。

   (こちらは、NECが構築、H/Wを供給し、SystemⅤ系

    のUnixであるHP-UXと、データベースにOracleを

    採用した。またクラスタウェアには、定評あるHP社の

    Service Guardが使用されている。)


  ・世界初のWindows Serverによるオープン系勘定系

   システムを構築。百五銀行が採用。

   (こちらは、日本ユニシスが構築、H/Wを供給し、OSには

    Windows Server 2003、データベースには SQL Serverを

    採用した。またクラスタウェアには、MSのクラスタウェア

    に加えて、ユニシスが独自で開発したクラスタウェアも

    使用されている。)


 このように、オープン系で基幹システムを構築、もしくは

 再構築することも可能になり、次世代に向けたチャレンジと

 しては、東証の次世代の売買システムでは、LinuxをOSに

 使用し、H/WもIAサーバ(※3)を用いるシステムを構築する

 予定のようである。



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 東証の売買システムは、来年の1月稼働なので、今、まさに、

 テストやら、事前準備やらで大忙しでしょう。


 関係者の皆さんがんばってください。



 日本のIT技術が世界からどう評価されるかの

 ランドマークみたいなものだから、失敗は

 許されませんよ。

 (軽くプレッシャ。)




 ところで具体的なリリースはいつなんだろう。1/4かな?

 なんか軽くトラブル予感はするんだけど、

 とりあえず、2月いっぱいくらいまでは株の売買は

 やめておこうと思います(笑)


 また、要件定義は東証がベンダーに丸投げしてんのかな?

 また、富士通が作ってるのかな?

 また、外注に丸投げしてんのかな?


 それともエース級の人材を入れて社運をかけてやってんのかな。

 そもそも富士通って、日本のIT業界、中でも官公庁案件は

 骨の髄まで入り込んでるけど、何が重要なんだろう。

 全部重要なんだろうけど、

 ざっと考えてみると、


  ・三井物産絡みのシステム

  ・NTTドコモの請求課金システム

 

 いっぱいありすぎて分かんないや。

 とにかく、がんばってください。


 現場の人で、「もう無理です。」って人はコメントかメッセージを

 ください。


 金融庁にリークすりゃ、スケジュールは伸びると思うけど。



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 今回の東証のシステムで事前に難しい点を挙げると

 すると、以下のような点があげられると思う。


 ・接続する証券会社のシステムが多い。

  基本的に日本にある証券会社のほとんどのシステム

  が東証の売買システムに接続してくるだろう。

  これら、一つ一つの接続相手とすべて、接続が

  うまくいくかどうかのテストと、切り替え時の作業が

  うまくいくかどうかのテストを行わないといけない。


 ・一応、証券会社向けに銀行のような共同センター的

  な仕組みがあり、約定した際に、東証のシステムと

  やり取りをするような仕組みとして野村総合研究所の

  I-STARがあります。


  こちらは、カスタマイズしたシステムなどとともに、

  国内の中堅の証券会社で数多く使用されています。


 ・処理の波が大きい。

  これは銀行でもある程度言えることですが、売買が

  一定時間に集中した場合に、処理負荷に耐えうる

  ための仕組みが必要。


  一つは、小口売買を繰り返す顧客は現在若干頭打ち

  とはいえ、今後も増加するだろうから、そうした顧客が

  送り出す、トランザクションの処理。


  今回は、ライブドアショックやその後も多発したシステム

  障害を教訓に、相当スケールアップし、また随時、スケール

  アウトできるシステムにしているのだろうと推測するが、

  システムはただ単に機種を新しくし、性能を上げれば

  万事解決するわけではない。


  ストレージやネットワークがボトルネックになるケースも

  あれば、CPU性能が、追いつかないケースも考えられる。

  特に定石としては、いかに各処理が(ディスクへの)I/O

  が少なく、かつ、キャッシュや索引・パーティションなどを

  有効に使えるかが重要だろう。


  いずれにせよ、なんか起こると日経コンピュータとかに

  事の顛末が載るのでちょっとだけ期待したりしている。

   (関係者の皆さん、すみません。)




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 ※3:IAサーバとは、IA(Intel Architecture)のことばどおり、

    Intel製の高性能で、信頼性の高いCPUを搭載した

    サーバのことを指す。


    ここでいう”IntelのCPU”は普通に町の電気屋さんで

    売っているパソコンに搭載されるCPUとは値段が2ケタ

    ほど違うような高価格で、サーバー用に製造された

    もので、チップセットなども独自で開発されたものを

    使用して、入念な試験の上に導入されたものが多い。


    主に"Intel Itanium 2"と呼ばれる製品などが、この

    タイプのIAサーバに搭載される。


 










そういやぁ、冒頭の裁判。


もし、最終的に東証がいくらかの賠償金を支払うことになったら、

富士通は一部は肩代わりするんだろうか?


それとも知らんぷりなんだろうか?


そこんとこが気になる。