このあいだ、京都へ久しぶりに行った。





目的はemi meyerさんのライブを磔磔で見ることと仕事の話だったのだけど、週末はそのままいろんなところへ行っていた。


あてどなく車を走らせて、行き着いた場所の一つが、四国最西端の佐田岬だった。


岬の少し東にある港からは九州へ渡るフェリーが出ていた。


私は港には目を向けずにひたすら西に向かって車で走り、見晴らしのいい駐車場までたどり着いた。


駐車場からは徒歩で岬の先端にある灯台へ向かった。


灯台は高台の上にあって、岬の先端は切り立った崖が続いていた。


徒歩で簡単に波打ち際に下りられる場所があり、しばらく、ぼうっと海を眺めていたが、ふと、西に向かって目をやると崩れかけた岩の道があり、その先に道が続いているように思えた。


そこへ向かって歩いてみたが、残念ながら道は途絶えていた。


そこで上を見上げた。


垂直にそびえる崖が目に入った。


登ってみよう。


高さがどれくらいあったかわからないが、ほぼ海面に垂直にそびえる岸壁を何の命綱もなしに登り始めた。

無謀、無茶としか言いようがない。


たぶん、ビル6,7F分に相当するくらいの高さだったように思う。


登りはじめてみると、足場がなくて、先に進めなかったり、手でつかむ箇所がなかったり、岩が崩れたり、草木が茂っていて、その間をかき分けながら進んだりと苦労の連続で、しばらく立ち尽くすこともしばしぱだったが、少しずつ試行錯誤しながら登っていった。


途中、足を滑らして、足場の移動にリトライする場面はあったが致命的に落下することはなかった。


代わりに、木の枝をかき分けて進もうとした際に、枝が目に刺さった。


たぶん、眼鏡をしていなかったら、眼球を直撃していたと思う。レンズは割れなかった。


二度目は目の縁に今度は眼鏡と顔のすきまから刺さった。


幸い大事には至らなかった。

さらに、木の枝で腕を数箇所切って血が出た。

10センチくらいの長さの切り傷。


結構派手にやってしまった。

長袖着ていれば、避けられたのだけど。



難しかったのは次の足場へ移動するとき、飛び移るような動作を要求される場面。


次に目指す足場が少し上にはなくて、単純な支点の移動では、上がれないケースで何度か、トライすることになった。


失敗していたら、かなりの距離滑落していたかもしれなかったが、死ぬほどかどうかはそのときは考えてなかった。

登り上がると、そこは一般の灯台来訪者が通る道だった。


疲れはてたが、無事に灯台にたどり着いた。


後先考えずに突拍子もないことをやってみたが、創意工夫と自分の能力の限界に挑む面白い試みだった。


体も軽くなって身軽になったことだし、ひとりでできるから、一度、体系立てた方法論を身に付けてみたいなと思った。



自分の命が大切な人間からみれば、やっていること、考えていることが、狂気に満ちているようにしか思えないだろうけども。