NHKクローズアップ現代で、「引きこもりからの第一歩」と題して、現代日本社会の抱える「ひきこもり」という大問題を提起した。


なぜ大問題なのか。少子高齢化がさらに急速に進行する中で、全国で40歳までの引きこもり人口が70万に達していて、その半数は30歳代の人生働き盛りの人達であるからである。


40歳以上の人の引きこもり数は掌握されていないというが、おそらく厖大な数になるのではないかと指摘されていた。Q翁周辺の状況からすると合計100万人は超えているのいではないかと推察される。


さらに引きこもり予備軍が115万人~120万人も居ると云う。


一方で人口減少社会にあって、将来社会の中核を担って働ける労働人口は、大きく減少を余儀なくされるという。


大雪の中でも、火山灰の中でも、若い人が居ないので一人暮らしの老人が悲鳴をあげているのに100万人もの若者が無為徒食しているとは。

そこで、日本の労働人口は、外国労働者に依存しなければならなくなるという。現在もその前兆ともいうべき状況になりつつある。


国内に100万人もの引きこもり若者を抱えながら、外国人に頼らなければならない矛盾と損失は極めて大きい。


ひこももりの若者は、今、親の年金で食には困らない人が多いという。親は。我が子の引きこもりを心の中では、心配し、自分が死んでしまったら後はどうなるのだろうと毎日思いながら暮らしているという。


しかし、そのことを子供に口には出せないという。腫れものに触るように子供の機嫌を気にしながら日々を送っているという。

ある母親はその気苦労だけで疲れると告白していた。


引きこもりになった原因は、様々のようである。大学時代に挫折した人。大学卒業時の就職に失敗した人。(自分が描いていた就職先とのギャップ)

一旦就職してから、企業勤めに合わず、退職した人。


一般的に外面的にはおとなしく真面目な人が多いという。


多くの人が自宅でパソコンを使って終日、投稿された動画などを観て1日を過ごしているらしい。パソコンが唯一世の中との繋がりなのであろう。


Q翁も、このままの状態で、決して良いとは思わない。やがて親が亡くなり、一人になった時、この人達の中には、親の遺産で食いつなぐことができない人もできるであろう。

そういう人達が大勢生まれる社会が、健全である筈はないからである。一生世の中のために何の貢献もせず、無為徒食して生きていける日本と言う国は、何と豊かな国になったものである。


健康な身体を持ちながら、一生税金も納めず、社会保険もかけず、それで時には医療などの給付は受ける、将来は基礎年金などの恩恵に浴する。生活保護も受けられる。こんな恵まれた国はどこにもないのではないか。


ある企業が、これら引きこもりの若者を社会に復帰させるために、積極的に引きこもり者の社会復帰のための試みをやっているところが放映された。

先ず、この引きこもりの重大性を思い、まず自分達の出来るところからと、あえてこのようなことに取り組んでいる社長の心意気にQ翁も感動したが、その道のりは遠く厳しいと感じた。


まず、定時に会社に出勤するという普通には当然と思われることが極めて困難なのだ。そして会社の門まで到達すると、そこで引きこもりの若者は恐怖心に襲われるという。どうも引きこもりになった人にだけしか分からない心理状態があるらしい。


登校拒否と同じような心理が働くと放送は説明していた。


ひきこもりの若者は、一様にこのままではいけないと思い、将来を考えているという、しかい行動の一歩が踏み出せないらしい。我が家の玄関から一歩外に出ることさえ容易ではないらしい。


Q翁も何人かの引きこもりの若者(40歳近い)を知っているが、こういう状態になると、先ず近所隣りの人達が、何となく避けることになる。

家族もその事実悩みを世間から隠そうとする。


そこで家族そのものが近所から孤立していくという悪循環が生まれる。


こういう状態が永く続けば、引きこもりの本人は、我が家の周辺にも顔を見られたくないと思うようになる。


それが孤独が孤独を深める悪循環になっているように思う。放送では引きこもり問題の専門家が、こういう人達を救済する道筋がないことが問題だと言っていたが、具体的にどういう道筋を作ればよいのかについては触れなかった。おそらく無いに違いないと思った。


就職氷河期と言われる現在、引きこもりの人達の未来は一層厳しさを増しているように思う。


Q翁世代の老人から見ると、このようなことも高度経済成長、バブル経済、拝金主義のもたらした報いではないかと思えてならない。


Q翁世代の人間は、多くの人は、引きこもる家もなかったし、経済的に支援して飯を食わしてくれる余裕も親にはなかった。

どんなことをしても自分で生きる道を求めるしかなかったのである。


それに対し、現在は政府までが支援し、地域で子供を育てようなどと言っている。育てるということは、子供を甘やかすことではない。


子供の頃から、朝は親に起され、起きれば食事が準備され、親に押し出せるように学校に行く。これでは子供に自律の気持ちが全く養われない。


一方世間の荒波にもまれなければ、世間の一般的常識も身につかない。先に述べた、引きこもり若者を積極的に雇用する会社の様子が放映されたが、挨拶とか電話の受け答えとか、常識と思われることから懇切に指導が行われていた。


大学まで教育を受けながら、肝心の最低限必要な世の中の常識を知らない。これでは組織の中に生きることはできない。


生い立ちの中で、いかに甘やかされ、自立の精神に欠けていたかが分かる。

家庭教育、学校教育で、子供達に自立の大切さを教えるべきであり、そう仕向けるべきであるとQ翁は思う。


学校を遅刻することも、忘れ物をすることも、すべて自分の責任として子供にしつける必要がある。


世界には、学校に行きたくても行けない子供が大勢いる。学校に行って勉強したいと願っている子供達が大勢いる。


失業者で溢れている世界の現実からすると、日本の引きこもり若者の悩みは、とても理解されないであろう。


チュニジアで政変が起きたが、その発端は、大学を卒業した若者が職に就けず、食べるために道端で野菜を売っていたが、それを警官に咎められ、それに抗議して焼身自殺したことだという。この若者には、もう後が無かったのである。引きこもる家庭も無かったのである。


少子高齢化、人口減少社会の中で、若者のひきこもりは国家的大損失であることは間違いない。


しかし、引きこもり問題の専門家でもこれに対する具体的対策はない。Q翁も何とかならないものかと思いつつ、現実を見れば、全く妙案は浮かばない。ただこのまま推移した時の将来の悲劇だけは見えてくる。